
車載オーディオにも使えそうな、面白そうな製品が登場したのでポチりました。
前回DLNAで遊んだのは今回の伏線を張ったつもりではなかったのですが、なんともジャストなタイミングです。
ホームオーディオではネットワークオーディオが一ジャンルとして定着し、モバイルオーディオの世界では、アナログ接続のポタアンに代わりUSBポタアンが流行中。
カーオーディオはそこから何周遅れ?といった状況が続いています・・・
大盛況のモバイルオーディオで、USBポタアンの次に来るか?というジャンルの製品がこれ

Companion One (Celsus Sound)
USBの代わりにWi-Fiで通信するポータブルアンプ兼DAC兼DDC。
Celsus Soundはデジタルアンプで知られるNuForceの設立者が立ち上げたブランドです。
マニアの方には無線と聞くと眉をひそめる向きもいると思いますが、Bluetoothで使用されているSBCやAptXのような圧縮伝送と異なり真にオーディオ用途としての製品となります。
CHORDのHugoあたりもそうですけど、最近のポータブル機はホームオーディオにも使えそうなほど質の高いものが増えてきましたね。
主な仕様は
こちら。
ホスト(ネットワークなのでサーバーと言うべきか)となるスマホ・タブレット・PC等が必要なのはUSBオーディオと同じですが、ワイヤレスなので物理的な接続の手間がありません。
後段の機器とは一般的な光・同軸デジタルで接続できるので車載プロセッサーとの親和性も高いです。
またUSB端子を使わないので、USBオーディオのようにスマホの映像出力(MHL)や充電との両立で悩む必要もありません。
一通りニュースリリースを読んで、
これは次世代車載オーディオの本命テクノロジーか?!
とテンションが上がり購入となりました。
さてどんなもんでしょうか。以下レポートです。
外観
開封の儀とか省略で。

大きさはiPhoneくらい。厚みは結構あります。
削り出しの金属フレームに両面ガラスの美しいボディはずっしり重く、10000mAh級モバイルバッテリーといった感じです。
表示は動作状態(USB/Wi-Fi)を示すアイコンとバッテリーインジケーターのみ。
アイコンは動作状態やサンプルレートにより色が変わります。
プレーヤーではないので画面とかタッチパネルとかはなく極めてシンプルで上品です。

上面にはヘッドホン端子、ラインアウト、デジタルアウトが並びます。
3つの端子が独立しているところにこだわりを感じます。

底面にはUSB端子が2つ。片方は充電専用、もう一方はUSBオーディオとして使用する場合に使います。青く光っているのはバッテリーインジケーターです。
USBは資料ではASIO対応となっていますがMacやAndroidも使用可能とのことなので、USB Audio Classにも対応っぽいです。DoPは使えるのか?後で試してみます。

右側面。ボリュームと電源スイッチです。

左側面。3つのモード切り替えスイッチがあります。
・オーディオモード:
USBオーディオとWi-Fiオーディオの切り替え
・コネクトモード:
USB時はフルスピードとハイスピードの切り替え
Wi-Fi時はアクセスポイント(親機)とクライアント(子機)の切り替え
・ゲイン:
ヘッドホン出力のゲイン切り替え
USBオーディオとして
まずは小手調べ。本来のポータブルオーディオとして使ってみます。
本機はUSB接続も可能なので、スマホやタブレットと接続してUSBポタアンとして使うこともできます。

付属のOTGケーブルでAndroidタブレットと接続。
アプリはいつもの
USB Audio Player PROを使いました。
LPCMは24bit/192kHz、DSDもDSD128(5.6MHz)まで無変換で再生確認できました。
USB Audio Class、DoPとも対応しているようです。
自分はポータブルオーディオには無頓着なので厳密な評価はできませんが、タブレット直挿しとは別次元のパワフルかつ音数の多いサウンドで鳴ってくれました。少なくともUSBポタアンとしてかなり優秀とみました。
カスタムIEMとか使っている方に是非レビューいただきたいです。
ワイヤレスオーディオとして
本機の目玉、Wi-Fiオーディオ機能を試します。
自宅オーディオのDACとデジタル接続しDDCとして使います。

D/Aコンバーター:DA-06 (Luxman)
光デジタルケーブル:SUPERNOVA7 SMO7/3.0 (WIREWORLD)
3.5mmのデジタル出力端子は同軸と光に対応します。
今回は車載を見越して、あえて長めの光デジタルケーブルで接続してみました。TOS/3.5mmでオーディオ用に良さそうなものって少ないですね。これとオーディオクエスト位ですか?
Wi-Fiの動作モードには2つあります。モバイル用途では本機がアクセスポイント(親機)となるAPモード、家庭内で無線ルーターなどアクセスポイントが設置されている環境ではクライアント(子機)モードと使い分けることができるので、たいていの環境に合わせられると思います。
おーい、Audison見てるかぁ?
本体に表示もないのにどうやって設定するかというと、APモードで端末をWi-Fiネットワークに参加させ、ブラウザで本機のアドレス(192.168.*.*)にアクセスすると設定画面が現れます。モバイルルーターと同じ方式ですね。

