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2021年09月25日 イイね!

仮想化オーディオサーバーの製作(3)

仮想化オーディオサーバーの製作(3)手のひらサイズのミニPCで作るオーディオサーバーの最終回です。
やっとオーディオネタに戻ってきました。今年はこんなことばっかやってますね・・・












(2024/1追記)
Broadcomによるvmware社の買収が完了し、ここで紹介したvSphere Hypervisor(ESXi)にも影響が取りざたされています。はっきりしたところで記載したいと思います。

(2024/2追記)
無償版vSphere Hypervisor(ESXi)の提供終了が公式に発表されました。残念です。

(2024/7追記)
ESXiの代わりにProxmox VEで作り直しました。
仮想化オーディオサーバーをProxmox VEで再構築した

(2025/4追記)
無償版ESXi8の提供が再開されました。





前回までで仮想化基盤とファイルサーバーを準備しました。いよいよオーディオサーバーに仕上げます。
DLNA(UPnP/OpenHome)もRoonも使える、多機能ファンレスサーバーを目指します。SMBプロトコル(NFSも追加可能)のファイルサーバーと併せ、ネットワークオーディオと名の付くプレーヤーにはたいてい対応できると思います。
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前回からまた少し変わって、最終的にはこんな構成になりそうです。

メインのファイルサーバー、TrueNASの仮想マシンVM1は旧サーバーからデータを引っ越し、既に稼働状態に入っています。
WindowsServerからのデータ移動にはFreeFileSyncを使いました。

VM1にある楽曲ファイルを使ってオーディオ配信を行うのがVM2とVM3です。メインのサーバーを動作させたままで安全に機能追加できるのは仮想化のメリットですね。
CPUの性能の範囲で、とはなりますが、軽量OSを選べば今回のような省電力PCでも2つ3つは動かせます。

作成した仮想マシンは、こんな風に仮想ネットワークでつながります。
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物理的なLANポートは1つしか接続していないのに、それぞれのマシンが独立したアドレスを持ち、ネットワーク上に台数分のPCが出現したように見えます。マネジメントネットワークとはESXi自身の管理画面のことです。


MinimServer2のインストール

当ブログではお馴染み、DLNA/UPnPサーバーのMinimServer2をインストールします。
どのマシンで動作させるか。MinimServer2はWindows・Macの他Linuxでも動作しますが、TrueNASのベースOSであるFreeBSDには未対応です。

調べてみたところ、MinimServer公式の掲示板にFreeBSDで動作させたという投稿がありました。ただし一部のライブラリはLinuxとFreeBSDで互換性がなく再コンパイルが必要になるそうです。MinimServerがバージョンアップするたびライブラリを入れ替えるのはちょっと面倒、もう一つのRoonは未知数ですがリソース喰いではありそう、というわけで今回はバックアップサーバーのOpenMediaVaultに載せることにしました。

OMVのベースOSはDebianでRaspberry Pi OSと同じ、rootのシングルユーザー運用である点はルーター用OSのOpenWrtと同じです。今年とった杵柄、キネヅカでサクッと行くよ。

ffmpegのインストール

MinimStreamerによるトランスコード(変換)配信を行う場合に必要なコーデック群です。SSHからコマンド一発で入ります。
root@openmediavault5:~# apt update 
root@openmediavault5:~# apt install ffmpeg 

以上。


Java実行環境のインストール

Javaはリリースされたばかりの最新LTS(長期サポート)版、Oracle JDK17(Java Platform, Standard Edition (Java SE) Development Kit)を使いました。
WindowsPCでOracleの公式サイトにアクセスし、Linux用の「x64 Compressed Archive」をダウンロードします。
(2021/10/4追記)
長時間(24hとか)稼働するとNASにアクセスできなくなることがあり、旧バージョンに変更しました。とりあえずJDK8では問題なさそうです。

