
昨年の9月から11月にかけて、仕事で毎日東京と御殿場を往復していた。距離にして往復200キロで大体3時間から4時間くらい。
運転の時はCarplayでお気に入りのプレーリストを再生しながらというのが習慣だったが、ふと1ヶ月無料だったオーディブルを試してみることにした。
読み慣れた村上春樹の小説なら、そこそこの集中ですむだろうと思い、「騎士団長殺し」を聴き始める。流石に標準では間延びしてしまうので、1.5倍速くらいにした。ちょっと早いくらいだったが、それでも聴き取れた。2倍速以上も試したみたが、何を言っているのか全く聴き取れなかった。
何冊か聴き終えて、再生速度を徐々に上げていく。速度を上げると聴き取れる部分とモゴモゴしてしまう部分が最初はあるのだけど、モゴモゴ部分にも徐々に聴き取れるようになる。
そうこうしているうちに、2.75倍速でも問題なく聴き取れるようになった。
今日同じ「騎士団長殺し」を最速の3.5倍で再生してみたが、問題なく聞き取れるようになっていた。
人間の感覚の適応力に驚かされる。
以前の職場で視覚障害者と一緒に働く機会があったが、彼らが聴くメールの再生速度に驚かされた。私には全く聞き取ることができなかった。そんな経験もあって、自分もあんなふうに聴き取れたらいいだろうなと思っていた。
これをやってみて思ったのは、我々が普段どれだけ目からの情報に頼っているのかということ。音声の情報が同時にあったとしても、目からの情報を優先させている。そして目に対して過剰な負担を強いている。オーディブルを聴くことで、脳の聴覚の部分を活発にさせて、同時に視覚の部分を休ませることができているのではないか、と感じることがある。そしてそうすることで思考のバランスをより正常な状態に回復しているのではないかと感じる。
考えがまとまらない時、目からの情報を遮断して、耳からの情報だけに集中させてみるのはオススメ。
Posted at 2024/06/27 15:39:10 | |
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