
今日はCO2の添加を行っている水槽の一日のpH変動を見ながら「効率的なCO2の添加方法」と「弱酸性の軟水」について考えてみたいと思います。
まず初めにこちらのグラフをご覧下さい。
こちらは私の水槽の1日のpHの変動のグラフです。
・16:30→0:30まで8時間照明を点灯。
・CO2は照明点灯前の2時間前から添加を開始して、消灯2時間前にOFF。
・夜間は基本的にエアレーション
としています。
・pHが一番上昇した所は、エアレーションが終了してCO2の添加が始まる14:30 で、7.4 まで上昇しました。
・pHが一番降下した所は、CO2の添加が終了する22:30 で、6.5 まで下降しました。
水中のCO2濃度により約0.9のpHの変動が見られました。
この様に pHはCO2による影響を大きく受けるのが分かるかと思います。
もう少しCO2濃度を上げても良いかな?と言う感じですが二酸化炭素がタダでは無いのでガンガン入れるのもな?。今は1滴/秒入れていますが40Lしか水量の無い水槽なのでこれ以上入れるのも?なので、添加開始の時間を現状の照明点灯の2時間前→
4時間前に変更して様子を見る事にします。
その結果ですが思った以上に効果が大きく出たので、CO2添加時間は8時間→
7時間に変更しています。
添加開始時間を照明点灯の2時間前→
4時間前へと2時間早めて、添加時間は1時間短縮の8時間→7時間としました。
結果は pHの最大降下点で-0.1下げて6.4まで下げる事が出来ました。
・添加開始 →pH降下
・照明点灯 →CO2濃度均衡
・早めのCO2カット →水草が水中のCO2を回収
↑
イイ感じでCO2のサイクルが出来ているようです。
2つのデータを重ねると、
照明の点灯中のCO2濃度を高める(pHを下げる)事が出来た様です。
照明点灯中の pHの平均値を見ると、
変更前、6.62
変更後、6.56
変更後の方が少しCO2濃度が上がりましたが、添加時間を1時間短くしているので大分CO2添加の効率を改善出来たようです。更にCO2濃度を上げたい場合は8時間添加に戻すのが良かな。
という事で結論と言うか、飼育水の pH値は二酸化炭素濃度によってコントロールが出来ると言うのが分かって頂けたかと思います。
「弱酸性の軟水」と言いますが、二酸化炭素も影響があるんですね。
ここで大事な事は、
KHが0(ゼロ)以上の領域では、KH と CO2濃度 の関係で pH が定義される。
という事。軟水にすると自然に「弱酸性」に成ると言うイメージも有りますが、「軟水」と「弱酸性」の要素は全くの別物なので分けて考える必要が有るという事がわかるかと思います。
CO2 と pH の関係ですが、計算で求める事が出来ます。
CO2濃度(mg/L) = KH × 10^-PH × 3.72 × 10^7
KH と pH が分かれば計算からCO2濃度が分かります。テトラの6in1のテストペーパーをスマホアプリで読み込むとCO2濃度も表示される仕組み?もこの数式が有るのでKHとpHの値から算出している物と思われます。
今回データを取得した時の水質は、KH=約1 となっていますので、KH=1で計算した結果を表に表します。
計算結果はこんな感じ。今回pHは6.4まで降下したのでその時のCO2濃度は 15mg/L と分かります。水草の生育に適したCO2濃度は30mg/Lと言われていますのでまだまだ添加する必要が有ると言えます。
数値だと分かり難い所も有るのでグラフにしてみます。
30mg/Lを目指すとpH6.1まで下げる必要が有りますが、この近辺では pH0.1の変動に対するCO2濃度の感度が高い事がわかります。正確にCO2濃度を調整するには割と精度のある pHの計測が必要になります。(ザックリで問題は無いですけど試薬では難しいかな。)
と、こんな感じで添加量の管理が必要と言うか出来るという事なんですね。
CO2 と pH の関連表はセラのHPにもありますのでご参照下さい。

出典
https://sera.co.jp/?p=6170
少し基本に戻って「KH」って何?という疑問がありますが、「HCO3=KH」という事で間違いが無いようです。
「HCO3」はCO2が水に溶けて出来る「H2CO3(炭酸)」から「H」が1つ電離して放出されて「HCO3(重炭酸)」となるのですが、HCO3の生成には「熱」が必要になるので、CO2由来では水槽内で生成されるような物ではないそうです(←ネット情報)。
もう一つは水中にCO2を添加してH2CO3が発生したとしてもとても不安定で、CO2+H2Oの状態である事が殆どでH2CO3の状態では存在出来ないので、そもそもH2CO3→HCO3への変化は発生する事は無い(←コレは私が勉強した情報です)。
なので飼育水中のHCO3の濃度はCO2の添加によってその濃度に変化をきたす事はないと考えます。なので基本的には水道水からの導入の量が支配的となります。
飼育水中の「HCO3(KH)」と「H2CO3(CO2+H2O)」は上のグラフの様な関係性があり、pHによって割合が決まって来ます。
KH=1に対して CO2=1 の割合であれば pH=6.1 と成ります。
KH=2に対して CO2=2 の割合であれば、CO2濃度は上昇しているにも関わらず pH=6.1 と成ります。
KHの値が2倍に成ると、同じpHになるCO2の量は2倍になる事に成ります。
逆にKHの値が1/2倍に成ると同じpHになるCO2の量は1/2倍になります。
上の CO2 と KH の対応表を見るとその様な関係になっている事がわかります。
この事からも KH と pH の関係性が分かるかと思います。
石組みの水槽ではpHとGHが上がると言いますが、石の白い部分の成分を化学式で書くと、「Ca(HCO3)2」←炭酸水素カルシウムとなるので水に溶けるとCa→カルシウム→硬度成分、HCO3→KH→pH上昇成分、が発生すると分かります。炭酸水素カルシウム由来でのHCO3(KH)は水槽内で生成が可能の様です。
硬水=高pHのイメージも有りますがこう言ったところから来るのだと思いますが、正確には各々違う要素なんですね。
この様にKHとはHCO3である事、pHはKHとCO2濃度で決まる。と言う事を理解するのが水質を理解する上で大切になります。
「弱酸性」と言いますが、ソイルやマジックリーフを使うと言う理解も良いのですが、その仕組みから考える事でより深い理解につながるかと思います。
簡単に言うとKHが0よりも高い領域では、pH を下げるには「KH」を下げるのが基本。更に「CO2」を入れるとpHは下がる。そういう事に成ります。
飼育水の弱酸性化がだいぶ見えてきました。
使用した pH計。アリエクで安く買いましたがいい仕事してくれています。
CO2添加に連続計測の pH計は必需品かな?
水槽周りのコードが増えて仕舞うのは難点です。
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Posted at
2024/02/24 08:12:19