せっかくのNASなので、Windowsからは共有フォルダ経由でOpenMediaVaultに転送します。shareという名前でフォルダを作成しています。
共有フォルダはOpenMediaVault側では/srv下のdevで始まる名前のディレクトリにあり、任意の場所(ここでは/usr/share)に展開します。
root@openmediavault5:~# cp /srv/dev-disk-by-uuid-xxxx-xxxx/share/jdk-17_linux-x64_bin.tar.gz /usr/share 
root@openmediavault5:~# cd /usr/share 
root@openmediavault5:/usr/share# tar xzvf jdk-17_linux-x64_bin.tar.gz 


chownコマンドでファイルのオーナー設定を修正。パスの通ったディレクトリにリンクを張って起動確認します。
root@openmediavault5:/usr/share# chown -hR root:root jdk-17 
root@openmediavault5:/usr/share# ln -s /usr/share/jdk-17/bin/java /usr/sbin 
root@openmediavault5:/usr/share# java -version 
java version "17" 2021-09-14 LTS 
Java(TM) SE Runtime Environment (build 17+35-LTS-2724) 
Java HotSpot(TM) 64-Bit Server VM (build 17+35-LTS-2724, mixed mode, sharing) 



リモートマウントプラグインのインストール

MinimServerの楽曲ファイルは、メインサーバーTrueNASの共有フォルダを使用します。(ローカルのバックアップHDDには手を付けたくないので)
OpenMediaVaultのプラグインを使って他のNASにアクセスできるようにします。管理画面の「プラグイン」からインストールします・・・が、デフォルトでは純正プラグインしか表示されないので、最初に以下のコマンドでサードパーティー製のプラグインを使用可能にします。詳しくはこちら
root@openmediavault5:~# wget -O - https://github.com/OpenMediaVault-Plugin-Developers/packages/raw/master/install | bash 

表示された「openmediavault-remotemount」をインストールします。
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TrueNAS側でユーザーを作成し、OpenMediaVault側からそのユーザー名でアクセスします。設定方法はこちら
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「ファイルシステム」画面にTrueNASの共有フォルダが表示されています。


MinimServer2のインストール

MinimServer2は64bitのLinux Intel版を使います。
やり方はJavaと同様で、インストールパッケージをWindowsPCでダウンロードしてOpenMediaVaultに転送、任意の場所(ここでは/usr/share)に展開します。
root@openmediavault5:~# cp /srv/dev-disk-by-uuid-xxxx-xxxx/share/MinimServer-2.0.18-linux-intel.tar.gz /usr/share 
root@openmediavault5:~# cd /usr/share 
root@openmediavault5:/usr/share# tar xvf MinimServer-2.0.18-linux-intel.tar.gz 


MinimServerのセットアッププログラムを実行。rootのシングルユーザーとして設定します。
root@openmediavault5:/usr/share# minimserver/bin/setup root 
MinimServer desktop integration is disabled 
MinimServer automatic startup is disabled 
Do you want to change these settings (y/n)? 

Enable desktop integration for MinimServer (y/n)? 

Enable automatic startup for MinimServer (y/n)? 

MinimServer automatic startup has been enabled 


MinimServerの初期設定を行うため、コマンドライン版のstartcで起動します。
root@openmediavault5:/usr/share# minimserver/bin/startc 
初回だけライブラリの場所を聞かれるので、上でマウントしたTrueNASの楽曲フォルダ名を入力します。
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ライブラリのスキャンが始まり、しばらく経って「MinimServer is running」と表示されれば起動完了。

MinimWatch(とJava)をインストールしたPCに同じ内容が通知され、アイコンが緑色になります。ならない場合はPCのファイアウォールがJavaをブロックしていないかチェック。パブリックネットワークあるある。
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startcによる起動ではコンソールを閉じるとMinimServerも止まってしまうので、いったん終了します。
>exit 
リブートしてPCのタスクトレイにあるMinimWatchのアイコンが再度緑色になれば成功です。
root@openmediavault5:/usr/share# reboot 


