
フランス車、シトロエンを愛用するようになってからはまだ約2年と日が浅い私ではありますが、それ以前から、もうかれこれ25年ほど愛用しているフランス製品があります。
J.M.WESTONというメーカーの革靴がそれです。
このメーカーの靴を初めて見たのは高校生か大学生の頃、SHIPSという洋服屋さんに展示されていたのを見かけた時です。
今でもはっきり覚えていますが、表題写真と同じ形のペニー・ローファーに6万9千円の値札がつけられていました。靴に6万9千円!自分にとっては贅沢品だったリーガルやハルタのペニー・ローファーが2万円するかしないかの時代です。その3倍以上の値段の靴!自分にとってはとても手が出る代物ではありませんでした。でも何度か店頭で見ているうちにその佇まい、雰囲気にいつしか憧れの気持ちをもつようになっていました。
それから5~6年たったころ、初めての海外出張で北アフリカに行くことになり、乗り換え地点のパリで一泊する際に自由時間が出来ました。その時に憧れのJ.M.WESTONのお店に行ってみることにしました。店員さんがとても親切で、言われるがままに試着しているうちに、値段を訊くとなんと日本の定価の半額以下!
日本は革製品の関税が高いこと、90年代初期に急激に進んだ円高による内外価格差のせいだったのだと思います。
その時に勢いで2足買ってしまいました。
帰国後に憧れの靴との生活が始まってみると・・・・・もうこれはそれまで履いていた革靴とは異次元の代物でした。最初は硬い履き心地だったのが、半年ほどすると嘘のように足にフィットするようになる。しかも極めて頑丈で雨風でもびくともしない。
その頃には青山に直営店が出来ていて、その店舗では一足も買ったことが無いにもかかわらず、当時店長だった吉賀さんという紳士が色々と薀蓄を語ってくれたのでした。J.M.WESTONではレザーソール(革底)の素材から自社でなめしている。耐久性と耐水性を揚げる為に半年以上掛けて特殊な製法で繊維密度を上げた素材を靴底に使っている。”ゴルフ”という同社を代表する靴の靴底はゴム製でそのゴム底のサプライヤーは公表されていないが実はミシュランである。そのゴルフは別名ジャーナリスト・シューズと呼ばれるくらい頑丈なことで有名で、スペイン内戦の時にかのロバート・キャパが履いていたのもこの靴だった。などなどなど。挙句の果てには、日本では割高だから、パリに行く機会があるならパリで買った方がいいですよ、とまで(笑)
90年代、私は仕事でパリに行く機会がちょこちょことあったので、結局その度に買い集めて結局13足のJ.M.WESTONが私の仕事靴になりました。
最初の二足を買ってから約25年、今ではこれが嘘偽りの無い一生物であることを確信しています。何しろ頑丈。25年間でレザーソールを張り替えたのは5足だけでそれ以外は最初の状態のまま現役です。
メンテナンスは日本で買った品物でなくても、日本の店舗で”純正部品”を使って丁寧にやってくれます。靴磨きが面倒だと思えば、お店に一週間預ければ無料で見事に磨き上げてくれます。
私は90年代にフランスで買い集めたので13足の購入価格は総額50万円にも届いていないと思います。現在日本で同じものを買い揃えたら、おそらく今の定価で150万円くらいになると思います。
でも仮に日本で150万円かけて買い揃えたとしても、私はこれは安い買い物であると感じます。というか、13足はむしろ多すぎで、10足あれば一生履き続けられると思われるので、100万円で10足買えば充分以上。
考えても見て下さい。100万円で買える新車って、軽自動車の中堅モデルがせいぜいです。しかもそれを快適に乗れる期間などせいぜい10年に満たない。同じ出費で(オーダーメイドを除けば)世界最高峰の履き心地の靴をほぼ一生履き続けられる。ビジネスマンとして生活を続ける以上、革靴は毎日履くものなのですから、クルマ以上に接している時間は長いのです。ですからここにちょっとした贅沢をすることが、人生の質をどれだけ豊かにしてくれることか。しかも決して高いものではない。
ということで、私にとってシトロエン以上に嵌っているフランス製品の話でした。
 
				  Posted at 2015/01/25 12:06:43 |  | 
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