
年末年始は東京で過ごしました。その間に、実家近くの“すき家”で牛丼を食べました。個人的に牛丼は“吉野家”派なのですが、実家近くにあるのは“すき家”と“松屋”のふたつだけ。その中からより近い“すき家”に寄りました。
牛丼の並を食べて驚いたのはお会計の時です。
“291円頂きます”。
え?
私がシンガポールに引っ越す昨年3月末まで“すき家”の牛丼並は280円でした。そして消費税が上がった昨年4月に報じられたのは、吉野家、松屋が税額+α値上げする一方、“すき家”は270円に値下げすると言うことでした。
その記憶があったので、291円頂きます、と聞いて、え?と感じたのです。
私は財布の中に一円玉を探し、結局無かったので300円はらって9円のお釣りをもらいました。
1円探して見つからなかったというプロセス、その後店員さんがレジから9円を取り出して確認して私に手渡すプロセスは、かなり煩わしくなおかつ実際に時間もかかりました。以前280円だったときは丁度支払う時も、20円お釣りをもらう時も、もっとお互い手早く出来た記憶があります。
記憶にあった値段と違うということを差し引いても、
1.4月に値下げして1年も経たずに今度は値上げとは経営判断の混乱も甚だしい。
2.291円という、顧客にとって実に煩わしい設定を平気で行うとは、顧客視点の欠如も甚だしい。現在の日本の法規では“内税表記”が義務付けられていますから、1円という端数は顧客視点での設定ではなく、企業の都合によるコスト跳ね上げによる価格設定でしかありません。
3.ましてや、9円というお釣りを常に用意して顧客とやりとりする煩雑さも“コスト”と考えれば、本当に1円を加算することが合理的なのかどうか大いに疑問です。店員さんの作業の煩雑化にもなっており、顧客視点の欠如のみならず、現場の作業者の視点も欠如しています。
思い起こせば“すき家”の親会社であるゼンショーホールディングスという会社を初めて意識したのは2009年末にハンバーガーチェーンのウェンディーズが日本から撤退すると発表された時でした。日本のウェンディーズの運営母体がゼンショー。そのゼンショーが、ウェンディーズは利益が出ているがより利幅の大きい“すき家”に特化するためにウェンディーズから手を引くとの判断でした。
私はこの時、このゼンショーという企業は“酷い企業”だと感じた記憶が残っています。
理由1.利益が出ていて再生産可能な状態にも関わらずウェンディーズから撤退するというのは、ウェンディーズの顧客を全く無視した判断であること。
理由2.儲かっている事業であるがより儲かる事業に特化するためであると敢えて明言する強欲さ、傲慢さ、金だけが目的であるということを明言することを恥ずかしげも無くできる体質。
実はその時点で私は“すき家”の牛丼を食べたことが無かったのですが、その後店舗が急増し、私の行動範囲に吉野家よりすき家のほうがたくさん立地していたので、時々食べるようになっていました。
そして昨年四月に私が日本を離れた後に報じられた“労働環境の悪化が招いた人手不足と店舗閉鎖”。シンガポールでそのニュースを聞いたとき、ああやっぱりな、としか思えませんでした。
現在“すき家”はその建て直しの真っ最中のはずで、その方策のひとつが“値上げ”だったのかもしれませんが、その値上げが“291円”という顧客視点、現場視点が欠如した価格で平然と実施されているのを見て、これじゃあ本質は変わってないなと感じざるを得ませんでした。
Posted at 2015/01/07 16:24:40 | |
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