
今日はポートの観察を行って、ポート加工の作戦を練ってみたいと思います。
先ずインテークポートから観察します。
インテークポートは車体左側に向けて斜めに設定されています。結構な角度です。
ポートの縦方向の形状を見ると、青線の様に低い位置から入っていったん上昇して急に落とすような形状かな?
赤線で描いた燃焼室の形状が有るので、燃焼室の高さまでポートを持ち上げる様なカーブになっています。
一般に良いと言われるのは、緑線で描いた高い所から直線で入れる感じなのでチョット残念な形状です。
左曲がりで、釣り竿がしなった様な形状をしていました。
では部分的に細かく見ていきます。
先ずはインシュレーターから。
35.5mm。ガスケットの穴径は36mmかな。
インテークポートの入り口は35mm無い位の大きさ。
インテークポートの奥の方は左右方向が大きく広がります。
バルブステムとかガイドとかその周りのアルミの肉とかでポートが狭くなる分をポートを左右に広げて開口の断面積を確保する手法で、主にチューニング界で生まれた「コブラポート」と言う形状らしいですが、SRには純正で採用されています。
航空機で例えると「エリアルール」って感じかなかな。
そして車体左側方向の方が大きく広くなっています。
ポート形状を絵にするとこんな感じ。
少し大げさなカーブにしていますが、まぁこんな感じ。
バルブ側から見ると左右で隙間の違いが大きい事が分かり易い。
ステムで左右に流れが分断されるけれど、流れは左右対称では無い。
ゲージをバルブガイドの上に移動
バルブガイドで狭くなって仕舞う開口断面積の分かそれ以上の面積分、ポートは横方向に広がっている様です。
ゲージの位置はそのまま、シリンダー壁とバルブのリフトで出来るバルブの開口部を可視化します。
シリンダー側のバルブリフト面積の所は空間が狭く、効率良く吸気が出来無さそう。それに加えてプラグ側の燃焼室の壁もせり上がっていて空間が割と狭い。
対して反対側は、混合気が入り易そうな空間が広がっている。(写真では分かり難いかも。)
ポートの形状を加味すると、エキゾーストポートの方へ混合気を流そうとしているように見える。

(写真は光の都合で張り合わせで写真の角度が少し違ったのでズレちゃいましたが、考えたい事に対しては問題無しかな)
赤線のポート壁面の断面を考えると、
向かって右の壁はポートの底からバルブシートまで垂直の壁になっている。
向かって左の壁はポートの壁がバルブシートよりも曲がって広がっているので、えぐられた形状になっているので混合気がバルブシートに向けて流れにくい形状になっている。
写真では分かり難いですね。しかもほんのちょっとの出っ張りだから、実物を指で確認しなきゃ分からないかも。。
その事を含めてもう一度この写真を見ると、より一層意図的にエキゾーストバルブの方に向けているように見える。
意味を考えるとインテークバルブから一番遠いシリンダー壁に向けて混合気を入れて、効率よく混合気をシリンダー全体へ流そうとしているという事だと思う。
エンジンのコンセプトは、もう少し高回転の伸びが欲しいので「パワーバンドをノーマルよりすこし高回転に移行する」なので、
ポート加工の作戦としては、
1,混合気がエキゾーストバルブ方向に更に流れ易くなるように、バルブガイド後ろの肉を矢印部分を中心に落とす。タンブル流が少しでも強くなる事を狙います。
2,インテークポートの入り口をガスケット径と同じ36mmまで拡大。それからコブラポートの最大幅となる位置までストレート形状にして、若干のポート内径の拡大。
ノーマルポート形状「青線」、加工形状「赤線」
3, バルブシートの段付き修正。抵抗の削減です。
作戦としてはこんな感じかな。
次はエキゾースト。
こちらは問題だらけ。。
1,先ずポート出口が丸が崩れている。
2,バルブガイド周りの肉が大きくせり出している。
3,謎の出っ張りもあり
ポート出口径は36.5mm
圧倒的なガイドの出っ張り
ゲージが全く入りません。。
バルブ側から35mmのゲージを入れてみましが、バルブガイドが大きくせり出して断面積が全く確保出来ていません。。。
実際にはバルブステムの分の断面積が減るので尚更です。
ガイドの根元と言うか手前側の謎の出っ張りの原因はこれ
エキゾーストポートの上部にあるスプリングシートの位置が低過ぎて、ポート側に出っ張っていました。なのでこれは削り落とせません。。
因みにこれ何か知ってますか?
矢印の所にあるパイプ状の形状は、ヘッドからオイルを落とす為の通路に成っています。エキゾーストポートと接触しているので無駄にオイルを温めてくれます。上のスプリングシートの脇にオイル穴が有るのが分かると思いますが、それと繋がっています。
エキゾーストポート加工の作戦は、
1,バルブガイド周りの肉を極力そぎ落として断面積を確保。
2,出来ればコブラポートの様に横に拡大を行いたいけれど、ポートの肉厚が確認出来ないので削れない。一皮剝く程度に拡大かな?
3, カーボンが厚く付いて断熱効果が出る事を期待して鏡面にはしない。
その位しか出来る事が無い。。
ポート加工の作戦は以上!。
自作したゲージ達。 大活躍でした。
SRの車体の整備は引っ掛け問題があって難しくはあるけれど、それなりに考えれば答えは出て来ますが、
エンジンのチューニングは考える事が多いし、計算もしなくちゃ成らないし、現状は計算式すら1から作らなきゃならない。
広く広く深く深く考えなければ答えが出ない、もしくは答えは無いので、考えれば考える程に陰陰滅滅で疲れます。
考え抜いた上で実験的にエンジンを組んで、計画と実際のフィーリングを答え合わせ。
その苦労があるから計算式やノウハウって中々表には出て来ないんでしょう。なんて思いました。
追記
なぜかこのブログが消えていたので再度アップしました。
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Posted at
2023/03/26 05:37:47