姫路にある企業より、戦艦大和の主砲を削ったという機械が、大和ミュージアム(
呉市海事歴史科学館)に寄贈されることとなり、移設費用のクラウドファウンディングで目標額の4800万円を大幅に上回る1億円以上が集まったと記事で読んだ。
仕事柄機械の修理をしているので、古いものには興味があり前職では大きな機械も修理や実機据付をしたこともあるので、非常に興味深い。
大きな機械を作るためにはさらに大きな機械が必要であり、大きいものを作るには当然物理的な限界がある。 しかしこの超大型旋盤 ドイツ ワグナー製だが、80年以上前にこんなものを数百台も作れる技術基盤があったし、これらの構成部品を削るさらに大きな機械をおそらく自社で作ってたのだからすごい!! これを輸入して運んでくるのも一苦労だ... 予算は集まって姫路から呉に来るんだろうけど、この旋盤は屋根が付いただけの屋外に展示されるとのこと、現状案では小生としては非常に残念でしかない。 今では世の中で無用となったため、このような超ド級大型の工作機を作るメーカーも無い。 小生が知っている重機械メーカーで現役で使っている大型機械もヘタをすれば、小生と同級生か先輩だ。 この先必要になることは無いのかもしれないが、屋外放置でサビサビになるのは本当に残念だ。
最小限の動態保存が望ましいが、おそらくこの手の業界のことを知らない方々は
”まぁなんて大きい機械だな”ぐらいのことで、どれだけ大きい工作機を作ることが大変でノウハウが要るかなどは当然わからない。 人類の英知、技術の伝承という意味で出来るだけ、劣化させることなく現状の姿を後世に残してほしい。
展示方法も最低限は屋内として、展示も当時の砲身を削るのを模した段取りをして、ビデオ映像などで、この機械が実際に動いて大きな筒を削っているデモテープなども欲しいところですね。超大型にはロマンがあります
ホントこの手の骨とう品好きな小生に予算があれば引き取って飾りたいくらいですし、移設作業も手伝いたいくらいです。
手伝えることは少しでも屋内展示になるようにクラウドファンディングに協力するくらいですね。
”業界人の端くれとして切に望む、後世に伝えれる姿で残してほしい。”
超大型と言えば、今ITER計画というのがあって,
南フランスのサン・ポール・レ・デュランス市で建設が進められている核融合実験炉だ。 これのトロイダル磁場コイルを削る機械も、超大型の工作機でやっている。この工作機も小生がまだ小学生くらいの時の機械だ。 昭和の当時F県の方にある発電所の超大型部品を削り出すために、特別に作られたと聞く。
機械の上に上がったときの眺めは、高さ故恐怖を覚えることを思い出す。
まだまだ活躍する場のある超大型機械が容易に作れないとなると、技術伝承が真に問われる時代となったし、将来核融合炉実験がうまくいって原子力に変わるものとなった場合は、発電システムがこれに変わり大量生産される時代が来るかもしれない。 その時に超大型工作機が作れなくてどうする日本人!!
小生の師匠たちはその当時この超大型機械の製造に携わっており、数年前にはこの主軸駆動ギヤボックスをご縁あってオーバーホールをやらせてもらった。 お化けのような大きなギヤが付いていたし、ベアリングの球もピンポン玉より大きかった。 今思えば師匠との大きな仕事の最後の思い出かもしれない...
Posted at 2021/08/07 13:39:56 | |
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