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2021年08月01日

ブレーキングでリアを沈める?

ブレーキングでリアを沈める? こんなことを言われたことがあります。

「ブレーキングの初期踏力コントロールでオーバーステア、アンダーステアを使い分ける」

サッパリ分からない話でしたが、自分なりに整理がつきそうなので書き記します。



ブレーキングと言うと、
「減速とともにフロント荷重を作る」操作、と言うのは一般的な認識だと思います。
なので、車の動きとしてはフロントダイブに成ります。
しかしながら、レース界隈の方の話で「4輪を沈めるブレーキング」という表現を聞くことがあります。
これはかなり重要で、本質を分かった上で走るか否かで、走りの質は雲泥の差となると言えます。





【①サスペンションの動き】
剛体に垂直にサスペンションがついているモデルを想定します。
速度一定で走っている時、何の荷重変化もありません。車両の前後重量配分は静止時と同じです。
ブレーキング時には前方へピッチングします。フロントサスペンションは沈み、リアサスペンションは伸びます。荷重移動量はバネレートとサスペンションのストローク量から見積もりますが、

例として、前後10kg/mmのバネがついていたとして、フロントが5mm縮んだなら、フロントは左右合わせて100kg荷重が増えたことになります。
荷重の総和は変わらないので、リアは100kg荷重が抜けます。つまりリアは5mm伸びる筈です。

タイヤのグリップが線形領域である限り、フロントタイヤのグリップが増える方向です。

「自動車を物理する」より拝借↑





【②ブレーキの特性】
一般にブレーキはフロントの方がよく効く物が付いています。それは、一般的な車の場合、ブレーキングの際にフロント荷重が大きくなる為、タイヤへの荷重前後配分が理想的なブレーキ前後配分となり、結果としてフロントに大きな容量のブレーキをつけることとなります。(実際のところは前後差を付けないとABSが介入できないので、ブレーキング時の前後荷重より若干フロント強めの設定の様です)

フロントに強いブレーキが付くということは、等速状態からブレーキを想定した際、ブレーキ踏力に対し、フロントはロックが早く、リアは遅くなる特性となります。
以下イメージですが、
・フロントのロック踏力
踏力6
・リアのロック踏力
踏力10

という事は初期踏力はフロントのロックギリギリの踏力6に合わせてやる必要があります。


上記①サスペンションの考察では、ブレーキング直後、フロントダイブしてフロント荷重になる事象
上記②ブレーキの考察では、ブレーキングの直前のブレーキ踏力のイメージ
について記載しました。

これらを併せて考えると、
初期のブレーキ踏力はフロントタイヤに合わせた踏力とし、
ブレーキ直後、フロント荷重が増える為、更に踏み増す事が出来ると考えられます。
所謂2段ブレーキですね。







【2段ブレーキの際のタイヤロック限界】
では、2段ブレーキの踏み増すタイミングではどの様な事象となっているでしょうか。

先程のブレーキ直前から比べると
・フロントのロック踏力
踏力8
・リアのロック踏力
踏力9
位になっているイメージです。


ブレーキを踏む有限時間の間にフロント荷重になり、フロントのロック限界が上がり、リアの限界は下がる事となります。

では、リアのブレーキを有効に使う事は可能か?

可能と考えます。
絶妙な有限時間での踏み増しと、ABSを介入させないギリギリのフロントタイヤハーフロックの併用で、リアタイヤの制動力をギリギリの高いポイントまで持ってこれると考えます。

ただ、そう言っても、
制動している限りフロントに荷重が乗り続け、荷重の抜けるリアの制動力は期待できないのでは、という考えに至ります。

そこで次項になります。




【リアを沈めるブレーキングとは】
まず、前提として、リアだけのブレーキを行なった場合、サスペンションのジオメトリーとリアタイヤの力の方向の関係であったり、トーションビームであればタイヤが後ろに引っ張ることで可動部とシャシーが水平になろうとする事により、リアの車高が下がる方向へ力が配分される事となります。
これをアンチスクワットと言い、近年の車であればこの概念を取り入れて設計されているため、上記の動きが起こります。

