
前回
Androidトランスポートを車載化したものの、Nexus7にOTGケーブルを接続している間は充電できないという問題が浮上しました。バッテリーを気にしながらのドライブでは精神衛生上よろしくないので、Nexus7のカーネルを入れ替えて充電対応にしました。
カーネル入れ替えするなら、充電対応のついでにOSレベルでUSBオーディオ対応としてPowerAMPなりNeutronなり好みの再生アプリを使えるようにする事もできるのですが、USB Audio Player Pro(UAPP)の音が良かったのと、音楽以外の音がUSBに流れない仕様が気に入ったので、これはそのまま使いたいと思います。
標準Nexus7にない、USBホスト動作時の充電(OTG charge)機能のみ追加する方針としました。
今回は長くなるので結果から。
USB再生しながら充電できてます!
以降、これ「だけ」のためのレポートです。
必要なパーツですが、まずケーブルはこれ

Galaxy/NOTE/スマホ用 OTGケーブル micro USB-USB A メス USB機器給電端子付
OTGケーブルは通常のmicroB-Aメスの他に電力供給用のAオスコネクタが付いた三つ又タイプ(Yケーブル)を使用します。
このYケーブル、タブレット側への給電ができないものがあるようです。
OTG時に電源出力する端末に外部電源を接続すると電源がぶつかることになるので、安全上わざとそうしていると思われます。
ネットショップのレビューを見ると、「充電できない」という報告が多数ありますが、今回のように端末の仕様で充電できないケースと、ケーブルの仕様によるものが混在しているようなので見極めが必要です。
N7のように標準状態では充電できない端末があることを知っておけば、迷わずに済むと思います。
(8/8追記)
上の写真のものを本日チェックしてみたところ
※ USBオスは本体へ充電できません。周辺機器へ給電専用になります。
という注記が追加されていました。本当に仕様変更があったのかどうかは不明です。
OTGケーブルはまだまだマニアックなものなので、電気店に行って
「本体の充電ができる、OTGのYケーブルください。」
なんて聞いても「???」となるでしょうし。もしも
「A端子は標準サイズでいい?カーネル何入れたの?」
なんて反応が返ってきたらデキル店員ですので、一生ついていきましょうw
今のところネットのレビューから判断するか、ダメもとで試してみるか、自作するしかなさそうです。
電源はシガーソケットから。

24W 4.8A カーチャージャー デュアルUSBポート(Anker)
(7/21追記)
カーウイングスの通信ユニットとの相性から変更。2A程度の機種で大丈夫のようです。
車載USB電源セパレート 2.1A/2ポート T5229(多摩電子工業)
最初カーネルの設定でFast Chargeオプションを付けずにインストールしたところ、充電中の表示は出るものの残量は少しずつ減っていく状態でした。USB標準の500mAでは足りないようです。
Fast Chargeを有効にしたら使用中でも残量が増えるようになりました。
このオプションを選択すると最大1800mAまで電流を吸い込むので、これにUSBオーディオ分を加えた電源容量が必要です。
また接続に順序があります。電源、タブレット、USBオーディオの順につないでからUAPP起動です。
充電対応としたことにより、Nexus7からUSBには電源を供給しないため、ACC OFFでUSB接続が切れてしまい再始動時ちと面倒になってしまいました。
あ、シガーチャージャーじゃなくて大容量のモバイルバッテリー入れればいいのか。
今度試してみよ。
(4/5追記)というわけで、外部バッテリー駆動に変更しました。

