2018年01月29日
インプレッサのデフとVDC
についてスノアタ以来考えてことを少々。
まず、GP/GJ(の5MT車)は前後がオープンデフの、
センターデフ式フルタイム4WDと呼ばれるシステムです。
センターデフがビスカス式ですが、これはざっくり言うと「効きのゆる~いLSD」。
このビスカスLSDは回転差が発生した際に最大で4kg?
の差動制限トルクを発生するものじゃないかと思われます。
この組み合わせだと、前後・左右ともほとんどの回転差を吸収するので、
舗装路でのハンドリングは抜群によくなりますが、
低μ路での走行性能がデフロックの車には劣るのが難点。
一輪が滑れば全く進まなくなる…とまではいきませんが、
流体クラッチと同じような仕組みのビスカスLSDだと、
瞬時に効かないしロック力も低いわけです。
で、前にも言ったように前後はオープンデフなので、
前後それぞれ一輪(計2本)が滑れば、構造上は全く駆動力がかからなくなります。
実際、FF・FRよりはいいなと感じる雪道での安定性も、
直結にしたパートタイム4WDに比べると物足りない感は結構あったりします。
(もちろん舗装路では曲がりにくくて扱いにくいですが…)
つまり、舗装路での走りやすさは、4WDとしては最も優れてはいるけど、
肝心な低μ路の走破性は意外と高くないシステムなわけです。
「え~四駆なのにそれは嫌だなぁ…」
と、あまり詳しくない人には言われるかもしれません。
私自身も、走破性を第一に考えるなら、
このシステムのインプレッサは積極的にはオススメしないかもしれません。
一昔前ならそうだったでしょう。
が、今はちょっと事情が異なります。
それはVDC(ビークルダイナミクスコントロール)があるからです。
いわゆる横滑り防止装置で、今は全ての車に標準装備されているやつですが、
これはアンダー・オーバーステアに対して、
特定のタイヤにブレーキをかけることで安定性を向上する仕組みなようです。
また、直進中にどこかのタイヤがスリップした場合にも、
スリップしたタイヤにブレーキをかけることで、
駆動力が抜けるのを防ぐようになっています。
これが、いわゆるブレーキLSDと呼ばれるシステムですね。
で、ポイントなのはこのVDCが、
ABSを利用して4輪ごとに独立してブレーキを作動させることです。
オープンデフだと、片側のタイヤが滑ればもう片方に駆動力が伝わらなくなりますが、
このVDCが、擬似的なLSDのような効果を発揮してくれるわけです。
そう考えると、VDCってセンターデフ式4WDにとっては
非常に相性のいい電子制御と言えるのかもしれません。
構造もシンプルで済むし、メンテナンスも不要だし、
普段の使用に限っては、LSD特有の乗りにくさとはまったく無縁と、メリットだらけ。
ただ、欠点も当然あります。
まず、単純にブレーキの消耗度が激しくなる恐れがあります。
(VDCが積極的に介入するような運転を続けた場合)
あと、実際にVDCを動作させるかはコンピュータ次第なので、
いついかなる時も一定の効果を発揮する機械式LSDに比べると、信頼性で劣ります。
何より、100%の駆動力がかかったタイヤに、
無理やりブレーキをかけてもう片側のトラクションを回復させるシステムなので、
エネルギー効率的にはさぞかしロスが多いことでしょう。
しかもこのVDC、ブレーキLSD単体とは違ってエンジンの出力制御まで働きます。
なるほど確かに、スノーアタックではVDCによる失速感みたいなのが結構ありまして。
VDCがLSD的に働いてくれるというよりは、
単に速度が落ちるおかげで安定しているようなフィーリングもしました。
雪道での日常使用では絶対に必要なシステムだと思いますが、
ことスポーツ走行に関しては、
あったほうがいいのか。ないほうが速く走れるのか…
これは今後の研究課題です。
ただサーキットでは、ヒ○ーズ抜いて完全オフの方が速く走れる予感が強いです。
(ドライバーは疲れるだろうけど)
コーナーの立ち上がりで空転を抑制できたしても、
エンジン制御がかかれば意味がないですからね。
ただ、ヒ○ーズ引っこ抜くとABSもオフになるという諸刃の剣。
ホームストレートからのフルブレーキとか、一歩間違えれば大惨事ですねぇ…。
常に4輪をグリップさせる走りに徹するか、
コントロールはVDCに丸投げして、
アクセルもステアリングもガンガン入れていくべきか…。
VDCとはあまり関係ないですが、
いくら四駆で、構造上グリップ領域以上の走りが苦手とはいっても、
1.6リッターNAのGP/GJインプレッサの加速力では、ハイパワー四駆と同じような、
いわゆる立ち上がり重視のV字ライン走法は使えない可能性が高いんですよね。
ちなみに調べてみると、DCCDが投入される前の初代GC8型インプレッサ、
同じビスカスセンターデフに、リアのみ機械式LSDという組み合わせでした。
おそらくスバルも、
「舗装路で4輪がグリップしてる時のハンドリングはいいんだけど…」
という、このAWD方式の弱点をわかっていたのでしょう。
余談ですが、ロック力を上げた強化ビスカスがSTIのパーツに設定されています。
当然、ブレーキング現象が強くなったり、直結式四駆の弊害は顕著になるようです。
GP/GJでは誰もやってないんですよね、LSD。そりゃそうか(笑
せめて、GH8のとか流用できないかな…(妄想)
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Posted at
2018/01/29 23:17:26
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