引きこもっていたあいだに、もう世間はとっくに秋です。
季節を眺めに、散策へ出かけようか。
デミオさんを走らせます。

ずっと写真を撮れず、ムズムズしてきたので出かけたかったというのが本音です。
夏に「
うだつの似合う町」と題して三次市三次町を訪れましたが、今回は
太歳町のほうへ行ってきました。
市街地で用事をすませまして、ランドマークである真っ赤な巴橋を渡り、リバーサイドを走った先の石畳通りをひたすら北へ進むと太歳町になります。
本当に善き町です。ここ地元ではけっこう有名なお店、「
卑弥呼蔵、赤猫」さんにお邪魔を。

旧万寿の井酒造の酒蔵を残すべく、上手に改装して営業されておられるお店です。スバラシイ!


なんだか面白そうな、気になる外観でしょ。
上品でお美しい女主人Sさんに撮影の許可をお願いすると、快く承諾してくださいます。
これまでほとんどのお店がですね、主に私のほうからお尋ねしたり、会話をさせてもらうのですが、このお店はちょっと違いました。
Sさんのほうからこなれた感じで、ちょくちょくお声をかけてくださり、いろいろと楽しいお話をしてくださいます (笑)

お話し好きというより、お客さん一人ひとりとの対話を大事にされているんでしょう。
なので初めての方も安心。きっとすぐに馴染んでしまうと思います。

すでに先客があり、中央の布地で仕切られた個室的(?)な席をすすめられます。


よく見るとお着物の生地が使われていますね。テーブルには帯が。なんか変わってます…。
これからこんな雰囲気の中で、ラーメンをすすろうと思ってる私です(*_*;)
すると先客がお帰りになったので、さあ撮影のお時間です。


いやあ、Nikonと相性が良さそうなたたずまいです。いつもより多めにシャッターを切ってしまいます。
不思議なお店、いえ、素敵です。



「そろそろお手を休めて……」
店主のSさんの声で我に返ります。
まだ食事もしないうちから夢中になりすぎでした。お恥ずかしい。
席に戻ると愛しのラーメンが…

お! とてもおいしそうじゃないですか(・Д・)♪

中細ストレート麺(江草かな?)、一見豚骨風に見えるスープはあっさりとした和風だしでした。はっとするほど優しい味です。
コッテリコテコテのラーメンも好みですが、こういうしっかりだしのきいたあっさり系も大好きです。
幸せ❤

ん? 何でしょう、オーダーしてないはずの飲み物が。
これ、お酒じゃないんです。おいしい井戸水なんであります。無料で振る舞われます。
アッという間に完食してしまいまして(食べるの早いんです笑)、撮影の続きを楽しみます。



すでに居心地の良さを感じていた私は、スイーツを追加注文してました。しかもケーキを。


広島のGreenCoffeeとベルギーの生クリームです
私がスイーツを注文するなんて、まずありえないことなんですけど(オオゴトです)、きっと卑弥呼蔵さんの魔法にかかっていたんでしょうね。あっという間にまた完食してしまいました💦
ここでこのお店の社長がご出勤です。万ちゃん(♀)。この巨体に驚かれるかもしれません。ドスのきいた声で鳴きます。


人懐っこい性格で、そばにやってきて体をこすりつけてマーキングします。
しばらく戯れていましたが、眠くなったのか、あの巨体を揺すって座敷に飛び上がると、こたつで丸くなります。

ちょっと万ちゃん、お肉がつきすぎなんじゃないかな。
さてさてそこへ、次のお客様が。
ご常連の方らしく、勝手知ったる足取りで真っ直ぐカウンターへ。

「それ、デジカメですか?」
写真を撮っている私を見て、いきなり声をかけてきます。初対面です(笑)
デジタルカメラには違いないけど、デジカメって言われると萎えます。せめてデジイチって言ってね。

「自分ちにもそういうのあるんですけど、おんなじやつかな? 使いこなせなくて。」
そんなことを言っています。
もったいない。何でもいいからとにかく撮ってみたら。そしたらもっともっと面白くなります。なんて、アドバイスしてみました。
「へえ、自分も撮ってみようかな。それ触るとどうなるんですか? オートですか?」
どんどん聞いてきます。
いつの間にかカウンター席で即席のカメラ講座をやってました。
初対面の人と、私は何をやっているのかな (笑)

「ヤッチャン寒かったでしょ、シソ茶入れようか。」とSさんが声をかけます。
そして、よかったらごいっしょにどうぞと言われまして、三次産のシソ茶をごちそうになりました。

続いてSさんがまた言います。
「ヤッチャン、蔵のほう案内してあげたら? 神社もあるし、写真撮ってもらったらいいわ。」
ということで、なんだかよくわからないうちに、私はヤッチャンといっしょにお隣の酒蔵へ行くことに。

赤猫ライブ
そういえばお店にこんなライブのポスターがあったけれど、これね。

(真っ暗だったのでISO思い切り上げてます。)
ステージがあります。ヤッチャンも参加しているそうです。
それからお二階へ。

ヤッチャン、カッコ良く写せたかな
こんな資料館みたいなお部屋もあります。素敵です。


広いフロアの奥へ進んでいきますと、見つけてしまった! このお部屋!!
天然のスポットライトと机と椅子。
この空間、誰が作ったんでしょうか??
これはすごいです。素晴らしい芸術的センスだと思いませんか。
演劇の舞台みたいですね。フライヤーやポスターにしてもいいくらい。素敵です。私、こういうのすごく好みなんですよー。バシバシとシャッター切りました。
ときどき、床がミシッと凹むんです。怖いです(>o<;) 緊張しながら撮影しました。
「いいの、撮れた?」
「ヤッチャン、すごくいいのが撮れたよ! ありがとう。」
ウキウキしているところへ、誰かが二階に上がってくる足音がします。
なんと、ブルーの作務衣を着たスタッフの一人、O君が私たちのためにパスタを持ってきてくれてます。
私、さっき食べたばっかりよ…。笑いが止まりませんwwwww(゚∀゚)(゚∀゚)

でもありがとうね、O君。
初めてお邪魔した酒蔵のお二階で、今日初めて会った人と、なぜか空腹でもないのにパスタを食べながらしゃべってます。

ホント、私は何をやっているのかしらって思っちゃう。
食べ終わったあと、お皿をお店に戻し、ヤッチャンと再び近くの
「太歳神社」へ。

こんな近くにあったんですね。



いいのが撮れましたよー。幸せです。
ウカレて興奮気味に写真を撮る私の横で、ヤッチャンは私の邪魔を一度もすることもなく、本当に最後まで優しく見守りながら案内に徹してくれました。
真面目で、かと思えば淡々としてジョークが言え、しっかりした大人の男性です。
ええ人や〜 ( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ )
こんな私のために、ありがとう。お世話になりました。
ここだけでなく、もっともっと素敵な古い街並みが存在していて、楽しいお店があると教えてくれました。
今度はそちらにもお邪魔したいです。
お店に帰る頃にはすっかりヤッチャンとお友達になっていました。まったく不思議な一日です。

店に帰ってみると、万ちゃん、まだ寝てた?

起こしちゃった、ゴメンね💦
このお店を訪れたみなさんは「不思議な空間」とよく言われます。
お店や店主の方の雰囲気ですとか、出されるお料理が面白いということだけでないと思います。
このお店を通して思ってもみないことを体験できるという意味で、「不思議な空間」なんだなと。
そう思えるようになったら、私も立派な常連さんなのかもしれません。
長々と誠に申し訳なく、最後まで読んでくださった方に感謝。ありがとう。

撮影機材
Nikon D610
AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED