
クランクの芯出しですが、ピンの回転方向の修正は以前のブログで仕組みを理解する事が出来て修正が可能になっていました。
過去のブログはこちら↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/blog/46953894/
ですが、開き方向の修正がまだ分かっていませんので、今回は ”開き方向” の修正を考えてみたいと思います。
開きの修正はWebを見渡すと、ハーレーのクランクの修正でバイス台で挟んで修正するのが見つかります。私も初めは「そうやってやるんだぁ。本当に曲がる(修正が効く)のかな?」と半信半疑でしたが、ハーレーの場合はナット?を締め付けて組み立てるクランクなので構造が違うからそう言う作業方法になるんだなと理解しました。
SRの場合は圧入での組み立てクランクなので、修正時に振動を与えて収めないとズレる箇所に応力が残って仕舞う感じがするので打撃系の修正が有効かな?
あとは原付などの小排気量のクランクの修正を良く見かけますが、動画を見た感じだとシャフトの剛性が全く違う様です。SRのクランクはあんな簡単な打撃では修正が効きません。なので同じ理屈では成り行かないだろうと思います。
Webに載っている理屈的に分かるようなダメージが少なそうな方法と自分で考えたダメージが少なそうな理屈を織り交ぜた方法で試しに打撃を加えてみました。しかし優しい方法ではピクリとも修正出来ませんでした。
それで決心が付きました。
真っ向勝負で叩いて修正してみます。
ウェブが開く方向なのでオレンジの印部分に打撃を与えてみます。丁度ピンの反対側の位置です。
クランクがダメになる覚悟も含めて実験です。
今回は右側の振れがあるので右のウェブ側から修正して見ます。
心配なのと何か起きてもデータだけは残るように、打撃前のクランクのダイヤルゲージが振れる様子を見ておきます。
打撃前のダイヤルゲージの様子。
・右側
https://youtube.com/shorts/tDvOEYQOSrI?feature=share
95μm程振れています。
・左側
https://youtube.com/shorts/We7yXQ-Ql5c?feature=share
1μm?ほとんど動きません。コッチに影響が出なければ良いんですけどね。
そして打撃後のダイヤルゲージの様子。
・右側
https://youtube.com/shorts/8-un0ih0gow?feature=share
95μm → 65μm 程に振れが小さくなりました。
心配の反対側の様子は3μm程と、少しの影響で大きくは影響していないようです。
なんだか行けそうな気がする〜。
更に0を目指して修正すべく追加で打撃を加えます。
先程は2発入れましたが、今回は5発いきました。
打撃後のダイヤルゲージの様子です。
・右側
https://youtube.com/shorts/LXCnZEfps08
15μmまで修正出来ましたが実はコレ、行き過ぎの閉まり方向の15μmになりました。
ピンの回転方向の修正が済んでいる前提で、クランクピンが上に来た時に数値が大きくなるのが開き。ピンが上の時に数値が小さくなるのが閉じです。
叩き過ぎてクランクが閉じちゃいましたw
反対側への影響も見ておきますが、あれあれ?トラブルです。
数μm~15μmまで計測値が振れてしまいよく分かりません。。しかもこんなに影響が無い筈も無い気がします。
確認すると振れ取台のマグネットを張り付ける為の鉄板が数回のマグネットの脱着により浮いてしまっていました。
修理後の計測値は、閉じ方向に65μmでした。泡食ってしまい写真も動画も有りません。。。ビールを飲みながらだからこんな事に成っちゃうんですね。
始めは開いていたクランクが閉じたクランクに成ってしまいました。
さてどうしよう。。 まぁ打たくんですけど何処を叩きましょうかね?
そうですね、クランクピンの近くの赤〇で記したココを叩いてみましょう。
そして修正後のダイヤルゲージの様子です。
左側
https://youtube.com/shorts/LSgSUFgTgR8
3μm。 3/1000 mmなので振れで言うと 1.5/1000mm でバッチリ芯が出ています。
マニュアルの許容値は計測値で60μmまで、振れで言って 30/1000mm迄です。
右側
https://youtube.com/shorts/imk6jeeLWwI
2μm。言うまでもなくバッチリ。万分台です。
やって見たら簡単だった。 という感じです。
千分台(←何故かクランクはこう言う) の調整は軽く叩くだけなので、組み込みなどでブツケテしまうと直ぐにズレてしまうと思います。結構デリケートです。
クランクの開きを閉じる場合はピンの反対側、写真のマジックの丸印。
クランクの閉じを開く場合はピン側、写真の ✕印。 のクランクの外周を打撃する事で開き方向は修正出来るようです。
閉じを開く場合にピンのそばを叩く時は、他の作業の打撃の1/10位のちから加減で動いてしまうので注意です。
この作業を行うと、クランクを叩いたり、インパクトを使ったりするのがナンセンスだという事が良く分かります。クランクに残ったベアリングを抜く為にプーラーを叩き込むのもNGかな。
特に開き方向はデリケートでした。
単気筒の芯出しは内燃機関屋さんに頼むと1万円ほど掛かります。
今回5ポンドの銅ハンマーをヤフオクで送込み8,000円程で購入しているので、価格だけで言えば頼むのとトントンくらい使ってしまいました。
経験はプライスレス。 良い経験になりました。
「SRのクランクはDIYでの芯だし作業が可能」となりましたw。
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Posted at
2023/05/26 17:01:53