枝折峠
酷道で有名な国道352号線のうち、新潟県魚沼市の大湯温泉から奥只見銀山平へ抜ける区間です。
相当良くない状況だという話は聞いていましたが、実際に行ってみるとやはり圧倒されます。
訪れたのはもうすぐ初雪という11月初旬でしたが、まだそこまで気温は低くなく、銀山平でも夜明け前に0℃という時期です。
訪れたのは未明でしたが、意外にも雲海目当てと思われる車数台が峠の駐車場に止まっていたのと、この時間帯で1台の対向車、さらに途中で写真撮影をしている人ともすれ違い、道路事情は確かに悪いもの
の有名処であるためか案外に人の気配はあります。
大湯温泉を抜け、その先の山荘への分岐を過ぎた辺りからが所謂酷道区間の始まりです。そこまでも狭い区間が続きますが、分岐からの酷道振りは噂通りで、一般に言われる酷道の中でも走れる酷道としてはなかなか凄まじいものがあります。
まず道幅が普通車1台分しかありません。片側が崖で反対側が壁面であるため、非常に圧迫感を感じる道です。転落防止のワイヤーが崖側に張られているので最低限の安心感はありますが、そのワイヤーが余りに車体に近いので、この区間を抜けるまでの30分程、ずっとこの圧迫感を感じ続ける事になります。
小生の車は横幅1750mmで、そこまで大型ではありませんが、それでも大きくハンドルの捌きをミスしたら接触しそうな幅ですので、車体の長いセダンだとかなり大変そうです。
途中に待避所はありますが、それほど余裕のある広さでもなく、またそこら中にある訳でもありません。よくある山道や街中などのように、とりあえず突っ込んでも逃げられそうな場所へ入ってすれ違う、という事が出来ないため、最悪バックして戻るしかなく、寧ろそうなった時が恐ろしい道幅です。同じく酷道352号の奥只見湖周辺の樹海ラインも狭路として有名ですが、コーナーでなくともすれ違いは問題なく可能で、断然余裕のある道です。少なくとも山荘分岐から峠までの区間の中間には、もし両方向から何台も続いたら逃げられないような場所が何か所もありました。
こういう人気の少なく潜在的にリスクのある場所は基本的に夜間は避けたほうが無難ではあるのですが、このように対向車が来た時のほうがリスクが大きすぎるため、寧ろライトも照らして発見も早くなり絶対的な交通量の少ない夜間のほうが、結果的に早かったし楽であるとも言えます。
そういう気疲れをしながら抜ける羽目になるので、本当にこれでも国道かと言いたくなる気もわかりますし、単に峠を抜けるだけなら間違いなく奥只見シルバーラインを使ったほうがずっと良いです。
奥只見シルバーラインも長大トンネル独特の圧迫感があり霧がちで胸の詰まりそうなルートではありますが、両方知ってしまうとあのトンネルが如何にありがたいかが分かります。逆に、この峠を経験しておくと、その後の樹海ラインは全然狭くなく、ただの長い山道という印象になります。
物好きには最高の道かもしれませんが、道としての機能は低いと言わざるを得ません。こういう道にこそ入口に障害物を置くなどして制限をかけたほうが良いでしょう。
あくまで紅葉などの観光用という位置付けのようですが、安全面に問題があると言っても仕方がない道にも思います。
ちなみに2022年11月現在で峠のトイレは故障中でした。
また、この時点でも夜間は4℃を切るので、凍結の可能性もあります。
地図
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