帰り道、車を運転しながら(…今までのはひょっとするとすべて夢だったのでは…)と思ってしまった。そう思うのも自然なくらいの貴重な体験をさせていただいたので、つとめて真面目にブログに綴ろうと思う。
「6月5日(水)、6日(木)でマガリガワ行きませんか?」
過日、居間でゴロゴロしていた私は、LINE通知音とともにスマホに表示されたポップアップを見て跳び起きた。
私の親戚のMさん。彼からはそれ以前にも事あるごとに何度か「会員になったので招待します」「一度来ますか?」などとお誘いいただいていた。
THE MAGARIGAWA CLUB
フェラーリなど高級輸入車のディーラーとして有名なあのコーンズが運営する、アジア初の会員制ドライビングクラブ。会員は愛車に乗って出向き、あるいは既に施設に預けてある愛車でクローズドコースでのドライビングを愉しむのだそう。レストランやバー、その他娯楽施設や宿泊施設も併設されている。
(いや俺、場違いすぎるでしょ。Mさんも社交辞令でそう言ってるだけだよね)
そう思った私は『ではせっかくなので機会があれば』と返答はしつつも、具体的な話はまとまらないんじゃないかと思っていた。
そこへ冒頭の一文である。
盛大に気後れしつつ、家族に相談すると「まぁ誘われたなら行ってみればいいんじゃない」と言われる。まぁ、そうか。
行くと決まれば準備をせねば。
コースを走るにはヘルメットとグローブが要るらしい。これはネットで購入。ついでにドライビングシューズなるものも初めて買ってみた。
…ちょっと待ってくれよ。サーキット走行などは原則長袖長ズボンというのは知ってる。だけど相手は高級サーキットだぞ。ロンTにジーンズみたいな格好ではやはりダメか?サーキットにもドレスコードとかある??やはりレーシングスーツ?
しばし悩んだけれど、Mさんからは特に何も言われてないし、自分はただの庶民なゲストだ。走行用のロンTと、その他のシーンで着れるようにポロシャツだけ鞄に押し込んで、前泊の宿へ出発した。
翌朝。宿までMさん夫妻が迎えに来てくれて、久しぶりの再会の挨拶もそこそこに、さっそく彼の地までツーリング。
なにかの媒体で見たことのあるゲートを抜けて
コースピットへ。
YouTubeで、あるいはウェブサイトで溜め息をつきながら眺めたピットに、私は今、立っている!
Mさん「どう?ここ。僕くらいのジジイには快適で良いんですよ(笑)」
(普通の『ジジイ』はコースをガンガン攻めたりしないんだけどね)
※隣はMさんの911です
ハルちゃんも「…え?」と戸惑っているように見える。
大丈夫、私も同じ気持ちだよ。
Mさん「BMWもパッドのコンディションとかひと通り見てもらって軽く走らせてみましょう」
というわけで到着早々丸裸にされるハルちゃん。
『いやぁ、お恥ずかしいです』「いやハルトゲなんて珍しいですね!初めて見ましたよ」
意外や意外、雲の上でも案外チヤホヤされる。
…ま、まぁレア度で言ったらパガーニ・ゾンダ・チンクエと肩を並べるレベルだし
簡単な点検の結果「自走で帰ることを前提と考えれば、パッド残量が少なめなので全開で何周も走るとヤバいですが、軽く周回する程度に留めれば問題はないかと」
8時30分 初回講習
コース走行における注意事項
(追い越させるときのルールや手順については血眼になって聞きました)やデジタルフラッグの種類と意味、コースインとピットインのルールなどを説明を受けてから、先導車を自車で追走して座学の復習とコースの説明を無線で受ける。
ちなみにこちらのコース外のグリーンの舗装
これはコースより摩擦係数の高い舗装になっているそうで、コーナー進入でオーバースピードだった場合などはハンドルを切らずグリーンを使ってフルブレーキすればより短距離で止まれるらしい。
どこかの紹介動画のコメント欄に「見栄えは良いけどコース外の舗装滑りそうでヤバい」とか言ってる人がいたけどそんなことないので安心してください。
無線でインストラクターに「(ハルトゲ)良い音してますね♪」と褒められてニヤリ。
初回講習終了後、GPSトランスポンダー(車両の位置を把握するためだそうだ)をフロントガラスに取り付けてもらい、タイムトランスポンダー(こちらはラップタイムを計測するため)を助手席ドアポケットに入れて、いよいよハルちゃんでフリー走行。
急がない普段の運転は、古いバスみたいにダブルクラッチで必要なだけ時間を使って優しくギアチェンジしているが、コース走行となれば
脳内シフトモードをTRACKにしてシングルクラッチの電光石火で!
800mストレートでは160kmくらいまで出ただろうか。そこからタコツボコーナーと呼ばれる左ヘアピンに向けて80km程度まで減速するのだがそんなフルブレーキングやったことないのでマージンを持たせて手前から減速。
タコツボを回ったら緩いS字を縫って700mのバックストレート全開!
…わかっていたつもりでいたけど、ハルちゃん思いの外、走れるじゃないか!
くそー悔しいな。ブレーキ死ぬほど使いたいなー。
主治医に『今度MAGARIGAWAを走るんだけど、まぁ軽くドライブ感覚にしようと思ってるんだけどそれでも何かやってもらった方が良い?』と相談した過去の自分をぶん殴りたい。『200kmからのフルブレーキングに耐えるブレーキにしてくれ』と頼むべきだったんだ。
ただ、全開で走らなくても、軽く流しても愉しめるのがこのコース(って、有名な誰かが言ってました)。
天気も気持ちの良い晴れで、黒とグリーンのアスファルト、ゼブラの縁石のコントラストが実に美しい。
勾配20%の上りはハルちゃんちょっと辛そうだけど、勇気を出して空に突っ込んでいくつもりで踏んでいくと、登り切った先に豪華なクラブハウスが現れる。ピットの中もちょっと見えるんだ。みんなあそこに居るんだな、あそこに帰ればいいんだな、そう思うと安心できる。
荒波に揉まれながら航海を続け、やっと母港の灯りが見えたときの船長ってこんな気分だろうか……
まぁ楽しいからもう1周するんですけどねw
そんな感じでゆるっと何周かコースを堪能してピットイン。
M夫人&スタッフ「どうだった?」「どうでしたか?」
『いやぁ……メチャクチャ楽しいです!』
Mさん「どう?慣れてきた?
じゃあ……
続く
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Posted at
2024/06/08 10:25:17