携帯に正岡局長から着信。
「最近はどう?」
「はあ、まあなんとかやっています……」
「そうか、あのポルシェの本できたから、今日にでも送っておくから」
「ああ、できたんですね。ありがとうございます」
「それじゃ」
とこんな感じの局長らしいせっかちな? やりとりの翌日「PORSCHE 偏愛グラフィティ」と題された書籍が届けられた。
すぐにフェイスブックに画像をアップしたものの、現在、新規の単行本の原稿と自動車関連のウェブサイトの仕事が重なってしまっており、なかなかみんカラへの紹介ができないままでいたが、局長の顔が思い浮かびパソコンに向かってこれを書いている。
表紙には、黒澤元治 中谷明彦 監修とあり、続いて「ベストモータリング同窓会 編」としたのは、局長の細やかな心遣いが感じられる部分。中を見ても仁川一悟さん、イワタカズマさん、下邑真樹さんという本書を作るに当たって主力になった人たちのそれぞれのインプレッション記事が掲載されており新鮮だ。
ちょっとポルシェとは離れてしまうが、私とベストモータリングに関して少し触れてみたい。私はベスモを購入して見ていた真のファンとは違い、毎月頂いていた身だった。私が編集部員として在籍していた雑誌をベストモーターリング編集部に送る代わりに、こちらはベストモータリングを送ってもらっているという関係で、かなり楽をしていたということになるが、ほぼ創刊号からの読者でもあった。当時は自動車雑誌も元気のあった頃だが、さすがにビデオで表現されてしまう……しかも黒澤元治、中谷明彦といった当代一流のドライバーを起用してとなると、紙媒体の危機感をいだかなかったわけにはいかなかった。
そんな「ベスモ」の中で目の当たりにしたのは、本書でも「ベストモータリング’92/10 Porsche Specialより再現」として入れられている記事をはじめとした、ポルシェというクルマの「走りの」すばらしさだった。だいたいポルシェは速いと漠然と思っていても、実際の「本気の走り」というのを見たのはベスモの中谷さんや黒澤“ガンさん”によってということになると思う。もちろん徳大寺さん一流の薀蓄も楽しかった。本書にもアーカイブとして収録されている「徳大寺有恒、ポルシェを語る」も短文ながら味わい深く、クルマを考えさせるに十分な素材となっている。
そして、「ベスモ」というフィールドを作ったことによって、ポルシェの走り、徳大寺さん、黒澤さん、中谷さん等など、私たちにとって貴重な資産を残し続けてくれているのが局長だというのも事実で、そういう意味では正岡貞雄の凄みを感じさせる一冊である。
個人的な話に戻ると、数年前までポルシェというクルマにそれほど強い思い入れはなかった…というか現実味がなかったというのが正直なところだった。ただ、’89年式のE30M3を悪戦苦闘? しながら2年ほど乗ってみると、(古い)ポルシェもそんなに変わらないかな? というような気がして来たのは危険な兆候ではある。
Posted at 2016/02/27 14:24:33 | |
トラックバック(0) |
ベスモ同窓会 | 日記