シンガポールでは自動車の総量を規制するためにナンバープレートの発行数を制限して入札制度となっています。この制度はCOE制度と呼ばれていて、入札ですから相場は動きますが、一台の登録料が5百万円とか6百万円とかかかります。その上ナンバーの有効期限は10年なので、シンガポールの路上では古いクルマはほとんど見かけません。
COE制度http://www.asiax.biz/column/juntaiyo2/091.php
さらにクルマにかかる諸税や輸入関税もきわめて高額なので、新車のカムリが約1400万円、カローラが約1150万円もします。
カムリは日本では3百万円くらいのクルマですから、登録料や税金などの諸費用だけで1000万円以上かかっていることになります。
そういう状況下、先日誘っていただいたクラシックカーのミーティング。10年ごとにナンバー更新したり諸税を払っていたのではとんでもない維持費なのだろうなあ~と想像を膨らませつつ、でも初対面でお金にことを訊くのも行儀が悪いかな~などと躊躇していたら、あることに気がつきました。
ナンバープレートの色が違う。
シンガポールでは通常クルマのナンバープレートは黒地に白文字です。
ところが、ミーティングに集まっていたクラシックカーのほとんどは、赤と黄色の二色をベースに白文字のナンバープレートをつけています。
このことを尋ねてみると目から鱗の回答が・・・・。
この赤と黄色のナンバープレートは年間45日の走行を上限とする条件で、自動車税が極めて安い(年間300ドル以下)という制度なのだそうです。
毎年自動車税を納めるとこのようなカードが45枚発給される。
このカードは日付のカードで、走行する日付けのところに穴を開けてクルマに掲示しておく。その掲示がないと検挙される。45枚使い果たしたら、その年はもう走行できない。という制度なのだそうです。
さらに質問すると、車齢35年以上のクルマは、輸入関税や諸経費が優遇されるのだそうです。
その結果、新車のカローラの購入が約1150万円のところ、車両価格120万円程度のMGBをイギリスから輸入する場合、海上輸送費や諸経費含む総額で200万円掛からずに収まるのだそうです。
カローラ1台の購入費用とMGB6台の購入費用がほぼ同等!
極端な話、MGB6台持てばそれぞれ年間45日走れますから、合計270日走行可能となり、年間の2/3以上は運転できるから日常使いも出来るよ、と冗談半分で説明してくれました。
その話は極端にしても、クラシックカー2台あれば実質毎週末ドライブできることになりますから、愛好家にとっては十分以上の優遇制度になっているのです。そして実際クラブのメンバーは多い人は10台以上、少ない人でも3台は持っていると。
もちろん十分な車庫やメンテナンス費用がまかなえる裕福な階層の趣味ではありますが、新車の総量を抑える極端なナンバー制限や重税を課している国であるにもかかわらず、古いクルマを適切な費用で楽しめる制度があるということには驚きました。
そして11年を超えたクルマにかかる税金をやたらに重くする日本に対して、35年以上の古いクルマを優遇するシンガポールに、クルマというものに対する文化的価値の理解の深さを感じました。
Posted at 2014/07/25 18:12:52 | |
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