
バルブタイミングにおける中心角の通説って言うのがあるようです。
ツインカムエンジン 110°ー110°
シングルカムエンジン 105°ー105°
通常、普通と言われる中心角はこの辺りだそうです。
そこからハイコンプ化やハイカムにしたり、チューニングを施してハイパフォーマンスを狙うエンジンでは、2°~3°タイミングを早めるそうです。その際に少しだけインテークのタイミングの方を大きく動かすそうです。
例えば
ツインカムエンジン 107°ー112°
シングルカムエンジン 102°ー107°
これがバルブタイミングの通説の様です。
ここからプライベーター達は1°ずらし2°ずらしで美味しい所を模索したりするそうですが、大体2°変えると変化が体感できるみたいです。メインジェットに例えるならば2.5番の変更みたいなもの?1段階って感じでしょうか?
吸排気のバルブを開け閉めするタイミングの要素を簡単に考えると、
1,排気工程のクランク角度180°で排気バルブを、吸気工程の180°で吸気バルブを開けてシリンダー容積一杯まで吸排気を行う。
これが一番のキホンになるかと思います。
次に吸排気時に出入りするガスの速さ(ボリューム変化)はピストンの昇降スピードと共に変化する訳ですからピストンの昇降スピードを加味すると、ピストンの昇降スピードが一番高くなるのはコンロッドの傾きの影響があるのでATDC/BTDC共に70°~90°の範囲でMAXを迎えるようです。なので、
2,カム山の一番高くなるタイミングとピストンスピードがMAXになるタイミングを揃える。
そんな事も重要になるのかなと思います。
その次には吸排気のガスはシリンダー容積の変化に遅れてシリンダーやポート内を移動する訳ですから、
3,カム山の一番高くなるタイミングと実際にガスが移動するタイミングを合わせる
考えている事はあながち間違っては無いと思いますがこの見えない要素が有るのでバルブタイミングの設定は難しいのでしょうね。特にインテークではピストン下降による吸気が終わった後に混合気の質量で発生する慣性過給も働きますので「遅閉じ」が必要になります。
(カムとピストンのスピードと吸排気ガスの動きを具体的にイメージするのにまた時間を使ってしまいました。難しい理論は一切無いのでですが、頭の中に吸排気のイメージを作るのに労力を大量消費してしまいます。こんな事を考えているとエンジンの組み立てが遅々として進みませんwww.)
ここまであえて ”カム山の一番高くなるタイミング” なんて書きましたが、このカム山の頂点位置の事を
ロブセンター(中心角) と言います。多くの場合はロブセンターと中心角はイコールとなっていますので、取り敢えずは、ロブセンター=中心角と考えます。
SR400/500のインテークの中心角はサービスマニュアルのデータから計算するとATDC102°に設定されていると分かりますので、ピストンの下降スピードが一番早くなるATDC約80°の位置からは約22°遅れた位置に設定されているようです。
ATDC約80°でピストンの下降スピードがMAXに到達するポイントから中心角を22°遅らせる設定ですが、その混合気の動きの遅れ22°を時間に換算しようとすると回転数によって変化する事に気が付きます。
1500rpmでは、1/(1500/60)/360*22=2444μS(0.00244s)
7000rpmでは、1/(7000/60)/360*22=524μS(0.000524s)
7000rpm/1500rpm=4.66倍 なので、当然1500rpmと7000rpmでの22°の時間の差も4.66倍違う事になります。
こう考えると吸気される混合気の流れのスピードとバルブの開弁位置が適切となるのは
全回転域では無く、特定の回転域 と言う事に成ろうかと思います。(4輪エンジンでの連続可変VTCではこういう問題も解決出来るのでしょう)
では今回の目的に合わせた ”背圧が高い状態で少しでもトップエンドの伸び” を得ようと考えた時にどうすればよいのか?
それは、「吸気のタイミングを現状よりも遅らせる」 という事で成立するんではなかろうか??? と考えました。
当然それに合わせたダクトの短縮化などの吸気系の同調回転の変更も必要になります。
ドウでしょうか?理屈としては合っていると思いますが、、、でも実はこれ、セオリーとは逆の動かし方に成るんです。
でもIN・EX両VTCの最近の4輪エンジンでもセオリーとは逆の私のイメージと同じ動作になっています。
ドウナンデショウカ???
SRのノーマルエンジンの中心角の設定は102°ー110°とだいぶ進んだ設定に成っています。SRのエンジンは知れば知る程普通とは違う物が有ります。レーサーベース(レーサーそのまま)だからなんでしょうか?
これを105°ー107°や106°ー106°を狙って組むと良いのかも知れない。
なんてこんな選択肢が生まれると今度は初期583ハイカムなんて入れずに5F0カムで中心角の変更を行った方が良いエンジンになりそうとか、また選択肢が広がってしまいます。
今回も通説無視のオリジナル理論になりそうです。
ここ最近、バルブタイミングの事を考えていますが、慣性吸気、ピストンの移動スピード、などなど、色々な要素が絡み合う事に気が付き奥深いものだと分かりました。エキゾーストはインテークと同じに考えるとツジツマが合いませんがまた他の効果、要素が有る為です。
バルブタイミングはエンジンを組み立てる際の
「ハイライト」になると思います。これを考えて組むか?マニュアル通りに組んで済ますか でエンジン組み立ての意味合いは大きく変わるのかな?と思います。
バルブタイミングが分かり易い、参考動画の紹介です。
↓↓↓
以上、バルブタイミングについて考える。でした。
No Limit ! SR.
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2023/08/21 03:56:21