
5年前、シトロエンC5が日本に上陸した直後に初めて試乗した時の備忘録がみつかりました。他のSNSに書いたものです。その当時は自分は20系プリウスとBMW325iTouring(E91)に乗っていて、自分が将来C5のオーナーになるとはつゆとも思っていませんでした。今感じることとは違う部分もありますが、その時の感じて書いたそのままを再録しておきたいと思います。
以下再録
2008/10/30 11:47
前々から気になっていたシトロエンC5。正式発売前に一度路上でワゴン(ツアラー)を見てはいましたが、昨日販売店で初めてじっくり見て、試乗することが出来ました。
最初写真を見たときは、まるでアウディかのようなドイツ的というかインターナショナルなデザインだなあ、と感じ、また雑誌やwebでの評価もそれ に近いものが多かったと思います。しかしながら、テレビを含む様々なメディアで繰り返し見ているうちに、やはりドイツ車とは一味違うなあ、と感じ始め、昨日実車をじっくり見るに至り、やっぱりこれは紛れも無いシトロエンだと惚れ直しました。
最大の特徴は長いフロント・オーバーハングと短いリア・オーバーハングによる独特のプロポーションです。これはやはり他メーカーでは見られない独特の雰囲気を作り出していると感じました。セダンとワゴン(ツアラー)では、やはり小生はセダンの形に惹かれます。トランク容量もセダンでもかなりたっぷりしていますし。
それに対して室内のデザインは、正直言ってあまり好みではありませんでした。C6やC4の室内デザインはとても好きです。そこには、(表現が適切かどうか分りませんが)”引き算の美意識”による、シンプルで爽やかな空間を感じ取ることが出来ました。しかしながらC5の室内にはそのような美意識を感じ取ることが出来ず、どちらかというとビジネス・ツール的な全体空間。そこに些か過剰な装飾的な造形が付け加えられているような印象でした。メーターレイアウトやドアトリムに特にそれを感じました。メーター類はとにかく情報量が多い!今やBMWですら省略している水温計や油温計まで常時デジタル表示です。
シートの座り心地は素晴らしいものでした。特にリアシート。かつてのCXやBXのようなマシュマロのようなソフトさはもはやありませんが、それでもドイツ車のカチッとした座り心地とはひと味もふた味も違う、リラックスできる座り心地。
さて、ショールームを出ていざ試乗です。試乗したのは3,000ccV6のセダン。走ったのは羽田空港周辺の一般道。40分近く乗せて頂きました。
走り出しての最大の印象はやはりなんと言っても乗り心地。このゆったりソフトでフラットな乗り心地はやはりハイドロならではでしょう。そしてソフトな乗り心地にも関わらず、クイックに反応するステアリング。ちょっと乱暴にステアリングをきってみると、驚くほどクイックにノーズが反応し、全くロールせずに水澄ましのように車線変更を完了します。ソフトな乗り心地からは想像もできない俊敏さ。ソフトでフラットでしかも俊敏。この三つの要素が驚くほど高次元でバランスしている感じです。C6ですらこれよりは鷹揚にロールしたと記憶しています。
小生の325iはこれに比べると乗り心地に堅さが目立ち、ロールやピッチングも結構あります。このC5は異次元のソフトな乗り心地なのに、ステア リングは明らかにクイックで、ロールも明らかに少ない。やはりこのサスペンションがC5の真骨頂だと感嘆せざるを得ませんでした。この不思議な足回りはドイツ車以上に速度感を麻痺させるのか、ふと気がつくと思わぬ速度に達している感じです。
3,000ccV6エンジンはスムーズでパワーも充分ですが、この足回りの強烈な印象に比べると”普通”のエンジンと感じてしまうのは致し方ないところでしょう。
途中セールスの方にお願いして、運転を替わってもらい、リアシートの乗り心地も試しましたが、これもまた前席に劣らず素晴らしい。乗り心地だけを 取れば、ひょっとしたら前席よりも快適かもしれません。小生の325iの前席と後席の乗り心地の落差の大きさからすると、なんと”平等で民主的”な思想の クルマだろうと感動します。これはフランス共和制の思想から繋がるものなのでしょうか?BMWはドライバー専制君主的思想の表れか?でも後席に座ると室内 の光り物を多用した装飾が目に付いて、その点は好きになれませんでした。C6の室内は”目”にも快適だったので、やはりこれがC6とC5の最大の違いで しょうか。
と言うことで、新型C5、小生の印象をweb-CGの評価項目に従って星をつけてみると以下のようになります。
総合評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・★★★★☆
インパネ+装備・・・・・・・・・・・・・★★★
前席・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★★★★☆
後席・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★★★★☆
荷室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★★★★
エンジン+トランスミッション・・・・★★★★
乗り心地+ハンドリング・・・・・・・★★★★★★(反則?)
文中自分の325iに批判的な表現もしましたが、325iにあってC5に無いもの、それは”ファン”でしょう。C5は乗り心地もハンドリングも素 晴らしいと感じましたが、でもそこに”ホットなファン”をあまり感じることはありませんでした。C5のそれは”クールな快”とでも言うのでしょうか。
セールスマンに訊いて驚いたのは、このクルマの下取りに入ってくるクルマで一番多いのはアルファ・ロメオ156なのだそうです。ある意味正反対とも言える性格のクルマなので、少々驚きました。
今回の試乗は3,000ccV6 でしたが、2,000cc4気筒が凄く気になります。価格も魅力的ですし、廉価である分室内の装飾もむしろ少ないのではないかとの期待で。
Posted at 2013/06/11 13:40:21 | |
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