2024年03月25日
ガラス(系)コーティングは、実はガラスではなくシリコーン(1)
いきなりですが、ガラス(系)コーティングと聞いて、どういうものか正確に説明できますか?
「強固なガラス被膜でボディー(塗装)を守るコーティング剤」
・・・そんなイメージを持つ人が多いと思いますし、実際そのようなイメージで説明している業者も多いようです。
さて、そんなイメージを抱くガラス(系)コーティングですが、実は殆どの業者は「ガラス被膜で」と言っている訳ではなく、よくあるのが次のような解説。
「主成分はガラスではなく、二酸化ケイ素という物質です。シロキサンといったガラスの組成に似た成分を原料とすることで強度を増し、車に使用できるようにしています。」(※)
ただ、このような説明を受けると、「ガラスって確かケイ素が原料だったよな~」程度の認識の消費者は「なるほど、ガラスコーティングというからには、やはりガラスと同じ成分の原料を使って強固な被膜を作っているんだな」と考えるでしょう。
しかし、実は、
「二酸化ケイ素、あるいはシロキサンを原料とする」は言い換えれば「シリコーンを原料とする」と同じことを意味します。
以下、信越シリコーンのQ&Aから引用
ここから→
『「シロキサンとは、ケイ素(Si)と酸素(O)が交互に結合してポリマーが形成された状態のことをいい、シロキサン結合と呼ばれるシリコーンの主骨格となっています。炭素結合(C-C)の結合エネルギーが356kJ/molであるのに対し、シロキサン結合(Si-O)は444kJ/molと大きく、非常に安定しているのが特長です。また、シロキサン結合は結合角が広く、らせん構造をしており、これらの分子構造がシリコーンの特長を生み出しているわけです。」
「シロキサン結合に有機基がついたオルガノポリシロキサンをベースとした材料を総称して、シリコーンと呼びます。(中略)
シリコーンポリマーは、シロキサン結合が主骨格であるため耐熱性や耐候性、化学的安定性などに優れ、さらに有機基(主にメチル基CH3)を持つことからはっ水性や離型性といった独特の界面特性をも備えているのです。」』
←ここまで
ガラスに似た成分を使っていると謳って、表面に強固なガラス被膜を作るようなイメージを抱かせますが、結局はシリコーンを原料とするコーティング剤なんです。
つまり、前回のオルガノポリシロキサンと同様に、
シリコーンでは有り難みがないので、二酸化ケイ素だのシロキサンだのと言っているのです。
なので、ガラス(系)コーティングと呼ばれているものは、市販されているもの、業者が施工するものを含めて、実は全てがシリコーン系ということになります。
よって、コーティング剤はシリコーン系かフッ素系かの2つになります(フッ素樹脂系の場合、それだけでは被膜が弱いため、実際はシリコーンが含有されているものが多いので、逆に言うとシリコーンを全く使っていないコーティング剤の方が珍しい)
中には、うちが施工してる「ガラスコーティング(系はつかない)」は、その辺のガラス系コーティングとは別物だと主張する業者もいて、
「ガラスコーティング剤には、シロキサンと呼ばれる成分が含まれる商品がありますが、シロキサンとは、ケイ素と酸素が交互に結合してできた物質です。そして、ガラスはケイ素の酸化物である二酸化ケイ素でできています。
詳しい化学反応は難しいので省きますが、ガラスと同じ元素から成り立つシロキサンが含まれたものは、シリコーンやフッ素などが含有されたガラス系とは違い、何も含まれない完全な無機物のガラスコーティングです。」というような感じで、うちはシリコーンを使った偽物のガラス「系」ではなく、本物のガラスコーティングだと説明していたりします。
・・・先ほどの信越シリコーンの説明内容を(言われなくても)理解している化学に詳しい方なら、この業者の説明の矛盾に気が付くでしょうが、おぼろげに高校化学程度の知識しかない消費者なら、「そうか、純粋なシロキサンを原料とするものが本物のガラスコーティングで、シリコーンを原料とするものは偽物(?)のガラス系コーティングなんだな」と納得してしまうかもしれません。
ですが、これも間違いです。
理由は次に書きます。
注釈(※)
この表記だと、そもそも硬度と強度の区別がついていないようですが、言うまでもなくガラスは硬度は高いが、強度は低い(簡単に割れる)
何でもかんでも「剛性ガー」と叫ぶ自動車評論家がいるように、硬度と強度と剛性とをごちゃまぜにしている人が非常に多いですが、全く別な言葉です。
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Posted at
2024/03/25 10:06:28
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