
当方、車のインプレッション動画を見るの好きなんですが、それに感化されて、私も何か書き物をしたくなりまして
ただ、自分の感性も年々更新していかないと時代に取り残されてしまうと思うので、ここは「popo的考察2024」と題して、気が向いたら(?)また書き改めることとしたいと思います。
(はじめに)
こんな偏ったコンテンツをお読みの皆さま、敬意を示しつつオブラートに包まず言うと、変人様です…笑
以下長いですが駄文お付き合いください…
(エリーゼとは)
エリーゼとは簡単に説明すると、レース界の老舗ロータスが生産していた2シータースポーツです。
ロータスのかつてよりの思想を表現した車で、余分な装備は省き、FRPボディにアルミモノコックを組み合わせた軽量な車体によって高いパフォーマンスを生み出そう、という車です。
(大きく分けて3種類ある)
1996年から2021年まで生産されましたが、1996年から2001年は丸目のS1、2001年から2011年は目がシュッとしたS2、2011年から2021年の最終モデルまでがS3です。
初代では700キロ程度だった車重は最終的に900キロを超えることになります。
幸いなことに当方はS1からS3まで乗せてもらったことがありますが、車体が軽いのに跳ねもせず、しなやかに走り出す様はどの世代を取っても共通していると思います。
S1は特にコーナーの際に軽さを感じます。ヨーが軽く立ち上がって旋回していくのは唯一無二と言っても過言では無いと思います。
S2はシリーズ中では比較的、パワーと重量のバランス型です(バリエーションが多いので、一概に言うのは難しいですが)。このモデルから一部はトヨタ系エンジンが乗せられるようになりました。そして、走りは軽快ながら、大パワー車にも負けない走りは魅力的です。
S3は(エリーゼの中では)製品としての完成度が高まり、モデルにもよりますが、220馬力以上のモデルもあり、出力が向上した代わり、車重は最大950キロまでになっています。
当方が所有しているのはS3となりますのでそれを中心として解説していこうと思います。
(エリーゼはレーシングカーか?)

エリーゼに関してはレーシングカーというより、レース屋が作ったロードゴーイングカーという分類が正しいと考えています。
実際乗ってみると、ハンドリングは意のまま、(後述します)
かつ、脚は良く動き、変な突き上げもなく、乗り心地は案外良いです。
ただ、ロードノイズやエンジン音、あと、車内に入ってくる色々な音(機能上問題はないが、何かよく分からない音達笑)がガシャガシャ聞こえること、パワステが無いことからダイレクトに伝わってくるステアリングレスポンス…
これらを違和感なく受け入れようと思うと、
「あ、これはレーシングカーでもGTカーではなく、レース屋が作ったロードゴーイングカーなのだ」
という理解が最もしっくりくる表現だと気づきます。
(納車の日を回想)
自分が納車したときのファーストインプレッションです。
それまではトヨタのヴィッツ(ncp91)に乗っていましたが、突然のエンジンブローにより、乗り換えを余儀なく、となりました。
購入理由はさておき、納車当日。お店で軽く説明を受け、乗車。
アクセルブレーキクラッチいずれのペダルも重厚感あり。また、シフトストロークは思ったよりあるなと感じました。
走り出してすぐ、コンタクトしやすい車だ、と感じました。何を言いたいのかというと、人間との車のコンタクトって、腰やステアリングなどからの情報を基にするのですが、車がキチンと調律されているのか、その情報が変なものを介さず、ハッキリ伝わってくるということです。純正バケットシートが割と良い仕事してます。ステアリングはパワステ無ながら、走り出すと良い感じにインフォメーションを提供してくれます。
さらに驚いたのは、車体は軽いのに、バタバタせず、速度域を上げたとしても、じっと座をつけた様な状態で安定していることです。タイヤが常にきちんと接地していて、その情報がキチンと入ってくるからだと思うのですが、高い速度域においても、ブレーキにせよ、コーナリングにせよ、いつでも準備が整っているのだろうな、というのが分かります。
帰り道、田舎の海岸線(ワインディングぽいところ)を走ったのですが、こういうところは1番得意なのか、軽く流すだけでとても気持ち良かったのを覚えています。
なかなか快適だったのか、助手席に座っていた妻はいつの間にか寝ていました。
(前車のヴィッツとは全然違った…)
前車のヴィッツと比べてみました。
そもそも比べるべくはアルピーヌa110とか、アルファロメオ4Cとかポルシェケイマン、あとマツダのロードスターだと思うので、当方、盛大に間違ってます。ここは皆さんの参考にはなりませんが…
エリーゼは速度域を上げたときにも車体は割と安定しています。車体下のフラットフロアやディフューザーも効いているのだと思いますし、そもそも車の骨格も違いますし。
ヴィッツの時は段差でもっと跳ねるし、速度を上げるほどに車体の振動は大きくなっていました。ヴィッツは一度、サスペンションが古くなったので新調もしたのですが、基本的な特性が大きく改善されるわけでもなかったです。
車とはそう言うものだ、速度を出せばある程度は暴れるものだ、と勝手にそう思っていました。カルチャーショックでした……
ハイスピードからのブレーキやコーナリングにおいて、エリーゼは楽チンの類です。
とどのつまり、ヴィッツとエリーゼ(改めて、比べちゃイカンと思いますが)、どちらもライトウエイトな車ではありますが、共通点は多分、車重だけでした(苦笑)
