以前もこちらで書いたように、昨年シンガポールに住むようになってから当地ではトヨタ・カムリ2.0に毎日乗っております。
日本ではハイブリッド専用車になっているカムリですが、私が乗っているのは2リッター4気筒ガソリンエンジンのモデル。フロント・グリルのデザインなども日本仕様とは違っております。このカムリは、タイで生産されるアジア仕様なのです。
しかし、1年以上乗って改めて思ったのですが、これ、言われなければ日本製かタイ製かなど分からないな、ということ。外見も、内装も、普通のトヨタのクルマです。日本仕様と見比べれば違いが有るのかもしれませんが、自分のクルマだけを見ていると(デザインの好き嫌いは別として)品質に不満はありません。走りなどは足回りがしっかりしていて、日本仕様のセッティングより好ましいほどです。
そしてふと思ったのはもう3~4年前でしょうか、日本でモデルチェンジした日産マーチが総てタイ生産となりタイからの輸入になった時のマスコミやネットでの評判です。
ボディパネルの合わせ目の荒さや、塗装や内装の品質感など、タイ製はやはりそれなり、という評判でした。私自身は運転したことはありませんが、街やショールームで見ていても、先代マーチよりなんとなく出来具体が大雑把な印象を持ちました。
その後三菱ミラージュも同じ生産供給ルートでモデルチェンジしました。
正直、写真で見ても先代コルトよりなんとなく安っぽい品質感が伝わってきてしまいます。
そして日本市場では両者は先代モデルより販売台数が減少し、今や同セグメントではトヨタ・ヴィッツとホンダ・フィット、それを追うのはマツダ・デミオという構図。それらは日本製です。
しかし、1年間タイ製のカムリに乗ってみて、その見た目から走りまで日本製と全く区別がつかない出来具合を実感し、タイでも日本同等の品質のクルマが作れるのだということを実感しました。
だとすると、マーチやミラージュはタイ製だから品質が劣っていたのではないことになります。
考えられることは二つ、
1.日産と三菱のタイ工場は実際に品質が日本より劣る。トヨタのタイ工場は日本並みの品質が出来るということは、日本とタイの実力差ではなく、日産、三菱の実力がトヨタより劣っているということ。
2.日産、三菱のタイ工場も実はトヨタのタイ工場同様、日本製に匹敵する品質を確保する実力がある。にも関わらず、日産と三菱の設計がタイ工場の実力を過小評価し、設計段階から(タイでも作りやすいように)品質基準を落としてしまった。一方のトヨタカムリはタイのみならず、日本、アメリカ、オーストラリアなど先進国でも作るので、設計で妥協せず先進国と同等のものとなっている。
正解はどちらなのかは分かりません。
でも、なんとなく、2が正解のような気がします。そして2のようなことをやっていると、結果としてタイ工場の実力がいつまでも上がらず、2→1→2→1を繰り返してしまう。それが真相なのかな、と想像します。だとしたら、日産と三菱は自分の首を自分で締めているようなものですね。
本当はタイという国には実力があるのだと、タイ製のカムリに1年乗って感じました。
Posted at 2015/07/10 14:16:29 | |
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