MinimStreamerのインストール

必要によりMinimStreamer(有償)をインストールします。設定方法は以前のブログをご覧ください。
ネットワークオーディオ自作(8) ラズパイサーバーを改良する
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以上でMinimServer2はセットアップ完了です。lightMPDなど、DLNA/UPnP対応のレンダラーで再生します。


Roon Coreのインストール

Roonについて

最新バージョンの1.8。相変わらずの美しい画面です。
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Roonについて語りだすとブログ1本になってしまうので、ちょっと古いですが以前の投稿をご覧ください。
Roonとラズパイで遊ぶ

逆木さん(PC関係が不得手な評論家センセーの多い中、この方のコンピューターオーディオ論は納得感があります)呼称するところの「総合音楽鑑賞ソフト」Roon。提供される圧倒的な情報量と、それにより演出される「曲との出会い」が楽しく、音楽好きの方には特に体験をおススメします。統合運用できるTIDALに(2021/10/4追記:Qobuzにも!)国内導入の噂もあり、実現すればさらに強力な音楽コンシェルジュになってくれることでしょう。

とはいえ、有料(年間サブスクリプションまたは永年ライセンス制)かつ楽曲情報が英語のみ(操作系やタグの日本語表示は可能)という2点から、日本ではまだヒットしそうにないのが残念なところです。

Roonのサーバー機能は「コア」と呼ばれています。今まで使ってきたのはWindows版、今回はLinux版のコアをセットアップしました。最初はNUC用に最適化されたROCK(Roon Optimized Core Kit)を使うつもりでしたが、仮想マシンに入れるにはトリッキーな作業が必要なようで通常のLinux版にしました。


仮想マシンVM3の設定とUbuntu Serverのインストール

Roonのハードウェア要件はこちら
Roonでは、再生デバイスに合わせたサンプルレート変換などをコアで行うため、サーバー側のハードウェア要求スペックが高くなっています。Linux版はOSが軽量な分、他のプラットフォームに比べハードルが少し下がります。
推奨ディストリビューションはUbuntuかArch。今回はUbuntuをデスクトップレスのサーバー構成で導入します。サーバーと聞くと重そうですが、GUIが無いので最小構成ではデスクトップ版よりかえって軽量にできます。

仮想マシンのリソースはこのくらい。CPUの性能からDSPなどRoonのフル機能は無理でも、通常の再生には支障ない程度を狙います。
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プロビジョニングポリシーをThic(Eager Zeroed)にして128GBを確保しようとしたら、60%前後初期化したところでESXiが他の仮想マシンもろともコケました。
安全ちゃうやんか!
この設定はディスクの初期化時に高負荷がかかり、再現性があることからNVMeあたりのハードウェアに問題がありそうです。安全な環境は堅牢なハードウェアあってこそ、ということですか。
デフォルト設定のThic(Lazy Zeroed)なら大丈夫でしたので続行します。
(2021/10/1追記)
M.2 SSDをキングストンの低消費電力タイプに変更。高負荷でも安定したかな?

Ubuntu Server(20.04 LTS)のインストールISOイメージを公式サイトからダウンロード、ESXiのデータストアにアップロードし、仮想マシンのCD/DVDドライブにセットしてインストールします。
画面表示に従って設定を進めてゆきます。といってもユーザー名等を設定するこの画面以外特に変更するところはありませんでした。
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インストールが完了したら再起動。CDROMを取り出してと言われたらESXiの管理画面でISOイメージの接続を外します。
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起動したらログインし、タイムゾーンの設定とシステム更新を行っておきます。
$ sudo timedatectl set-timezone Asia/Tokyo 
$ sudo apt update 
$ sudo apt upgrade 



Roon Coreのインストール

インストールガイドはこちら。引き続き、以下のコマンドでインストールします。
$ sudo apt install ffmpeg 
$ sudo apt install cifs-utils 
$ curl -O http://download.roonlabs.com/builds/roonserver-installer-linuxx64.sh 
$ chmod +x roonserver-installer-linuxx64.sh 
$ sudo ./roonserver-installer-linuxx64.sh 