シンプルな設定画面。クライアントモードにした時に参加するネットワークをここで設定しておきます。
WPA2などセキュリティ設定のあるネットワークにも普通に参加可能です。
登録されたネットワークが見つかると、自動的にAPモードからクライアントモードに切り替わります。
本機をWi-Fiに、操作端末を同じネットワークに接続したら、iOS機の場合はAirPlay、その他はDLNA(UPnP)アプリで再生します。ただし国内ではiOSのみサポート対象となっているのでDLNAでうまくいかなくても文句は言えません。注意してください。
ちょっとここでDLNAの基礎知識。
DLNA機器にはいくつかの「役割」が定義されています。
基本的なものは次の通りです。
わかりやすくするために、それぞれの役割をCDプレーヤーのパーツに例えてみます。
2ボックス構成(DLNA1.0)
DMS(デジタルメディアサーバー)
=CDドライブ。楽曲データの保存先です。
DMP(デジタルメディアプレーヤー)
=リモコン+基板。楽曲データを選曲し、デコード・出力します。
3ボックス構成(DLNA1.5)
DMS(デジタルメディアサーバー)
=CDドライブ。楽曲データの保存先です。
DMC(デジタルメディアコントローラー)
=リモコン。選曲などユーザーインターフェースを担います。
DMR(デジタルメディアレンダラー)
=基板。サーバーの楽曲データをデコードし出力します。
DLNA機器はこれらの役割のうち少なくとも1つを持つもので、各機器を自由に組み合わせて使うことができます。
1台の機器に複数の役割がまとめて実装されることもあります。
勉強おわり。
Companion OneはDLNAでレンダラーとして機能します。したがって、音を出すためには残りのサーバーおよびコントローラーとなるものが必要です。
これらの役として、
Bubble UPnPを使ってみました。これはAndroid用のDLNAアプリでDMS/DMC/DMRの各機能を備えているので、Companion Oneとの組み合わせで最小のDLNAシステムを構成できます。
サーバーは別のもの(bit Play HDなど)を用意して、Bubble UPnPは単なるリモコンとして使うこともできます。
ちょっと難しそうですが、使ってみれば簡単です。

Bubble UPnPを起動。

レンダラーをタップすると、ネットワーク上のレンダラーが一覧表示されるのでCompanion Oneを選択します。

同様にサーバーを選択。端末自体をサーバーにしてSDカード等から再生することもできますが、ここでは自宅で稼働しているMinimServerに接続してみます。

あとはナビゲーションツリーで選曲して再生するだけです。
スマホやタブレット(画面はNexus Playerのもの)からの指示で、手の平のデバイスがサーバーから楽曲を呼び出して再生するという、今風で楽しい連携動作です。
え、楽しくない?楽しいと思える人はお友達になってください。
本機のDLNA動作時のハイレゾ対応は24bit/192kHzまでとなります。
DSDに対応しないのは残念ですが、その実力を真に生かせる車載用プロセッサーはまだありませんから良しとします。ていうか自分のデジコアは24bit/48kHz止まりなので全く問題なし。
無線伝送といってもFLACなどロスレス音源に対応し、44.1kHz系と48kHz系で独立クロックを採用するなどDDCとしても気を使って設計されているようです。
実際、デジタル出力の音質はUSB-DDC並みに使えるレベルと感じました。
1つコメントしておくべきことは、Wi-FiモードでDLNA再生時、ヘッドホン出力にだけ少しカサカサとしたノイズが乗ること。個人差はあると思いますが、ホワイトノイズでないため少し耳につき印象的にはよろしくないです。
調べたら他のサイトでも同様の報告がありました。これはそんなものなんでしょう。
USBモードでは問題なく、Wi-Fiでもデジタル出力には感じられないので、アナログ部にWi-Fiモジュールからの干渉があるようです。
自分はデジタル出力しか使わないので問題なしですが、ポタアンとして使うならUSB接続が良いと思います。
まぁ、公共の場で自分専用の電波をまき散らすのもどうかと。自宅でWi-Fiポタアンとして使いたい向きには残念ですね。
初のDLNA対応ポタアンとなる本機、上の1点を除き素性は良さそうです。
他メーカーからもフォロワーが現れ、今後発展していってほしいと思います。
なおAstell & Kernの高級DAP、AKシリーズの一部機種もWi-Fiに対応しているので、Companion Oneと同様ワイヤレスDDCとして使えそうです。(
まとめページ参照)
さてここまでは合格ライン超えと判定しました。
いよいよ車載システムに接続しDDCとしての実力を診断・・・と行きたいところですが、我が車のオーディオは現在工事中のため今回はここまで。
うまくいったら、今年はこいつをメインにワイヤレスオーディオを探求してみようと期待しています。
ワイヤーワールドも使わないともったいないし。
結果はシステム更新後また。
リスニングキャンプ6で公開できるかな?
(2015/8追記)
Wi-Fiによるオーディオ伝送について、Qualcommが
AllPlayという規格を提唱しています。
対応製品として、パナソニックから家庭用の
ワイヤレススピーカーや
ミニコンポが登場しました。
クアルコムはスマホ用SoCのSnapdragonで知られる通信業界の巨人で、AptXのCSRを買収したばかり。車載Wi-Fi分野にも興味を示しているようで、要注目です。

Panasonic SC-ALL2
(2015/8追記)
初の
Wi-Fi対応車載プロセッサーが登場しました。Wi-Fi経由でDSP設定のみならず音楽再生もできるようです。
初のハイレゾ処理DSPもドイツでしたし、やるなジャーマン。

Rainbow DSP 1.8 + WiFi Module
(2015/9追記)
家庭用ですが、パイオニアから
stellanovaというワイヤレスオーディオ製品が発売されています。
iPhoneやiPadと組み合わせて使うワイヤレスユニットとUSB-DACアンプという構成になっていて、車載用にワイヤレスユニットだけ利用している方もいらっしゃるようです。これは面白い使い方ですね。

pioneer stellanova APS-S301J
(2016/2追記)
スマホからTVに映像を飛ばせるクロームキャスト。その音楽専用版が出ました。光デジタル出力も可能で車載も面白そうです。

Google Chromecast Audio