この記事は、
C5乗り比べについて書いています。
ZXに乗って札幌中央市場で驚く美味しさの魚介類、特にとろける甘さの雲丹を堪能し、更には女子率90%以上のお店でパフェも堪能した翌朝は、2台のC5の乗り比べをしました。
既にcitroさんが詳細をブログにアップされていて、2車の違いを客観的に書かれています。気がついたポイントは私もほとんど同じでしたので、こちらには私の主観を加えての感想を書き留めておきます。
citroさんも書かれていますが、まず最初に驚いたのが走り始める前に座っただけで感じる違いが想像以上だったことです。
フルレザーと布レザーコンビシートの違いは過去にも認識していたのですが、今回じっくり観察するとヒップポイントが違う、シートバックや座面の“土手(サイドサポート)”の深さもかなり違う=コンビのほうが深い。フルレザーは座面やシートバックが“パン”と張っていて沈み込みが少なく土手も低いので乗降性が良い一方、飛ばす時にはクルマとの一体感が相対的に少ない(とは言っても例えば私のカムリなどよりずっと一体感あり)。コンビシートは土手が深いだけでなく沈み込みも大きいので身体全体がシートに嵌り込む感じで一体感が大きい一方、乗降性に難がある。運転者としての私の好みは自分のクルマの方ですが、高齢の父が乗り降りに苦労していたことは記憶に残っています。
予想していなかった違いはステアリングです。まず素材が違う。citroさんのC5のステアリングは8時20分の位置に凹凸のあるアルミ風の素材+他の部分は総てスムーズレザー。私のC5のステアリングは8時20分の部分につるっとしたプラスティック素材+10時10分の周囲はスムーズレザー+12時30分というか要するに上下部分には小さな孔がドット状に開けられてグリップを強めたレザーが組み合わされています。ステアリングホイール内部の構造材は同じだと思われますが、この素材の厚みが違うのか、握ったときに感じる太さが意外に違う。citro号のほうが革が厚くてやや太く握った感触もしっとりしている。私のC5の方がやや細く感触もさらっとしています。これが後で運転感覚の違いに大きく影響しているとわかります。
運転しての最大の違いは、上記のシート、ステアリングの違いに、タイヤ+ホイールサイズの違いが相乗効果のように加わってくる感じでした。
違いが集約されるのは、ステアリングフィールです。
citroさんも書かれているように、私のC5の方がビシッとまっすぐ走るという感覚がステアリングから強く感じられます。これは先日書いたように慢性シトロ炎さんもはっきりと感想を述べられていたポイント。じゃあ曲がりにくいかと言うとそれも違って、微蛇応答性も私のC5のほうが極めて敏感。直進からの切り始めも、一旦コーナリングを始めてからの蛇角の修正も、実にヴィヴィッドに反応していることがステアリングから伝わってきます。他のクルマでもしばしば使われる表現ですが、路面のホワイトペイントを踏んだことがステアリングから伝わってくる、というまさにあれです。これはタイヤの太さや扁平率の高さ、さらにはステアリングホイール表皮の皮の弾力性が少ないことまで関係していると思われます。大げさな表現をすれば、タイヤ踏面と手のひらが直結しているような感覚です。クルマを操っている実感を得るには最高のフィールだと思います。しかしながら、ネガティヴな側面としては、ステアリングインフォメーションが過大で煩いとも言えます。助手席に乗れば明らかですが、2車の乗り心地(車体の揺れという意味)はタイヤサイズに関わらずそれほど違いは無くどちらも快適至極です。助手席に乗っている限り、シートの違いは分かってもタイヤサイズの違いは分からないくらいだと思います。ところが運転すると、citroさんのC5では依然として路面の荒れを丸め込んでエレガントに感じるのに、私のC5では路面の荒れがはっきりドライバーに伝わってきて、お尻や背中は平和なのに、手には荒れた路面の感触がザラザラ・ガタゴトと直接的に伝わってくるので、ドライバーの総合的な安楽さをステアリングが濁らせます。
citroさんのC5は、タイヤの細さや扁平率の低さ、さらにはステアリングホイール表皮の弾力感までが総合して路面の情報をマイルドに伝えてきます。直進性自体も強くは訴えてきませんし(物理的な直進性はしっかりしています)、ステアリングを切ったときの反応も穏やかです。その結果citroさんはコーナーに思い切って飛び込めないと書かれていましたが、言葉を換えればコーナーに無闇に飛び込みなさんな、エレガントに走りなさいというクルマからのメッセージであり、クルマ自体の穏やかな挙動に加えてクルマがドライバーに穏やかな運転を促しているとすら感じました。私がcitroさんのクルマを運転させていただいた際、一度荒れたウェットコーナーにちょっと乱暴に突っ込んでみたのですが、ギャップで跳ねたタイヤが僅かに横っ飛びし、グリップを回復したときにちょっとサイドウォールがグニャット捻れる感じがしました。それでこのクルマはそういう運転をしてはいけないのだと感じました。しかし同じ場所に私のC5で突っ込んでもタイヤは跳ねることなくシューっとコーナーを抜けていきます。ただしドライバーの手のひらには荒れた路面の感触が振動としてはっきり伝わってきます。
実際に乗り比べてみるまでは、タイヤサイズの違いだけではそれほど大きく違わないだろうと思っていたのですが、タイヤサイズのみならず、シートの仕立て具合やステアリングホイールの素材や太さまで、2車はそれぞれが目指す方向に収斂するようにしっかり仕立てられていることがわかりました。
前日の夜、パフェを食べながらお喋りしていた時に、citroさんと私のC6の乗り味に対する見解が異なっていることが再確認されました。citroさんはC6の乗り味肯定派。私はC6はデザインやパッセンジャーとしての乗り心地は最高なれど運転感覚は好みから外れる、と。
そしてcitroさんのC5に乗ってみると、それが目指す乗り味の先にはC6があるのだと感じました。だからこそのcitroさんのC6肯定だったのだと思います。
今の私は、1台しかクルマをもてない前提であれば自分のC5の乗り味を好みます。
しかし、私はそういう乗り味を最初から自覚して自分のクルマを選んだわけではなく、たまたま長期在庫で破格の値引きをしてくれるというので今のC5を選んだだけです。それが細かい部分まで自分の好みに合っていたのは、あまりにも幸運だったと思います。もし17インチのエクスクルーシヴを選んでその乗り味に染まっていたら、もっと早い時期にC6に心が移っていたかもしれません。
citroさん、貴重な体験、ありがとうございました!
Posted at 2015/06/25 16:21:28 | |
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