
足がかなり決まりつつあるmoriken SCですが、ここで満足しててはいけません!
ということで、また次のステップへ移ろうと思います。
これまで散々気にしてきたフロントのヨー応答遅れに対して更に対策を打つ予定です。
バンプタッチさせたおかげで前荷重が乗る領域はほぼ完璧に改善されてますが、40km/h以下の低速のバンプタッチに至らない部分や、極微操舵ではまだヨー応答は悪いまま。
攻めてれば関係ないと思われるかもしれませんが、ステア特性の非線形さ(初期が鈍くて切り込むとあるところから急激に曲がる)はコーナーのアプローチで修正舵が必要だったり、ラインをトレースするために、見越して先に切り始めるとか、操舵速度を車に合わせないといけないとかで、車を操る気持ち良さがスポイルされてしまいます。(それでも他の車に比べてかなり楽しい車に仕上がってますが)
これ俗に「ステアリングの直結感」と言う性能ですが、これを更に引き上げてやるのがこれからの狙いです。
ということで、まずは現状のメカニズムから説明すると、原因はフロントのジオメトリー。
moriken号の車高はフロント:30mmダウン、リア:25mmダウンとなってますが、この車高でもフロントはロアアームが水平、タイロッドがバンザイ状態です。
そのため、1Gでもロールアンダーの状態で走っていることが分かります。
車は必ずロールステアでアンダーステアになるように設計されています。これは、ステアリングを切って、ロールが増していくにつれてアンダーステアになるという特性です。これはどんな車でもそう作ってます。
理由は安定性を高めるため。そう聞くとネガティブな印象で、恐らく「ロールオーバー目にセッティングしてくれれば、どんどん回り込む速い車が出来るじゃないか」と感じるかもしれませんが、それは難しい。
実際に私もロールステアをオーバー側につけた車に乗ったことがありますが、まともに走りませんでした。それはどういうことか説明すると、
ロールしてオーバー=ステアリングを切らなくても、きっかけだけ与えればロールすることで勝手に曲がっていく
ということです。
つまり、高速でのレーンチェンジなんかで少しステアリングを当てると、直進状態に戻しても、最初の操舵がきっかけになってロールステアで曲がり、更にそのロールステアがきっかけになってどんどんロールして曲がっていってしまう・・・(もちろん、ステアリングは直進状態ですよ)
これを直進に戻そうとして逆に修正舵を当てても、反対側に同じことが起きるので、極端な例だと最終的にそのまま発散してスピンです。
この感覚はそもそもドライバーとしても怖いだけでリニアな特性とは程遠い。
ある程度安定してリニアに感じるのはステアリングを止めたらヨーも収まり、高速では少し切り足して曲げるぐらいの余地がある車がニュートラルと感じるのです。(どっかのダイレクトアダプティブステアリングってやつは別の理由でステアリングを止めても勝手に曲がっていくので乗れたもんじゃないですけど・・・あんなゴミみたいなステアリングの車を売って良いのかは疑問)
話が完全に逸れましたが、ロールステアはどうやって決まるかと言うと、トーとキャンバーの変化。つまり、サスペンションアームの長さと配置が主です。(コンプライアンスステアといって、ブッシュの捩れで切れる分もありますが、これはロアNO.2のピロ化でかなりトーアウト化を抑制してます)
ストロークするということは、各アームがピポット点(サスメンやボディー側の付け根)を中心に円運動をするので、ホイール位置での長さの変化量の割合でトーの変化代が変わるのが分かると思います。

写真の様にアームの角度が水平よりバンザイ状態からストロークすると、その分ホイール位置では短い方向へ大きく変化してしまうので、SCのようにタイロッドがナックルの後ろについていて、他のアームよりもバンザイしてしまう構造だともの凄いトーアウトになり、ステアリングが切れない方向にいきます。
これがロールステアでアンダーの領域を使うと言うことです。
このタイロッドの逆バンザイまで戻れば、逆に長くなる方向なので、ニュートラルにかなり近づくことになります。
また、それだけアライメント変化が大きいと言うことは、ストロークする上でフリクションも大きいと言うこと。(ストローク方向だけでなく、ステア方向にも動かすので)
随分と長くなりましたが、今回それに向けて、ロールセンターアダプターとタイロッドエンドを導入します。
ロールセンターアダプターはロアアームの、タイロッドエンドはタイロッドの角度補正に用います。
フリクションが下がる以上に、ロールセンターが適正化されるので、ロールは減って、ストロークはしやすい「より動く」足になると考えてます。

ロールセンターアダプターを使うと、その分車高が下がってしまうので、車高調側で上げる必要が出てきますが、それを考慮して車高ダウン量の半分の15mmを入れて、サス側で-15mm、アダプターで-15mmを担保します。
ただし、超高速では少し敏感さを増す方向にいくので、フロントのトーは今のイン2.2mm(トータルトー)から、ゼロへと戻すつもりです。
現在4ヶ月の出張中で、いつ自宅へ戻れるか分かりませんが、早めに作業したいと思います!
Posted at 2014/06/28 23:46:53 | |
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