これだけ。

(2021/10/23追記)
11月のアップデートの前にライブラリ「libicu」をインストールしておいてね!とのメールが届きました。
$ sudo apt update 
$ sudo apt install libicu66 

これはUbuntu20の場合。libicuはUnicodeのライブラリで、Linux版のフレームワークをMonoから.NETに移行してパフォーマンスを改善するため、だそうです。

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以降サーバーに触る必要はなく、このコンソールもexitして閉じてしまってOKです。設定はネットワーク上のPCやスマホ・タブレットから行えます。


Roon Coreの設定

コマンドにCIFSの文字が出てきたことからわかるように、Roonのファイル共有はWindows互換です。TrueNASにユーザーを作成し、SMBプロトコルで楽曲フォルダにアクセス可能としておきます。

PCでWindows版Roonを起動するとコアを見つけてくれます。Roon Remoteアプリをインストールしたスマホなどでも可能です。
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Roonのライセンスはコア単位なので、1ライセンスで運用できるコアは1台のみ。旧サーバーとはここでお別れ(削除はされず無効状態)となります。

ログイン後、楽曲フォルダを登録します。ホスト名が通らずIPアドレスで指定しました。
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TrueNASの音楽フォルダが見えました。「Select this folder」すると楽曲のスキャンが始まります。仮想ネットワークでつながっているので高速です。
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数分で普通に使えるようになり、引き続きバックグラウンドで曲の解析が行われ数日間はCPUパワーを消費します。サーバーなので放っておけばよいです。(状況は「Settings」-「Library」で確認できます)

Roonのコアはそれ自体はファイルサーバー機能を持たず、今回のように外部のPCやNASの音源を参照するか、OSのファイル共有を使う必要があります。仮想化でNASと組み合わせると1台でコアとライブラリを兼用でき使いやすくなります。NASやNAS用OSにコアをインストールするのも良いかも、と思いました。

あとは好みのオーディオデバイスを接続すれば再生可能。Roonのハードウェア対応は多彩です。
Roon Readyの機器であれば確実で音質も担保されますが、音を出すだけならPCにつながるものは大抵使えます。デバイスをPCに接続する場合は、Roon BridgeをインストールしておけばRoonを起動しなくてもスマホなどから再生コントロール可能です。
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Bluetoothアダプターで気軽に聴いたりもできますし、自分は古のネットワークオーディオ:
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Squeezebox Boomを再利用したりしています。
ピュアオーディオ用途でPCを経由するのは嫌だけどRoon Readyのプレーヤーなんて持ってない、そんな場合は市販のRoon対応ブリッジでUSBやS/PDIFに変換したり、ラズパイにRoon BridgeやRoon対応ディストリビューションを入れて自作することもできます。




以上で完成です。今回は「ホームネットワークに接続するファイルサーバー兼オーディオサーバー」というシナリオで構成してみました。
より音質を重視するなら、LANアダプターと以前作成したOpenWrtによるルーター(ネットワーク分離)を追加して、「オーディオ専用LANポート付きサーバー」なんてこともできると思います。
HUB基板を内蔵しただけの市販「オーディオ用」サーバーとは一味違うぞ!
とかね。




仮想化を使ってみて、OS/2やBeOS、はたまたNeXTSTEPなどOSを取っ換え引っ換えしていた時代の楽しさを思い出しました。あの頃は仮想化もなく、自分はOSを起動し直しては変わるUIで遊ぶ程度でしたが、現在はファイルサーバーやルーター、オーディオサーバーなど専用OSが多数あり、これらを並列動作させて実用的に使える環境になりました。

ただ、その一方でPCは電源を入れれば選択の余地なくWindowsが立ち上がるようになって久しく、簡単にはOSを変えられないモノになってしまっています。今こそクリーンコンピューターの思想が必要なのだ!




