当たり前のこと

２０１９年の夏に話題となった
「天気の子」を今更ながら見てきた。

空とつながる…

何か通ずるものがある気がしたのはなぜだろう…

仙人村に出社する途中、朝の贅沢な感じをもう少しだけ満喫したくて
そのまま会社へ行かずに雲海ロードに車を走らせる…


定点観測地点というわけでもないが、地元の人さえ知らない僕だけのとっておきの場所があって、そこに向かっていた矢先のことだ…

目的地までは目と鼻の先

いよいよというタイミングで

僕の目の前に飛び込んできたのは　

バイクを倒して途方に暮れていた若い女性ライダーだった…

一生懸命手を振ってこちらに助けを求めている


殆ど車も通らない雲海ロード

女性ライダーは不安で仕方なかっただろう…

「大丈夫ですか？」
僕はすぐさま車を止めて、トランクから手袋を出した

女性ライダー　「起こすのを手伝ってもらえませんか？」

女性ライダー：「私がこっちを支えますので…」



僕：「大丈夫ですよ　離れていてください」

カレーで痛めた肩がまだ痛かったが、単純に一刻も早くこの女性ライダーの不安を取り去ってあげたかった。

それに、こういうのは自分のタイミングでやらないとバランスが崩れてかえって危ない…　本能的にそう感じたんだと思う。

肉体労働者の僕にとって、地面に横たわった２５０ｃｃのバイクを起こすことなど特別なことではない

だが、この女性ライダーにとっては一大事だったわけだ



起してはみたものの、なんか色々と損傷しているように見えた

ミラーはあらぬ方向に
ステップは折れ

クラッチも…
チェンジペダルは曲がって車両に挟まり動かなくなっていた…



満足に走れないことを察した女性ライダーは一気に悲しそうな表情に変わる…



聞けば、雲海を見たくて遠い場所から一人で来たとのこと

本格的な一眼レフを持っていた…

写真に夢中になった瞬間にバイクが坂道で転倒したのだろうか？

それとも景色に興奮して止まろうとした時に坂道で力が入らずに立ちごけをしたのだろうか？

心中を聞いてしまったからには、あとにも引けない…

僕：「雲海を撮りに来たのですよね？　もう撮りましたか？」


女性ライター　：　「２枚くらい…」

僕：「せっかく来たんです。すぐそこにいい場所があるので行きましょう」


僕はバーさんに彼女を招き、雲の中に沈む町を僕の場所で見せることにした

「どうぞ、ここで写真を撮るといいですよ」

この日、自分の定点観測として写真に残したのはスマホを見たらこの一枚だけだった





でも、いい。

僕は今の時期　晴れればかなりの高確率で雲海が見れる


今日はこの人が本来やろうとした目的の一つを完璧な場所で撮影してもらえたからそれでいいんだ


ファインダー越しの世界は撮る人の気持ちが表れるから、どのような写真になったのかは知らないが、それは彼女の思い出。

この場所では僕は仙人ランドのキャストだから お客様の心が晴れるのが一番



その後バイクの元に戻りＵターンしてあげて、
女性ライダーをの後ろを車で走り、峠を下ったコンビニまで送り届け 会社には１時間半遅れて行った。



誰かが困っていることは自分にとって当たり前に解決できること…

誰しもそんな経験はあると思う


自分は色んな人に見返りなしで沢山助けてもらった。


だから僕に出来ることが目の前で起きていれば、僕はほかの誰かに恩返しをする


お金だけじゃない、　恩というのも天下の周り物だと思うんだ。


あの子はきっと、他の誰かが困っていた時に　手を差し伸べる人になるだろう


天界と地上の狭間　雲の上でそんなことが起きていた。


本当はブログネタではないのだけど、これも僕にとって日常のこと


ありがたい人生だ


おわり