2020年11月27日の朝、小判が亡くなりました。
16歳と半年の猫生でした。
小判は今年の6月頃に膀胱がんと診断されました。
年齢を考慮し、抗がん剤治療によって全滅させられないまでも、増殖を抑えつつ穏やかに過ごすこと、言わば、「がんとうまく付き合う」ことを目指していました。
その後もしばらく定期的に検査を受け、治療を続けていましたが、腫瘍は大きくなることはなく、小判も元気に過ごしていました。
ご飯もおやつもモリモリ食べて、身長の倍の高さの場所にも飛び乗ったりして、高齢猫であること、がんであることが嘘のようでした。
しかし、11月24日の検査の際、がんの増殖に伴い尿管が狭まって、腎機能がかなり低下していることがわかりました。
泌尿器専門の先生を紹介していただき、その日のうちに診て頂きました。
状況としては、まずは腎臓を保護してあげることが優先。
がんの手術については、高齢であるため耐えられるかわからない。
また、診断されてから5ヶ月が経過しており、がんを切除しても後に肺などにへの転移が見つかるかもしれないとのこと。
(ワンちゃんではそのケースが多いようですが、猫ではそもそも膀胱がんの症例が少なく、はっきりとした予測はつかないということでした)
当日撮影したレントゲン写真では、目に見える転移はありませんでした。
妻と相談し、まずは腎機能を回復させるための尿管移設手術をし、腎機能が
安定してから、がんの切除を目指そうと考え、そのまま入院させることになりました。
この手術によって、小判は皮膚から人口尿管を通じてオシッコをすることになり、朝晩のパッド交換などが必要となります。
それでも、小判と一緒に過ごす時間こそが自分と妻にはすべて。
幸い、次の日が動物病院の手術日でもあり、希望が見えたと思いました。
ただ、いずれにせよ小判には手術と痛みを強いることになります。
仕方ないこととはいえ、小判は検査のたびに毛を剃られ、検査が終われば、
「もういやだ。早くお家に帰りたいよ。」と鳴きながらケージに戻ろうとする小判を見るたびに、胸が張り裂ける思いでした。
そして、入院と手術の手続きを終え自分が帰る時には、小判はきっと、
「どうして置いていくの?一緒に帰りたいよ」という気持ちで、とても辛かったと思います。
11月25日の手術当日は小判には会えないため、小判の無事と手術の成功を祈りながら、泣く泣く帰宅しました。
11月26日、小判の手術が無事に終わったと連絡がありました。
腎機能に関連する検査値は術前より改善していて、これからまずは体力を戻していくことになると。
幸い小判の入院した病院は自分の職場の目と鼻の先であり、仕事が終わってすぐに会いに行きました。
小判は術後服を纏い、点滴を受けながら診察台の上に座っており、先に着いていた妻に撫でられていました。
傷口が痛むのか、大きな声で鳴きながら立ったり座ったりを繰り返していましたが、強い生命力を感じ、とても嬉しく思いました。
その後は妻と、退院後に小判に着てもらう服や今後のケアについて話し合ったりしながら1時間ほど小判と一緒に過ごし、
「また明日来るね」と小判に言い、病院を後にしました。
そしてこれが、小判との最後の会話になりました。
翌日11月27日の午前中、妻から電話がありました。
「病院から連絡があって、小判が今朝亡くなったって」
頭が真っ白になりました。
状況が理解できず、足にも力が入らず、
「そうか…」
と言うだけで精一杯でした。
その日の夕方、小判と対面しました。
真っ白な綺麗なタオルに包まれた小判。
月並みな言葉ですが、まるで眠っているかのようで、
「遅いよ〜、お迎えには早く来てよ〜」
と今にも起きてくれそうでした。
小判の身体は、術後の傷は痛々しかったですが、病院のスタッフの方が身体を綺麗に拭いてくださっており、その美しい毛並みを取り戻していました。
大好きな大好きな小判の、モコモコで真っ白で、きれいなお手手。
小判を撫でると、身体は冷たいとはいえ、いつもの柔らかい手触りでした。
一つ救いがあるとすれば、体調が悪くてご飯が食べられないということが最後までなく、痩せ細ったりしなかったことでしょうか。
車に乗せるため抱っこすると、お家で抱っこしていたときの重さがそのまま感じられました。
術後の傷が丸見えなのは可哀想なので、帰りにお洋服とお花を買って帰りました。
帰宅後、小判にお洋服を着せてあげ、ブランケットでくるんだ後お布団に寝かせてあげました。
そばには、妻の用意してくれた小さなお花とご飯を置いてあげました。
その後は、妻と一緒に小判の近くで一晩中過ごしました。
正直、ずっと泣いていました。
もみじとかえでは、あまり状況がわからないようで、戸惑っているようでした。
ただ、今思えば、かえでは何故か小判が亡くなった日の朝にずっと鳴いていました。
いつもは、けして朝ごはんのために人を起こそうとはしないのに。
11月28日の朝、小判はただ静かに横たわっていました。
当たり前のことですが、目を開けることもなく、ご飯もおねだりしてくれません。
先生によれば、小判は腎臓の経過はよかったものの、死後の検査で胸水が溜まっていたことから、心臓に隠れた病気があったのではないかとのことでした。
午前2時〜3時頃に先生が尿のパッドを交換した際、またその少し後のカメラ映像では、小判に問題はなかったようです。
急変したのは、早朝なのかもしれません。
確実に言えるのは、小判は1人で苦しんでいたということだけ。
喪失感もさることながら、後悔ばかりです。
小判を病院に置いて帰ったこと。
小判が苦しんでいる時にそばに居てあげられず、ひとりぼっちで旅立たせてしまったこと。
「早くお家に帰りたいよ」
その願いを叶えてあげられなかったこと。
何度考えても心が引き裂かれる思いです。
動物病院に一晩中居てあげられたなら。。。
もっと小判に病院でしっかり検査を受けさせていれば。。。
11月28日の午後、小判を荼毘に付してきました。
今はとにかく辛くて、なかなか立ち直れそうにありません。
少しずつ心が落ち着くまで、静かに過ごしていきたいと思います。
あまり更新はしていませんでしたが、これまで、小判の姿を見ていただいた方々には、ひたすら感謝です。
本当にありがとうございました。
少しずつ画像を探して、思い出と一緒にアップしていこうと思います。
小判、本当にありがとうね。
小判と一緒にいられて、本当に嬉しかった。
小判の猫生は、俺と奥さんの人生にとって大切な一部だよ。
だめな飼い主でごめんね。
かえでともみじを、見守ってあげてね。