
経産省の討論会でローソンの新浪氏がTPP賛成の立場で、自論を展開したという。趣旨は下記だが、どうもその論理展開に疑問符がつく。
新浪「アジアの経済成長を取り込もう」・・・多くの賛成がこのスローガンを叫ぶが、TPPでどうやってそれを実現するのかを具体的に示してくれる人がいない。成長する中、韓、インドは参加しない。ASEANとは既に経済連携をすすめ、安い労働力を生かした生産拠点として日本企業は活用している。
新浪「日本の経済活力は、雇用があってこそ。雇用の維持拡大が必要」・・・GDPの中心は個人消費。その認識は正しいが、残念ながらその雇用は、グローバリズム、自由貿易の拡大で、アジアの途上国の労働者との競争に脅かされている。
TPPを推進すれば、輸出企業がうるおい、雇用を増やすとでも言いたいのかもしれないが、残念ながら輸出が大きく増えるとの試算は難しい。根拠が怪しい政府試算でも年GDPの0.54%(それも10年で)。
このまま円高が続くと、間違えなくさらに産業空洞化は進むでしょう。TPPなどとは全く関係なく。
新浪「ものづくりに置いては高付加価値の物を作ると。安く売るのはでなく、いい物を高く売るという風に雇用を作っていくことが大変重要です。」
・・・重要は分かるが、TPPとの関連が不明です。
新浪「今まで守られていた規制を緩和し、医療・福祉・農業、また、再生可能エネルギーの技術でより雇用を作っていくことが大切。」
・・・医療・福祉・農業の分野に改革が必要なのは異論が少ない。余り深く考えて言っているとは思わないが、たぶんTPPという外圧を利用して大胆に改革しようとの趣旨だろう。ただどの分野にしても、そのような改革をして雇用が生まれるとは考えずらい。不勉強な私でも下記のような疑問がわきます。
「医療」アメリカの薬品を輸入しやすいような制度変更が迫られるでしょう。メリットデメリットあると思いますが、雇用という面でみれば、少なくともプラスにはならないでしょう。医療分野で直面する問題は地域格差や医師不足。アメリカの都合の良いように医療現場に改革をもたらすと、さらに医療崩壊が進むのではないかと思います。
「福祉」TPPで外国資本の福祉サービス企業の参入を促せとでもいうのでしょうか?福祉の現場で雇用が増えないのは、厳しい労働環境で低賃金だからでしょう。福祉分野の待遇改善か、よほど他の雇用環境が悪化しないと雇用増は難しい。
「農業」規制を緩和して、農地を集約し競争力を高めよとTPP賛成派は主張しますが、競争力を高めるとは、労働集約度を低くするということ。小規模農業従事者は、稼ぎを失うでしょう。
「再生可能エネルギー」これは、むしろ規制保護を強化して将来的に育成していく分野です。
「日本においては女性がまだまだ働きづらい環境にあります。そうした部分を緩和していく必要があります。」
・・・女性の労働環境改善とTPP。全く関連がフメイです。汗
一線の経営者であっても、経済の認識ってこの程度なんですね。当然、経営や人材活用などについては才覚があるからこそ、社長なんでしょうけど。
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ローソン社長“TPPは不可欠” 経産省の討論会で熱弁を振るう
政府は2日、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加問題についての討論会を経済産業省で開催した。「国内産業の将来像を踏まえたTPPの意義」がテーマ。枝野幸男経産相のほか
、TPPの交渉参加に賛成の立場を示しているコンビニ大手「ローソン」の新浪剛史社長と、反対の立場を示している生活クラブ生協連合会の加藤好一会長が参加。両方の立場から舌戦を振るった。
■賛成派の新浪氏「アジアの経済成長を取り込もう」
新浪氏:日本の経済活力の中心何といっても
雇用があってこそです。雇用が減るのではなく、維持拡大をするということが一番重要なことではないかと思っています。TPPからFTAAP(エフタップ、米国が自ら提案し関与するアジア太平洋の自由貿易圏構想)と。私はこのFTAAPに向けてのTPPに向けての一里塚だと思っているんですが、現時点では中小企業が海外に出て行くのは厳しい状態です。その中で、法人税のことや貿易の上で韓国と比べても非常に厳しいことになっています。
将来的にFTAAPに向けてアジアの経済成長を日本の中に取り込んでいくためにも、その結果として雇用を作っていく、そのためにはTPPはなくてはならないものではないか?と思っているわけです。
そこで私は経済発展のためには、中小企業の皆さんが日本に残ってもらうために、残れる環境づくりをしていくということ。それと、ものづくりに置いては高付加価値の物を作ると。安く売るのはでなく、いい物を高く売るという風に雇用を作っていくことが大変重要です。今まで守られていた規制を緩和し、医療・福祉・農業、また、再生可能エネルギーの技術でより雇用を作っていくことが大切。日本においては女性がまだまだ働きづらい環境にあります。そうした部分を緩和していく必要があります。
Posted at 2011/11/05 01:34:46 | |
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TPP | 日記