(2021/9/26追記)
リソースの割り当て状況はこんな感じです。このあたりのチューニングも仮想化で面白いところです。
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使用するコアの総数が物理コア数を超える(オーバーコミット)と、ESXiによるスケジューリングが入りパフォーマンスが低下します。実際に発生する頻度が高くなり過ぎない程度が良いでしょう。
メモリーとストレージは、ESXiが使う分を含めて物理的な容量の範囲に収めています。メモリーのオーバーコミットは避けるべき、ストレージはThicプロビジョニングの場合オーバーコミットできません。

欲を言えば8コア・32GB位あると遊ぶ余裕ができますが、そうなるとメーカー製PCの多くは強制空冷になってしまい、オリオさんあたりのファンレスPCが欲しくなります。
まぁ、この位で留めておくのが乙ってもんですかね。


(2021/10/8追記)
MinimServer2もRoonも安定動作しています。OSの選択、リソース設定などまだ最適解には達していない気もしつつ、ひとまず正式運用に入りました。

Roonで有名なシグナルパス表示です。オーディオファイル向けにはビットパーフェクトで再生できているかどうかのインジケータとして使えますが、あえてフォーマット変換させて負荷をかけてみました。以前のサーバーでは無理だった、DSD256からPCM48kHzへの変換も途切れることなく再生できています。ただしギャップレス再生はできず曲間で一瞬止まります。
なんでそんな変換を?と思うかもしれませんが、Bluetoothヘッドホンで聴く時はDSD不可、とかじゃ困るわけですよ。こういう能力は大事。
処理性能はこの条件(DSP機能はOFF)でリアルタイムの3倍程度と表示されています。flacなどのPCM音源やDSDでもネイティブ再生なら負荷はこれよりずっと軽くなり、1ストリームであればDSPを入れても一通りの再生はこなせそうです。上出来でしょ。


(2024/5/19追記)
RoonのベースOSにしたUbuntuを最新版にアップグレードしたところ動作が不安定となり、数日放っておくとRoonの仮想マシンがCPU100%状態で固まるようになってしまいました。車でRoon ARCを使う時にこれでは脱力感半端ないので、ROCK(Roon Optimized Core Kit)に入れ替えました。
現在のROCKはUEFIに対応し、ESXi環境にも比較的容易にインストールできるようになっています。コミュニティに上がっているこの手順でいけました。
ROCK VM on ESXi
中で必要と説明されているキーボードのパススルーについてはこちらの動画が分かりやすいです。


ただ、肝心のESXiが冒頭朱書きの状況ですので、このブログ自体あまり有用ではなくなってしまいました。仮想化基盤でNASとRoonを動かすと
・仮想ネットワークで高速に接続できる
・Roonが重くなったり最悪フリーズしてもファイルサーバーに影響しない
などメリットがありますが、今から同じことをするならProxmox VEとかですかね?
Posted at 2021/09/25 01:50:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | オーディオ | 趣味
2021年09月12日 イイね!

仮想化オーディオサーバーの製作(2)

仮想化オーディオサーバーの製作(2)前回に続き、手のひらサイズのミニPCでオーディオサーバーを作ります。












(2024/1追記)
Broadcomによるvmware社の買収が完了し、ここで紹介したvSphere Hypervisor(ESXi)にも影響が取りざたされています。はっきりしたところで記載したいと思います。

(2024/2追記)
無償版vSphere Hypervisor(ESXi)の提供終了が公式に発表されました。残念です。

(2024/7追記)
ESXiの代わりにProxmox VEで作り直しました。
仮想化オーディオサーバーをProxmox VEで再構築した

(2025/4追記)
無償版ESXi8の提供が再開されました。





前回は水色部分の仮想化基盤まで。今回はその上のOS構築まで進めます。
計画通りにはいかない、し、やらないもので・・・仮想マシンを立てては消しを繰り返しています。もう少し経験を積めば勘所もわかってくるんじゃないかな。
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線の引き方がポイントです。

