禁断のATF交換
目的
修理・故障・メンテナンス
作業
DIY
難易度
中級
作業時間
3時間以内
1
ここ最近、発進時の1速→2速→3速への切替で変速ショックとバドルシフト使用のシフトダウン時にショックを感じるようになり、ATの学習リセットをしても改善しないので自宅でATFの置換法での交換を実施しました。
BMWはATF交換は不要と謳っていますが、高温高圧下での酸化や粘度変化等は起きないわけがなく、変速機製造元のZF社は640iに搭載されているGA8HP45Zミッションはシビアコンディション80,000km,通常使用120,000km以内での交換を推奨しています。
ちなみに5.2万kmでの交換。おそらく新車から変えていないと思います。
なお、当然のことながらメーカーが推奨してない以上、全て自己責任になります。
2
使用するオイルはアイシン製のAISIN AFW+(半化学合成オイル)を使いました。圧送交換でよく洗浄用として使われるコストパフォーマンスの高いオイルです。
比較的古いATにも適合するため、ZF指定のZF LifeGuardFluid 8(BMW純正だと ATF 3+)よりも粘度が高く規格適応外なので自己責任での使用です。
ZF LifeGuardFluid 8はATの伝達ロスを極力低減するため半化学合成の低粘度オイルになっています。
なお、国内で純正オイルを買おうとすると
ZF LifeGuardFluid 8 4,800円/L(輸入すれば2,500円/L程度)
BMB ATF 3+ 16,848円/L
位の値段感です。今回は3回循環させて交換したため、ロス含めると12Lほどオイルを使用しています。
BMWオイルで置換法による交換をしようとすると20万円近くかかります。
ちなみに国内で買える最安のZF LifeGuardFluid 8互換オイルはLIQUIMOLY TopTec ATF 1800で、5L 10,296円で、1Lあたり2,060円です。
公式に互換は謳ってませんが、ZF LifeGuardFluid 8に近い粘度だと、
・WAKO'S ATF P-S
・Castrol Professional FE
・MOTUL ATF Ⅵ
・Shell ATF Plus
・ENEOS X PRIME ATF
・TOYOTA WS
になります。(みんカラのEcoboostさんの情報を参考にさせていただきました。)
TOYOTA WSは燃費極振りなのか、高温時(100℃)の動粘度も他のオイルに比べてかなり低いので、高トルクの掛かる変速機で使用した場合の高速時の油膜切れによる各ギアへのダメージが不安になります。
コストパフォーマンスで考えれば、ENEOS X PRIME ATFがZF LifeGuardFluid 8にスペックも近く、全化学合成でありながら入手性も良くて20Lペール缶で2万円前後なので手頃で比較的安心に使えるかもしれません。(適合が取れていないので自己責任で)
3
まずは、アンダーパネルを外します。8mmのボルトです。
アンダーパネルを外すとATオイルパンが見えますが、オイルパン左右についている遮熱板を外さないとオイルパンの交換とフィラーボルトへのアクセスができないのでこれを外します。(10mmのナット各2個)
ちなみに片方の遮熱板はエキゾーストパイプが真横にあり、ナットに被さっているのでとても外しにくいです。
次にフィラーボルトを外します。8mmの6角レンチで外します。
ボディとの隙間が2cmほどしかなく、通常のソケット入らない上に30Nで締め付けられていますので割と硬いため外すのに難儀します。自分は手持ちのヘックスレンチをグラインダーで切断して挿入部を短くしてからパイプで延長して外しました。フィラーボルトを先に外さずにオイルを抜いてしまうとその時点で手の打ちようが無くなりますので必ず先に外すようにします。
フィラーボルトが外れたら樹脂製のオイルパンのドレンキャップを外します。10mmのヘックスレンチが必要です。樹脂製でナメやすいため、一番奥までしっかり掛けてから回します。
オイルパン内のオイルが排出されます。
約3.5L排出されました。
本来の黄色いオイル色は見る影もなく真っ黒。うっすら鉄粉がキラキラしています。
4
次にドレンキャップを締めます。8Nです。
フィラーから新しいATFを注入します。フィラーから溢れたら注入を止めます。(画像のように余分なATFが溢れます。)
自分は12V駆動の電動オイルポンプを使用しました。
