
さて、昨日の続きを。
主な低迷の原因が「
主力のケガ離脱が多すぎ&長すぎ」ということを書いたが、もうひとつ書いておきたい。
とりわけ今季は、いわゆる
「ミシャ式」が研究されつくされてる感が強い。
競技経験のない私の意見なので話半分で聴いていただきたい。
ミシャ式のキモは
①可変システムで攻撃時に数的優位を作る
②その上でGK含めたバックスには攻撃参加や展開力など「守備力より攻撃力」が求められる
③なのでDFラインには本職がボランチやサイドバックの選手が入ることが多い
④そのため守備は「シュート打たれても枠に飛ばなければOK」
だから「並の戦力でオーソドックスなサッカー」相手ならば圧倒できる一方
・スペースを埋める走力を備えた相手
・DFラインに脅威を与える能力を持つ相手
にはもろさが露呈する。
一番わかりやすいのが、0-5と惨敗した鳥栖戦。
あの試合では、可変システムで一生懸命数的優位を作ろうとする札幌に対して、お得意の走力で
スペースを埋めチェックをしまくった鳥栖がセカンドボールを奪い続けてゴールラッシュとなった。
鳥栖・川井監督のインタビューを読むと「別に走るのは目標ではない。ボールを前に運び、人も前に進むのが重要」みたいな言葉を残していた。
止まってボールを受けようとする札幌と、前方への推進力を持ってボールを奪おうとする鳥栖。ジャンケンのようなもので、これは何度やっても勝てない。なので、ホームでの逆転負けも個人的には「ま、そうでしょうね」と納得できるものだった。
同じ理由で、J3・いわきFCと試合したら多分負けるよ、天皇杯の時みたいに。
類似するケースとしては、
4-0で快勝した磐田戦を挙げる。「は?磐田?」と思うでしょうが、あの試合では後半途中に退場者が出て数的優位となったものの、ATまでゴールを奪えなかった。その理由は鳥栖戦と同じで「磐田は数的不利を埋めるべく走力を使い、前方への推進力を持った守備のおかげでむしろ11人そろった時よりもゴールに近づいていた」「逆に札幌は数的優位からフリーになれる場面が増え、その結果運動量が落ちてしまい磐田の守備からボールを奪われるシーンも増えた」「磐田の燃料が切れた結果が後半ATの2ゴール」だった。
選手がミシャ式を理解すればするほど、このドツボにハマってしまう。
理解が弱ければ無駄走りをする、そうすれば相手も対応せざるを得ないので、結果として流動性が生まれる。
負けた試合ではこの流動性という部分が見えないことが多く、ただ
突っ立ってボールを受けようとする選手ばかりになってボールの出しようがなくなる。
もうひとつのケースとしては、
開幕戦の清水戦を挙げる。
この試合、相手攻撃陣が執拗に
札幌DFにプレスをかけ、その結果札幌は後方からのビルドアップが出来なくなった。試合は1-1のドローだったが、どこのチームもこの試合を見れば札幌対策として良い予習となったことだろう。シーズン序盤のドロー地獄は、この対策により得点力が落ちた上に守備陣の弱さも合いまったものと考える。
上記2つを解決するアイデアは、たったひとつ。
強いCFを前線に配置する、ただそれだけ。
元々、札幌にはそれが出来る
ジェイ・ボスロイドがいた。
都倉にしてもそう、
ロペスもそう、タイプが違うが
武蔵もそう。
相手がいくら運動量でスペースを埋めようが、ロングボールへの対応という点では五分と五分。ジェイのような競り合いに強いFWがいれば、相手はそこで味方が競り勝つ前提で前に行くなんてこともできないワケだから。
DFラインへのチェックにしても同じ。フォアチェックに人数を割けば、それだけ中盤や前線(相手からすれば後方)にスペースが生まれる。チェックを受ける中でパスではなくロングボールを蹴れるならばDFラインは楽だし、ロングボールが前線で収まればスペースも多いからパスコースも増える。
問題は、それを遂行できる選手が札幌の前線にいなかったこと。
ミラン・・・恐らく、上背はあるけれどセカンドストライカータイプ
ドド・・・ミラン同様、上背はあるけれどパサーorボランチタイプ