TrueNAS(旧FreeNAS)はFreeBSDベースのNAS用アプライアンスで、業務用サーバーにも対応可能な高速・高信頼性OSです。使ってみて安定感があるのでメインサーバーとして採用しました。


データ用SSDの接続準備

データ用の2.5インチSSDは、ESXiのRDM(Rawデバイスマッピング)という機能を使って全領域を1台の仮想マシン専用に割り当てます。
こうすると、仮想マシン上のOSのファイルシステムで物理的にフォーマットしたり、S.M.A.R.T.情報を取得することも可能になります。

公式ドキュメントでは仮想マシン作成時に設定できる、となっていますが・・・できませんでした。以下の手順で準備します。
データストアブラウザで、任意の場所にマッピングファイルの格納場所を作っておきます。
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対象となるディスクのデバイスパスを確認しておきます。入力時にTABキーで補完できるので全部覚えておく必要はありません。
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シェルまたはSSHコンソールから、以下のコマンドでマッピングファイルを作成します。
vmkfstools -z デバイスパス マッピングファイル.vmdk
デバイスパスは/vmfs/devices/disks、データストアは/vmfs/volumes下にあります。
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目的のディスクと(表示上)同サイズのマッピングファイルが作成されていれば成功です。
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仮想マシンVM1の作成

「仮想マシン」画面の「仮想マシンの作成/登録」ボタンから、ウィザード形式で作成することができます。
「新規作成」の後OSを選択。TrueNAS12のベースはFreeBSD12(64bit)です。
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割り当てるメモリーやハードディスクの容量を設定。
システム用ハードディスクは、プロビジョニングポリシーを「thic (Eager Zeroed)」としてパフォーマンスを優先します。なお64GB以上割り当てると16GBのスワップファイルが設定されるそうです。
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「ハードディスクの追加」-「既存のハードディスク」を選択
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作成したRDM用マッピングファイルを選択。
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最終確認後「完了」すると、ハードディスクが2台接続された仮想マシンが作成されます。まだ器(ハードウェア)ができただけなので、この後OSをインストールしてゆきます。
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TrueNASのインストール

仮想マシンにOSをどうやってセットアップするかというと、ESXiのデータストアにインストール用ISOイメージをアップロードしておき
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仮想マシンの設定を編集し、CD/DVDドライブにISOイメージを指定します。
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仮想マシンを「パワーON」すると、あたかもISOイメージのメディアで起動したようにインストールが始まります。
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管理画面の小窓に起動画面が表示されています。
仮想マシンのモニター出力(コンソール)はブラウザ内でウィンドウ表示させることも、VMRCという専用アプリで表示させることもできます。VMware Workstation Playerがインストールされている場合はVMRCの代わりにこれが使われます。
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初めて仮想化を使うと、この
仮想と現実が錯綜する感覚!
がとても新鮮で面白いです。

インストール方法についてはこちらのブログを参考にさせてもらいました。
TrueNAS - きりしま屋

インストール完了後の設定はブラウザで行います。ESXiの管理もブラウザなので混乱しそうになりますが、ESXiと仮想マシンのIPアドレスは別になり、ネットワーク上にESXiとは別のPCが出現したように見えます。
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管理画面のトップは、こんな洗練されたデザインのダッシュボードです。


サーバーの設定

設定方法についても先ほどのブログが詳しいです。ありがとうございます!
・ユーザーの追加
・プールの作成
・メール通知の設定(任意)
・SMB(Windows)共有サービスの追加
・S.M.A.R.T.監視タスクの設定(任意)


バックアップ用HDDの接続と仮想マシンVM2の作成

シングルドライブのNASでは(RAIDであってもリビルド中の連鎖故障を考えれば)バックアップは必須です。SSDの長期保存性はどうなんだろう?実績のHDDにしました。
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LHD-ENA020U3WR(ロジテック)
ロジクールじゃない方のロジテックで、今や珍しい国産品。Amazonで注文したら信州は伊那の工場から直送されてきました。中のドライブがNAS用のWD Red plusなのも良し。