5
使用した電動ポンプです。1,980円の激安品ですが1.5L/分の注入スピードがあり、十分に役目を果たしてくれました。エンジンオイルの上抜きにも使えるようになっているみたいです。ゲーブルが短いのが難点。
ATFがフィラーから溢れたら注入を止め、ホースは挿したままエンジンを始動します。エンジンを始動すると経路にATFが廻り、オイルが不足するため、すぐにあふれるまで再注入します。さらに2Lくらい入ります。
再注入が終わると、エンジンはかけたままホースを抜きフィラーボルトを軽く締めます。
運転席に戻りサイドブレーキを解除して、リバースギアに入れて10秒待ちます。
その後、ドライブに入れてマニュアルモードにして1速にして10秒待ちます。次に2速に切り替えてさらに10秒待ちます。
終わったらパーキングに戻してエンジン回転数を2,000回転に維持して30秒待ちます。
その後はサイドブレーキを掛けエンジンを停止します。
これで各経路とトルクコンバータへのオイルの循環が完了します。これが1サイクル。
このサイクル(ATFを抜くところから)をもう一度繰り返し、古いオイルを段階的に新しいオイルに置換していきます。
6
2回目のサイクルが終わったら再度ATFを抜き、3回目に入る前にオイルパンを外します。13本のトルクスネジで止まっています。使用するトルクスはT40です。
画像は新旧のオイルパン。内部形状とマグネットの取り付け位置が微妙に違いますがちゃんと付きました。
なお、ZFの純正のオイルパンを使用しました。純正は新しいトルクスネジとフィラーボルトが付属しています。
7
外したオイルパンに付いている磁石への鉄粉の付着はそれなり。磁力が弱いためあまり吸着しないのかもしれませんが、ホイルパンの底の粉みたいなやつは鉄粉です。
新しいオイルパンのゴム製ガスケットにATFを塗布し、ドレンキャップが指定の8Nで締められているか確認してから変速機に取り付けます。真ん中から外側に向かう順番で締め付けます。取り付けトルクは10N指定です。なかなか車体下に潜ることがないので念を入れて3回ほどトルクレンチで締めました。
その後は先程と同じで3回目のオイル注入を行います。
フィラーから溢れたら注入を止めるところまでは先程と同じです。ただ、ここではエンジンはかけません。
一時間ほどそのままの状態で放置して変速機内のオイル温度が下がるのを待ちます。
温度が下がったらイグニッションに入れてISTA(整備システム)と接続します。
サービスファンクションからパワートレインを選択し、オートマオイルのレベル調整を選択肢し、エンジンを掛けて追加のオイルを再注入します。
画面の指示に従って操作します。基本的には先の手順と同様ですが、温度指定が入ります。ATF温度が30℃〜40℃になったら先程と同様にギアを入れたりパーキングでの2,000回転保持と同じ指示が出ます。
それが終わり、40℃から50℃になったら自動的にフィラーから余分なATFが排出されます。この時点で排出されなかったらオイルが不足してますので注入します。
排出か止まったらオイルレベル調整は完了です。フィラーボルトを指定の30Nで締め付けます。
粘度が変わったので、ついでにATの再学習(学習リセット)を行って終了。
ちなみにインターネット上で書かれているISTAを使わないATの学習リセット方法(アクセルペダルを踏み込んでスタートボタンを押す等の方法)はガセでリセットされませんので素直にISTAを使うしか方法はないです。(ISTAで学習値が変わらないことを確認)
8
あとはオイルパンやらに付着したオイルをブレーキクリーナーで掃除したあと、遮熱板を取付けてアンダーカバーを取り付けて作業終了。
100kmほど下道と高速で試走し、バドルシフトを使って高回転まで回しましたが、シフトショックはなくなり、とてもスムーズで早い変速になりました。懸念していたオイル粘度の高さでトルクコンバータが滑るということもありませんでした。
今後の不具合については要検証ですね。
次回は2万kmを目安にENEOS X PRIME ATFを入れようと思います。
かかった費用はATF 約9.5千円
オイルパン18,900円、電動ポンプ1,980円でした。
作業時間は車体をジャッキアップするところから下ろすまで約3時間でした。電動ポンプが無かったらもっとかかってたかも。
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