20100305 躑躅ヶ崎館１

　甲斐国山梨郡古府中(現在の山梨県甲府市古府中)にある躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)です。
武田信玄の父、信虎が造営し、信玄、勝頼と武田氏三代の領国経営の中心でした。
現在残っている遺構の規模は、｢館｣という言葉から想像される以上に大きく、東西450m、南北600mほどと完全に｢城｣ですが、武田氏三代とその後に順次拡張された結果であり、信玄のころまで主郭部のみか、せいぜい西曲輪がある程度だったようです。

　甲府盆地を形成する扇状地の北端にあり、平地というよりはかなりな斜面で、甲府市街から結構登って来た印象です。

①
左上　主郭部には、武田信玄を祭る武田神社があります。
神社は大正時代に造られたもので、神社の正面入口や石段や石垣もその際に設置されたものです。
武田氏三代やそれ以降を通じて、主郭部の南側に出入口が設置されたことはありません。

右上,左下　主郭南面の水堀です。
武田氏の時代には、水堀ではなく空堀だったとようです。

右下　主郭の周囲は、高さ4～5mの土塁で囲っています。
主郭の内部は中曲輪と東曲輪と、かつては土塁等で分割していたようですが、神社が造られた際に破壊されたようです。

②
左右上　大手門は、主郭東面にありました。
境内に車を乗り入れるために、土橋の幅等が改変されていますが、大手門付近の土塁はさすがに高く見応えがあります。

左右下　主郭東面の堀は、土橋を挟んで北側は空堀、南側は水堀になっています。
空堀は、堀底から土塁頂部まで15mほどの高低差があり、これも見事なものです。

　武田神社宝物殿前には何故かこんなものが･･･
何で？

宝物殿では、それが掲げられただけで兵士の士気が揚がったという｢風林火山｣の幟や、宿敵上杉家の｢毘｣の旗(両方とも本物)が展示されていたのですが、城攻めが先！と後回しにしたら忘れて引き上げてしまいました。残念･･･

　信玄自らが使ったかどうかは怪しいですが、主郭内部には2つ井戸跡があります。
ここで汲んだ水を飲んでいたのは間違いないでしょう。

③
　あまり大きな声では言えませんが･･･
立入り禁止の場所ですwww

主郭の北西部角にある天守台跡です。
土塁よりさらに高いので、7,8ｍくらいはあるでしょうか。

　武田氏滅亡後、甲斐には織田信長配下の武将 河尻秀隆が守護として入りますが、その数ヶ月後に本能寺の変が勃発し織田信長が自刃。
最前線の武将達は一転窮地に立たされ、中でも河尻秀隆は、武田氏遺臣を中心とする一揆に会い、攻め殺されてしまいます。
その後、混乱する甲斐に徳川家康が進出し、配下の武将 平岩親吉を配置します。

平岩親吉は、その後甲府城を築城することになりますが、それまでの一時期、躑躅ヶ崎館を改修し使用していました。
天守台のその際に造られたものです。
天守閣がどのようなものだったのかは、分かっていません。

④
左右上　主郭西面にある西曲輪に繋がる虎口です。
虎口には土止めの石積みが残っています。

左右下　主郭と西曲輪の間の堀です。
大手と同様に南側は水堀、北側は空堀になっています。
ここの空堀も見事です。

⑤
　西曲輪の内部は、扇状地の傾斜に合わせて階段上に三段になっています。
近年まで藤村記念館という洋館があったそうですが、移築されて現在は更地。
ほかは雑木林になっています。