興梠・・・ポスト役をこなせる選手だが上背がないのでハイボールでは勝てない、そもそも離脱していた
小柏・・・スピードでDFを引っ張れるし本来1トップ候補だったが、とにかくケガが多すぎて計算に入れられない
シャビエル・・・そこそこボールキープは出来るがCFタイプではない、離脱していた
荒野・・・悪くはないが1トップ・ゴーラーとして抜きんでた長所はない
守備も攻撃もガタガタだったシーズン中盤、私は考えていた。
『守備重視なら使えない、でも攻撃としては使いたい。ならば、
福森と宮澤は前線で使えばよいのでは?』と。
元々、
宮澤は将来を嘱望されるFWだった。しかも守備重視の室蘭大谷の1トップとして。
守備力があると考えるから後ろで使いたくなるのであって、そこを無視すれば「ボールキープできる」「足は遅いが競り合いには強い」「パンチ力あるフリーキッカー」である
福森はむしろ、前線にいた方が消耗が少ないのではないか?と。
もちろん、それは現実的ではない案。
だが、興梠が交代で退くとサッカーが成立しなくなる問題を解消しなければ、ズルズル降格の沼に沈んでいくのではないかと感じていたので、キム・ゴンヒはまさに救世主であった。
獲得した選手をしばらくはサブにも入れない
ペトロヴィッチが即ベンチ入り・試合起用したのも、監督も同じ考えでそのような強いFWを渇望していたからではないだろうか?
韓国人FWと言えば、大陸系らしい
エゴイスティックさが長所だと考えているので、ある意味キム・ゴンヒは「韓国人らしくない選手」だな、と。競り合った後よくサイドに流れてチャンスメークしたり飛び込むスペースを作ったり。でもそれは、札幌にとって一番必要なプレイであり戦力であったと思う。
もしかしたら、水原三星でゴール数が異常に少なかったのは、シュート技術の低さではなく
「味方を活かすための献身的な動き」の結果だったのではないか、と。
スパチョークとのコンビがジェイ・チャナティップ「ダブルジェイ」の再来とも言われているが、こと後半途中からの投入時にはそれに近い期待感がある。
さて、残留争いの話。
1ヶ月前に
「J1リーグ残留ラインは勝ち点33」と書いた。
その数字に特に深い根拠はないのだけれど、残り約10試合の時点で単純に『
ここまで4~5勝しかしてないクラブがここから4~5勝できるワケない、出来たとしても1チームくらいでは?』『期待値としては、
そこまでの勝ち星のせいぜい半分か』という考えから。勝ち点22~23のあたりに下位2クラブがいたので、そこに3勝分足したら31~32、だから33。
その点、札幌は24節時点で6勝(勝ち点28)を挙げていたので、3勝は期待してもいい現実的な目標。
3勝したら勝ち点は37、ならば下位にいるクラブは最低4勝はしないと札幌を上回れない。
本音としてはホーム4連戦で3勝挙げて、残留争いを高みの見物したかったところだけれど、結果は2勝2敗。普通に考えれば「残留当確」なのだけれど、もちろん
ここから残り全敗したら降格もあり得る。というか、ここから6連敗するようなクラブは降格して当然なので論ずる意味もない。
残り試合は、
優勝争いのマリノス・川崎・広島。中位の浦和に残留争いの福岡・清水。
普通に考えれば、前者から勝ち点取れればラッキー、後者からは勝利。
と、なるのでしょうが、
ミシャ式の長所と短所を考えればむしろ、後者から勝ち点3を得る方が難易度の高いミッションになるかもしれない。
余談としては、川崎以外の5チームとは前半戦ですべて引き分けている。
ケガ人だらけの6月川崎戦ではリード→追いつかれ→リード→追いつかれ、後半40分までは同点だった。
これを踏まえると、すべてに勝つチャンスがありそうに見えるし、すべてにやられそうにも見える。サポーターのはしくれとしては、ポジティブでありたい。
Posted at 2022/09/15 00:07:55 | |
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