ここまで来て、ようやく「リアを沈めるブレーキング」の尻尾が掴めました。

すなわち、リアのブレーキ配分を高めるほどリアが浮くことを抑えられることとなる訳です。

リアのブレーキバランスが変化していくのを感じ取り、極大値となる点でさらに踏み込めば、リアが大きく制動力を発揮し、リアが沈み、リアの荷重が増え、ブレーキバランスが定常化すると考えます。

以下イメージです。

①ブレーキ踏み始めブレーキバランス
フロント6リア4

②-1 フロントに荷重が乗り切ってからのブレーキング
フロント8リア4
→フロント荷重

②-2 フロントタイヤをハーフロックさせ、リアの制動力をギリギリまで引き出し、リア荷重を確保してブレーキ
フロント7リア6
→リア荷重





【私の言いたいこと】
先述の考え方より、前後ブレーキ配分を変えることが出来るなら、タイミングさえ掴めば、
→前後のブレーキ配分をブレーキング時にコントロール
→ターンイン時のオーバー・アンダー処理が可能
という芸当が可能となります。

これが、
「ブレーキングの初期踏力コントロールでオーバーステア、アンダーステアを使い分ける」
についての今現在の私の考察です。


ポイントはリアの車高を沈めることに有ると思いましたので、標題は「リアの車高を沈める」とさせて頂きました。



↑最後に、最近購入したブレーキパッド
特に本文と関係はありません(笑)
明らかにタッチは良くなりましたが、これから慣らしが終わればまた感想を報告します。

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Posted at 2021/08/02 20:36:16

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この記事へのコメント

2021年8月2日 22:54
久々の理論編!面白く拝読させて頂きました。
ブレーキによる荷重移動、配分について学ぶには実は二輪車が最適だったりします。一般的に二輪車は前後個別に制動制御しますし、これらの動的な配分が挙動に大きく影響しますので。
四輪車の運転の上では、初期で一気にブレーキを踏むとフロントロックしてしまうので、フロントに荷重移動させながらじんわり踏むのがコツですね。
乗用車の設計では動的荷重を踏まえてフロントを強くするのが鉄則です。リアが先にロックする状況はオーバーステアに繋がりますからね。減速時リアが流れるのは恐ろしいです。手違いで「リアだけ強化パッド」化されたS2000を運転して痛感しました。
エリーゼ・エキシージは静的にリアヘビーにも関わらずリアブレーキがプアなので、僕は前後で銘柄を違えて試しています。温度特性など気を遣いますが、試してみると面白いかも知れません。
コメントへの返答
2021年8月4日 0:32
あに.さん

こんばんは。コメント有難うございます。
言われてみれば久しぶりに、かもですね笑
S2000は大変な思いをされましたね、ご無事で何より。

リアのブレーキを強めてアンダーステアにすることの意味がやっと分かってきたところです。今まで「逆では?」と思っていながら、そこの論理はすっ飛ばして教育されてきたので…
フロントタイヤのグリップを下げてタイムを出すとか、まだ私には解析不能な(?)宿題があります…
これからも自由研究に邁進したいと思います笑
2021年8月28日 14:14
はじめまして。
私も最近「4輪を沈めるブレーキング」について考えるようになりました。
コンパクトカーよりも4輪ディスクブレーキのクルマの方が感覚がつかみやすいと思います。
コメントへの返答
2021年8月29日 23:11
コメントありがとうございます。
リアがディスクの方が効きが良いからかも知れませんね。
さらに4輪を沈めに行くのか、前2輪を沈めに行くのか使い分けができると更に奥の世界が広がっている気がしています。

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「車がアンダー、その時どうする?~先生に運転を診てもらいました~ http://cvw.jp/b/2087176/45526115/
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