ただ、一つだけ大事なポイントがあります。
コンパクトカーとMRとかRRは速く走らせるポイントが実はよく似てます。
ゆくゆくリアエンジンの車を愉しみたいのであれば、FFコンパクトカーからのステップアップはオススメです。
当方、師匠からの勧めでいつも車を選んでいるんですが、「分かった上で」勧めてくれたのかな、とも今更ながら思っています。
(タイヤに見る車の特性)
外観を見ていると気づくのが前後異形タイヤサイズです。
F:RE71RS 195/50ZR16
R:RE71RS 225/45ZR17
このサイズから想像するに、元々の素性として、前後通しのタイヤを履いていたら、極端なオーバーステアな動き方をするのであろうと推察できます。
そしてリアを使ってくれと言わんばかりのあからさまな異形サイズです。
そして、リアがおそらく肝です。
しっかり4輪に仕事させるにはタイヤの大きさなりの仕事量を与えねばなりません。すなわち、リアタイヤを如何に大きい仕事をさせるかが大事なポイントになるということです。(とGTドライバーの松田次生さんが言っていました。GTカーもリアタイヤが太いらしく、同様の概念で速さを突き詰めるのだそうです。)
(意のままのハンドリング)
エリーゼはロードゴーイングカー、でありながらそのままサーキットも全然走れます。
純正脚はよく動く脚で、良くヒラヒラ感を愉しむ、と言われたりしますが、確かにロールは大きいです。ただ、唐突にステアバランスが変化することは無く、オーバー〜アンダー迄コントローラブルに遷移するので、所謂「操る喜び」を体感できます。
突然のアンダーとかオーバーとかステアバランスが急激に変わることが無く、ドライバーの指示に忠実に応えようとしてくれます。
(カートとは方向性が違う?)
コントロールする上で、基本イメージは猫脚のヨーロッパ車と考えるのが良いと思います。
カートみたい、と評されることもある様ですが、カートとは決定的に違うところがあり、それは「リアの接地」に関する考え方です。
カートはインリフトさせてリア内輪を浮かせて曲がる考え方が基本にありますが、エリーゼは考え方が違う様です。
エリーゼはリアにデフも無いしスタビライザーもありません。かつ、重量物がリアに偏っていて、かなりリアヘビーです。(S3の場合、リアの車軸重量は全重量の70%を近く占めています)
これをよく動く猫脚でリアが浮かぬ様、過渡変化がマイルドになる様、味付けしています。
実際ジャッキアップしてみると、フロントよりリアの方が伸びます。これは、ロールしたとしてもリアの接地は極力大きく抜けない様にしたいという意図からなのでしょうか…
↓デカトーさんに乗ってもらった時の写真。エリーゼのリアを流しながらヒラヒラ感を楽しまれてました。「思ったより動くんだけどー😂」と言われました笑
広場で遊んでみたりすると分かるのですが、減速させながらリアをブレークさせたのに、アクセルを入れると案外トラクションがかかります。
LSDを入れてる方で定常円旋回してる動画を見たことがありますが、やっぱりトラクションが良いのか、スライドを継続させるのは結構難しそうでした。
くるくる回るのには適していないかも知れません笑
(よく動く脚)
そもそも、ヨーロッパの路面はそこまでμの高く無く、その路面に合わせて車両開発していることもあり、よく動き、追従性の高い脚にセットされることが好まれる様です。
エリーゼもその例に漏れず、その方向性でのセットアップを為されている様に感じます。
程よくスライドさせ、かと言って破綻させぬ様、なるべく過渡変化を穏やかにする方向でのセット。(とは言え、リアエンジンなので、キャラクターが似ていると言われるロードスターよりもヨーの発生は鋭いですが。)
純正で履いているタイヤはセカンドグレードタイヤであることからも、タイヤグリップに頼らず、よく動く脚のセッティングになされていることは容易に想像がつきます。
また、エリーゼには先述のとおり、リアスタビライザーが付いていません。これは何故か。
スタビライザーはロールを抑える事が期待できますが、一定の領域以外ではステアリングバランスが崩れる領域があり、唐突なアンダーや、ある境界から突然のリバースステアなど、操作性が悪化する要因にもなり得ます。
そしてエリーゼは汎用エンジンを横置きミッドにするという理由からリアのサスストロークは大きくありません。
その短いストロークの中で有効に意のままに操れる領域を大きく取るため、スタビライザーを敢えて無くすという手法を採ったのではないかと。
他車種の例だと初代NSXもリアスタビは意外と思うほど細かったりしますが、これも似た様なレイアウトであることからも、流石にNSXはリアスタビを取っ払うまではしなかったものの、やろうとしたことの方向は同じと考えています。
(走る機能意外何もいらない、的な人への入口)
正直、細かいところはキリがないので端折っています。(荷物が乗らないとか(フロントに幾らかスペース作れたんじゃない?とか)、ガタピシ言ったり、調整を怠ると雨漏りしたり…)
なんですが、楽しく走りたい人にはそんなこと多分どうでも良くて、走る機能に特化していて、それ以外何もいらない、そんな方には必要十分なのだと思います。
そして、乗っているオーナーはそっち側に汚染(?)されていく車でもあると思います笑
(さいごに)
ここまでお読みいただいた方、読んでいただきありがとうございました。
何かの話のダシくらいに使って頂くと幸いです。