第1章はコチラ←
Mさん「今度はコレに乗ってみて」
ポルシェ911GT3RS(991)
『う…』
「さっきコレで同乗レクチャー受けたんだし、大丈夫だよ乗ってみて」
ハルちゃんでフリー走行する前に、インストラクターの運転に同乗して911の運転をレクチャーされていたのは事実。
…しかし、嬉しいような恐ろしいような。。
でもLINEで既に「BMWで慣れた後は991に乗りますか?」と打診されていて、私も『ではMさんが貸しても問題ないと判断なさった時には』と返答しており、もはや断る理由もない。
ポルシェのPDKは言うまでもなく、DCTどころかセミATというものすら運転したことは無いのだが…
「パドルも使えるけど、基本的にDで走ってればいいから。それが一番速いよ」
『…じゃあ、行ってきます』
なるほど走り出しは少しギクシャクするが、あとはフツーのATだ。ただし、メカノイズがたっぷり、後ろから追いかけてくるのが只者では無い。
コイツを手懐ける自信は無いが、備わるのは世界最強と噂される「ポルシェのブレーキ」。
恐怖を覚えたときに踏めば、確実に静止させてくれるはずだ!
名物800mストレートでアクセルを床まで踏んでみる。
メカノイズと給排気音、加速Gがごちゃ混ぜになって襲い掛かってくる。タコメーターを読む余裕は無い。レブリミットはまだなのか。
『なにこれwうわっはっはっはww』もはや笑うくらいしかリアクションのしようがないw
巨人にドカッと背中を蹴られたような遠慮ないシフトショックを伴って電光石火のシフトアップ。これがDCTの成せる業か!
笑ってる間にタコツボが迫る。踏み替える右足。言うまでもなく制動力も申し分ない。カチーンとした踏み応えでグッと減速。こちらはまだまだ余力がありそうだ。
コーナーリングは努めて慎重に。RRに嚙みつかれたら生きて還れる自信は無いぞ。だがブレーキング同様、マシンより私の精神限界が手前と見える。挙動に危なっかしい気配は皆無。
『あぁ。俺もう死んでもいいや』誇張ではなく本当に声に出した記憶がある。
夢中で何周か回って帰還。。ふぅ。
「おかえりなさい」「どうでした」
『
…本望です。もう死んでもいい』「そんなに!?」
Mさん「じゃあ今度は」
ポルシェ911GT3RS(992)
…え、だってコレ。1月に手に入れたばかりのド新車じゃん。たしかに慣らしは終わったって言ってたけど。。
「乗り比べ」『違います?』「違います」『でも私のレベルで感じ取れるか』「わかります」
「今度はべんべぇ君にコレ乗ってもらう。DRSとか使い方教えてあげて」とスタッフに伝えてMさんは立ち去ってしまう。
ハイテクデバイスの使い方をひと通り教えてもらう。だけどさー…
スタッフさんはこのマシンがいかに凄いかも語ってくれた。
「911ってフロントはストラットなんですよ。でもこの型のGT3とGT3RSはダブルウィッシュボーンなんです」『えなにそれもはや911だけど911ではない、みたいな』「そんな感じです。
私の個人的な見解ですけど。結局911ってフロントで逃がして安定を図る、みたいな設計なのかな?と。そこをアップグレードしてフロントの限界を上げちゃったのがこのモデルなのかなと。それってどんな性能なのか?…どうぞ体験してきてください」
『じゃあ、行ってきます』
ピット外のコースインシグナルまで進む。あれ?991では無かったクリープがある(記憶違いではないはずだ)。ノイズもずいぶん抑えられていて、うーん変な表現でしかないが『乗用車的』。
ストレートでアクセルを踏み抜く。やはりNAの炸裂感と怒涛の加速。
タコツボを回って出口のS字。アクセルを踏み抜けずにまごついていると「これしか踏まないの?ならもう良いよね」とシフトアップされてしまい、アクセルを踏み足すと「最初からちゃんと踏め!」と舌打ち交じりにシフトダウン(※私は被加害妄想強めw)。SPORTモードではどうだ。まだダメか。もっと踏めってか?
クルマが私を煽ってくる。
全体的に991よりしっとり上質。安定感も強く、陳腐な表現だが良い車だ。
プラシーボかもしれないが、ターンインで曲がり切れない感覚になった時、その先に切り足す余地があるような余裕を感じた。
「おかえりなさい。どうでした」『いやぁ全然違うもんですね!