USBポータブル電源 10000mAh CP-F10LSAVP(SONY)
これなら、給油等でエンジンOFFしても接続からやり直す必要はありません。
N7の内蔵バッテリーの2倍以上の容量なので長時間ドライブでも大丈夫。
それでも足りなければシガーチャージャーから充電しながらの給電も可能。
ハードウェアはこれで完成形かな。
※ちょっと残念なのは、給電中に充電側を接続するといったん出力が停止するので、再接続が必要になってしまうこと。UPS的に使えるバッテリーないかな・・・
OTG charge対応カーネルへの入れ替え方法
以下Android初心者の自分が調べたことをメモしておきます。
間違っていることもあるかもしれませんがご容赦。
予備知識0 リスクについて
・ルート化やカーネル/ROM入れ替えを行った場合、保証が受けられなくなるばかりか、起動不能に陥った場合に修理も拒否されゴミと化す(文鎮化)可能性があります。特にカスタムリカバリの導入までは危険性大。何かあっても再インストールで元に戻るPCとは違うので要注意です。
・Nexus7にはOTA(On The Air=無線経由)で楽ちんな自動システムアップデートがありますが、これも使えなくなると思った方が良いです。(間違ってアップデートして文鎮化した例多数。)
以降、システムのアップデート状況をウォッチしながら手動でメンテナンス(再インストール)していくことになります。
なお、アプリの方の自動アップデートはカスタムカーネルでも使えます。
・ルート化を行うことにより、万一ウィルスに感染した場合にウィルスもルート権限で好き放題できるというリスクがあります。「ちゃんと対策ソフト入れてるから大丈夫」なんて思っていると危険です。
カスタムカーネル自体のセキュリティも、あまり変なものはないとは思いますが一応注意。そもそも漏れて困るような情報は入れないこと。
お約束の定型文になりますが
以下はLinuxの精神「自助努力」に従い自分でなんとかする方の参考用として記載します。この通りに作業しても失敗するかもしれませんが、たぶんサポートできませんので。
予備知識1
Nexus7でOTG charge可能なカスタムカーネル・ROMまとめ
カーネルとはその名の通りOSのコア部分で、ROMはAndroid OS全体を指します。
Timur's USB ROM
Nexus7車載派の定番ROM。Nexus7 2012用のみ。
(5/18追記)Nexus7(2013)用もリリースされました。(有料)
通常版と、なんとインパネ埋め込み用(!)のFixed Installation版あり。
FI版はエンジンOFFでディープスリープ移行とか出来て面白そうです。
ダッシュボードギャラリーは必見。皆さんカッコよくインストールしてます。
ElementalX
Nexus7(2013)用カーネル。オーバークロック設定が豊富。
(4/5追記)最新版では、上位のOSとして標準Android OSのほかにメジャーなカスタムROMのCyanogenModも選べるようになりました。
Zeljko1234氏によるカスタムカーネル
CyanogenMod11ベース。grouper用のみ?
Kang-aroo
Kangプロジェクトベース。hotplug DACサポート。
USB ROMのコードを流用。grouper用のみ?
不要なカスタマイズ項目が少ないTimur's Romが良さげでしたが、Nexus7(2013)版はリリース前だったため今回ElementalXをインストールしてみました。
予備知識2 Nexus7ハードウェアのコードネーム一覧
カスタムカーネルは自分のNexus7のモデルに合うものを使用する必要があります。
コードネームがよく出てくるので覚えておくとよいです。ダウンロードするファイル名に自分のと違うコードネームが入っていたら、それはたぶん間違ってます。
・grouper (2012 Wi-Fi)
・tilapia (2012 3G)
・flo (2013 Wi-Fi)
・deb (2013 LTE) ←今回はこれ
本編 インストール作業リスト
全体の流れのみ記載します。
個々の作業はそれぞれ詳しい解説ページがあるので検索した方がよいと思います。
先人達に感謝。
1. アプリデータのバックアップ
作業の過程で内蔵ストレージが一度消去されます。
全データを一括バックアップできるHeliumを使いました。
(有料版はクラウドストレージへのバックアップ可能)
2. その他のデータ(音楽等)を必要に応じバックアップ
3. ブートローダのアンロック
ここからが自己責任の世界です。
ダウンロードするファイル:platform-tools.zip
ビルド番号を連打→USBを開発者オプションで接続。
fastboot oem unlockコマンド実行
アンロックするとストレージが初期化されます。もう引き返せませんよ。
完了後、購入時の初期セットアップが走るので一通り設定。
4. アプリの再インストール
アンロックしてもGoogleアカウントは使えるので、初期セットアップを済ませると以前のアプリが勝手にインストールされていきます。こりゃいいや。
5. カスタムリカバリTWRPの導入
リカバリ(復旧)機構を改造して、それをベースにシステム入れ替えできるようにします。
ダウンロードするファイル:openrecovery-twrp-2.7.0.0-deb.img
Android 4.4.2(KitKat、ビルド番号KOT49H)に対応するTWRPは2.7以降。
ブートローダー起動(電源+音量↓長押し)
fastboot flash recovery imgファイル コマンド実行
Recovery modeでTWRP起動確認
superSUを要求されるのでplayストアからインストール
6. TWRPを起動し、ElementalXを導入
ダウンロードするファイル:ElementalX-N7-2.6.zip
(6/7追記)Android OS 4.4.2用の最新版は2.12
TWRPからRecovery mode→Installでファイル選択
インストーラ設定はOTG chargeをチェック。Fast Chargeもチェック。
他は好みで。オーバークロック関係は全てstockにした。
途中ブラックアウトしても、じっと待つ。慌てて電源長押しとかしない。
(2014/4追記)何回か再インストールしていると、インストール終了後にブラックアウトしたままになることがありました。
よく見るとバックライトは消灯しているものの表示は生きていてTWRPの画面に戻っていたので、ここまで来れば電源長押し(10秒)で強制OFF→再起動でも大丈夫なようですが、TWRPの画面を思い出してReboot操作したら普通に起動しました。
7. アプリデータのリストア
GoogleドライブにバックアップしたデータをHeliumでリストア。
LINEのみリストア失敗する。(対策あり)
8. 音楽等データのリストア
こんな感じで無事終了。ググりながらの作業だったので多少違ったかも。
文鎮化の洗礼は受けずに済みました。
カーネル変更の場合、冒頭の画像に表示されるOS情報以外ノーマルとの違いはありません。
カーネルの設定変更はTWRPから再インストール(上書き可能)で行います。
充電の問題が解決したことで、なかなか使えるトラポができました。
(カーネル入れ替えする以上、万人にはおすすめ出来ませんが)
PCオーディオ的にパーツを取り換える楽しみも出来たところでw、今日はこれまで。
スピーカーのエージングもまだまだ進行中なので、しばらく聴きこんでいきたいと思います。
(同日追記)
非常に耳あたりがよい、ソニックデザインRクラスのスピーカーとも相性の良さそうな優しい音が出ています。これは期待できそうです。
(8/25追記)
もっと簡単に使える端末を実験中です。
もしもUAPPのためにタブレットを買おうと思っている方がいたら、もう少しだけお待ちください。
(9/20追記)
タブレットを更新しました。
こちらもご覧ください。
(2015/1/6追記)
USBホスト動作中の充電について、再調査しました。
「ACA機能」に対応した機器を使用すれば、カーネル書き換えをしていないNexus7(2013)でもUSBホスト動作中の充電が可能です。ACA機器が発売になりましたので追記しました。詳しくは
こちらをご覧ください。
関連ページ
Android端末でUSBオーディオする方法まとめ