バックアップ用HDDは万一の場合に他のPCでも読めるようにしたいので、フォーマットをexFATとします。TrueNASはZFSという耐障害性の高いファイルシステムを採用していてexFATを使えないため、バックアップサーバーとしてOpenMediaVault(OMV)の仮想マシンを立てました。OMVも標準ではexFATに対応しないのですが、ベースがDebianなので簡単にパッケージで追加できます。

インストール方法はTrueNASと同じ、というかどのOSでも同様で、仮想マシンを設定し、ISOイメージを読み込ませて起動します。OMV5のベースOSはDebian10(64bit)です。
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OMVもシステム用とデータ用ドライブを別々に割り当てる必要がありますが、最初はシステム用だけでインストール可能です。USBコントローラーは2.0と3.0が選択でき、USB3.0はワーニングが出ますが選択可能です。
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言語・キーボード・地域・ホスト名・ドメイン名・ルートパスワードの設定の後、インストールするディスクを選択。
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この後のアーカイブミラーは日本のrikenあたりにします。インストールが終了して「メディアを取り出し」と言われたら管理画面からISOイメージの接続を外します。

インストール完了。直後はIPアドレスが正しくありませんが、再起動後は実世界のDHCPから取得されます。
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表示されているIPアドレスをブラウザで開くとこんな管理画面になります。ログインユーザーはadminで、インストール中に設定したrootではないので注意。
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同じIPアドレスでSSHコンソールを開きrootでログイン、exFATファイルシステムをインストールします。
root@openmediavault5:~# apt update 
root@openmediavault5:~# apt install exfat-fuse exfat-utils 
root@openmediavault5:~# apt install open-vm-tools 

open-vm-toolsは、esxiからゲストOSのシャットダウン操作などを可能とするユーティリティでこれも入れておきます。

バックアップ用HDDは、ESXiの「USBパススルー」という機能でデバイスごと仮想マシンに接続します。最初にWindowsPCにつなぎexFAT形式でフォーマットしてからESXiに接続し直します。ボリュームラベルが日本語だとマウントに失敗するので注意。
OMVをシャットダウンし、ESXi管理画面で仮想マシンの設定を編集、「その他のデバイスの追加」「USBデバイス」でHDDを割り当てます。
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OMVを起動すると、「ファイルシステム」画面でHDDが認識されているのでマウントします。
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(2021/9/19追記)
exFATはlinux用のファイルシステムではないため、アクセス権の設定ができず共有フォルダ作成時にエラーが発生します。そのままでも使用は可能ですが、/etc/default/openmediavaultにnofailオプションを追加しておきました。
OMV_FSTAB_MNTOPS_EXFAT="defaults,nofail,uid=0,gid=100,umask=0000"

あとはRsyncなどを使ってTrueNASからOpenMediaVaultへバックアップタスクを走らせるよう設定すればファイルサーバーの完成です。




そろそろ飽きて力尽きかけてますが、次回ようやくオーディオサーバーをインストールできそうです。




(2021/9/21追記)
TrueNASの性能を計測してみました。

ベンチマークアプリでは、最高値でほぼネットワークの上限速度(1Gbps=125MB/s)が出ており良しとします。
これを見る限り、ネットワークがボトルネックになるのはごく限られた条件だけなので、実用上はまだ1GbEで問題ないと思います。次にPCを更新する頃、2.5GbEや10GbEが安くなっていたら移行しましょうかね。
Posted at 2021/09/12 23:02:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | オーディオ | 趣味

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「自分のブログの内容にどこぞの謎情報を混ぜられたものが「AIによる回答」として提供される。生成AIに利用された絵師の気持ちが理解できたと同時に、想像以上に信用ならねーなという思い。みんカラも学習拒否の設定させて欲しいぞ。」
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