さっき死ななくてよかった。こっちの方が「死んでもいいや」』
Mさん「どう?DRS試してみた?」『あ、そこまでの余裕は無かったですね(汗)』「なんだそうだったの」
「じゃあお昼食べに行こう」『は、はい』
…ほぁー
何食べよう。なんだが胸がいっぱいで何も入らない気もするけど、でもあんまり軽いものだと
「遠慮するんじゃないわよ」とか言われてしまうだろうな
「べんべぇ君、カレーとかどう?」
(カレーか!それならスプーン1本でスルッと食べられて)
スタッフ「伊勢海老を丸ごと使って御用意いたします」 『』
テーブルマナーとか大丈夫かな…最初こそそんなこと思わされたけど、整えられた空間と接客はゲストをもてなし、くつろいでもらうためのものであって、マナー試験会場じゃないんだ。そう思えたら、食事の時間もとても楽しめた。
あと、本当に何を食べても驚く美味しさだった。
高価でもその価値があると感じた。
つまりスーパーカーみたいなものか。
Mさん「べんべぇ君のBMWは左ハンドルのMTなんだよね」『そうです』
「じゃあVITAも乗れるね(笑)」
VITA
M夫人「べんべぇ君は次何に乗るの?」Mさん「VITAだよ」「だめよそんな強制しちゃ!乗りたいものに乗せてあげなきゃ」
『いや乗ってみたいです』
エンジンはVITZ。電子制御無し。そこまでは話に聞いていた。
(なんだコンパクトカーのエンジンかw)と思うなかれ。生でサウンドを聞けば痺れるぞ。
ヘルメットを被ってコックピットに沈む。初レーシングハーネス。ヘルメットに視界を蹴られて手元が見えない。スタッフにぎゅうぎゅうに縛り上げてもらう。
『このマシンウインカー無いですね』「はい」『追い越される意思表示はどうすれば』「わかりやすくコース端に寄ってあげれば大丈夫です」
エンジンスタート。何も聞こえない爆音。アクセルペダルはこれか?ちょっと踏んでみる。生傷に触れられた猛獣のように背後から雄叫び。
カッチリしたクラッチを踏んでHパターン1速。鼻先がまったく見えない。ハンドルも切れない。展示車?試乗車?のアストンマーティンに擦らないかヒヤヒヤ。スタッフが誘導してくれる。ホント?ホントに行ける?
シグナルグリーン。コースへ下っていき合流。いつもの癖で右後ろを振り返るがカウルの内側が見えるだけ。怖い。(※少なくともこのコースに関しては、近くに走行車両が居る時はコースインさせない管理をしていそうだけど)
路面が近い。やっと慣れてきたコースが表情を変える。2速全開 3速に入れ…あれ変だな。これは5速か。3速5速のスロットが近いからミスに注意と言われていたが。。
タコツボ。H&T…フットスペースが狭いからか上手くいかない。これはアレか、T&T(トーアンドトー)のヤツか。ステアリングはクイックで重い。動きは機敏。
ステアリング上部のシフトランプがパパパパッと点灯。シフトアップ。今度は本物の3速だ。全開。走行風とエンジンの熱、高揚感が混じり合って熱いのか涼しいのかよくわからん。
怖いのは「縦ブラインドコーナー」。ピットレーン手前の「スカイコーナー」はもちろん、後半のテクニカルセクションの入り口も右に曲がりつつ上り→下り。
視点が低いからマジでコースが見えない。インの縁石はこの辺りか?しまった!もっと奥だったか!
縦と横の操作に加えて右手シフトと左足クラッチ。慣れないT&T。忙しい忙しい。
足が疲れて痛い。
でも楽しいっ!
帰還。インストラクターが来て、モニターで見ていた走りを評価し改善点を教えてくれる。
『せっかく教わったので忘れないうちに』とひと休みして再出走。
1周1周、もっとこうか。ここはこうだ。もう少しガマン。ここは3速。ここは4速。
へとへとになって帰還。
『いやぁ面白い!』「それがタイムに出てましたよ!段々早くなってる!」
1日目の最終タイムは2分7秒台。「明日は2分切りだね」
…ななびょうかぁ
これにて1日目の走行終了。あー楽しかった。
なんだかみんながソワソワし始めた。そうか。夕方Mさんの新しい車が届くって言ってたな。おや。積車が来たらしい。。
続く