なかるうのブログ一覧

「他人の車を見るとき、最初どこに目が行きますか？」

作り込まれたAピラーに鎮座するツイーター。
カーオーディオの「華」であり、逆にあまりに存在感の強いものは、オーディオには興味ない人・あるいはストック（純正風）インストールが好みの人から見れば一歩引きたくなるアイテムでもあります。
（タイトル画像は今気になるツイーター達です。Aピラーにこんなのを見つけたら・・・私は吸い寄せられてしまいます。）





今回はいつも以上に読んでもらえる人が限られそうなお話ですいません。

ウーファーとツイーターをどうつなげるか。
カーオーディオ、それもマルチ駆動システムだけに存在する、難しい課題です。

Sonic Designプレミアムライン唯一の25mmツイーター

SD-T25
では、ウーファーとのクロスポイントを通常5kHz付近に設定します。これに対して、


52mmワイドレンジドライバーUNIT-N52/N55（写真はRクラス）
はその名が示す通り、ツイーターとしては異例とも言える中音域からの再生が可能です。
N52で350Hz、N55に至っては280Hz以上から使用可能となります。
（実際には、それぞれ500Hz、300Hz以上で使うことが多いようです）

ヴォーカルの周波数帯域は、文献により様々ですが、一例として倍音成分を含めて
　男声：500～3kHz
　女声：700～5kHz
位とすると、25mmユニットの場合は足元のウーファーが、52mmユニットの場合は目の前のツイーターが「声」のほぼ全域を受け持つことになります。
これが、52mmユニットでステージング（定位）が上がる理由とされています。

ピラーのユニットをワイドレンジ化してステージングを上げる手法は、ソニックデザインに限らずここ数年カーオーディオ界のトレンドとなっています。
ビーウィズ然り、カロッツェリアのPRSシリーズ「Open ＆ Smooth」コンセプトもそうですね。
少し前であればツイーターを広帯域化すると音質に影響が出やすいため3wayの領域だったのですが、素材の進歩などで2wayのシステムでもこういった手が使えるようになってきました。
（Sonic Design の新製品D52は違う手法で高いステージングを実現しています）

Nクラスの77mmウーファーは低音再生能力を重視した特性となることもあり、52mmユニットと組み合わせて中音域以上をそちらに受け持たせるのが通例となっています。
では、Rクラスの場合はどうか。

自分の場合、ウーファーはちょっと特殊で、Rクラスの77mmユニットを２発使用したプリウス専用モデルの
SonicPlus THE CREST 2C-P30-77W （2C-P30のウーファー部）
を使っています。
ツイーターはあくまで一時的なつもりでSD-T25を使ってきたのですが、この組み合わせにはフルレンジ的なまとまりの良さがあり結構気に入ってしまいました。

現状からのレベルアップを目指す場合、
・52mmユニットを使うメリットは本当にあるのか？
・クロスポイントを下げることによって今の良さをスポイルしないか？
この疑問をショップ社長さんにぶつけてみたところ、こんな感じの回答でした。

「ネットワークをどう設定するか、それは実際に取り付けて音響測定した結果と聴感評価の両方によります。ユニットによって一律に決まるものではありませんので、その自由度が大きいことがメリットとなります。」

つまり、こういう事です。

ウーファーにできるだけ帯域を頑張らせることによる利点は確かにあります。しかし、ウーファーは足元にあるため周波数特性が乱れることも多く、そのような場合ピラー部に帯域を移すことによって影響を回避するメリットが大きくなります。
調整では、上記を考慮したうえで、各ユニットの一体感が得られるよう、また「一番おいしいところ」を生かすよう、聴感も動員してパラメーターを追い込んでゆくそうです。

「このユニットならクロスはこう設定する」
「あとは車の特性に合わせてイコライザーで補正」
そんな調整を想像していた自分にとっては、目から鱗が落ちるような教示でした。
単純なものじゃなかったのですね。

よし、迷わず行けよ。行けばわかるさ。

続きは来月。