
今回はエンジンオイルの劣化について少し。
オイルの劣化については色々な事が言われますが、オイルの酸化とは何ぞ?
と言う訳でエンジンオイルの酸化と劣化について少し正しい知識を身に着けよう!です。
エンジンの中で一番にエンジンオイルに負荷を与える場所ってどこなのでしょうか?
今回はピストン及びピストンリング周りでのオイルが曝される状況について考えます。
1,ピストンが上死点側にある時にピストンの裏側のシリンダー壁にオイルを掛ける。
2,ピストンのオイルリングでオイルを掻き落としながらピストンが下降する。
3,シリンダー壁に残ったオイルの薄い膜がピストンリングとシリンダーの潤滑・気密・冷却を行う一つの部品として機能する。
4.ピストンが下死点側にある時には、燃焼室側となったシリンダー壁オイルは残り燃焼ガスに曝されることとなる。
5,次のサイクルではシリンダー壁の使用済みとなった汚れたオイルと新たに補給されたオイルがピストンの上昇下降で入れ替わり、ピストンリング周りの汚れと熱を洗い流しながらオイルパンへと戻る。
ピストン周辺のオイルの状況を考えると、オイルにとってココが一番の修羅場なのでは無いでしょうか??
更にはエンジンが古く成ってくるとピストンリングを吹き抜けるブローバイガスも増えて来るでしょう。
こうして排気ガスとエンジンオイルは常に接触がある訳ですね。
ここでイメージするのは排気ガス中のススがオイルに入り込みエンジンオイルが汚れるという事なのですが、ちょっと違うんです。
←ここ大事です。
↑ 写真はエンジンオイル開発での「エンジンオイルの劣化評価」の試験装置の概略になります。
元ネタへのリンクはこちらから
エンジンオイルの劣化は排気ガス中の
窒素酸化物によって起こる。これが一つの真実のようです。
窒素酸化物って何?という事ですが、排気ガス中の酸性雨や光化学スモッグの原因物質となっていて、本来酸化しない(燃えない) 窒素が燃焼時の高温高圧にさらされる事で複数の酸素と結合してしまい生成される物質に成ります。
なのでエンジンの運転状況が高負荷になった際に多く発生する物質となります。
窒素酸化物は酸性雨をもたらす程の
酸性物質の為、エンジンオイルに触れる事で
オイルを酸化させてしまいます。エンジンオイルが酸化で劣化するとは耳にしますが深い意味ではこの事を指し示す言葉なんですね。
ですが窒素酸化物によってエンジンオイルが酸化する事は事前に分かっているので、エンジンオイルには酸化防止剤が添加されていて窒素酸化物を中和する事で酸化を防止する機能を持っています。オイル内の消耗品である酸化防止剤を使い切ってしまうとオイルの酸化が進む事となり、酸化に対する寿命を迎える事となります。
そしてその酸化防止剤が中和作用を発揮した際に生成される物質が
「黒スラッジ」と言われる物だそうです。
エンジンオイルの黒く汚れる原因は、酸性物質の窒素酸化物とオイルが接触→添加剤の酸化防止剤との中和反応→黒スラッジの発生。→エンジンオイルの黒汚れ。
なので、前述の「エンジンオイルの劣化評価」のオイルは、ススを含ませて無いのにも関わらず煤けた様な劣化を示す事に成るんですね。
←目からウロコ?。オイルの黒い汚れはススだけじゃない!!
その事はこちらのページで説明がされていました。(窒化と表現されている。あまり的確では無い)
エンジン内のオイルスラッジ
なので冬の間にエンジン内で空気に触れていたくらいでオイルが劣化するなんて事は、??? なんだと思います。
もう一歩踏み込むと、
酸化防止剤は
潤滑性能には寄与しない成分なので、酸化防止剤を減らして摩擦調整剤などのつるつる系の添加剤を入れると一般に高性能なオイルと言われる商品力の高いつるつる系オイルを調合する事ができます。
・代わりに高価で特別なエステルなどの添加剤を入れると、レーシングなオイルが出来上がり、、(短命)
・そこそこのエステルなどを入れると量販店で購入出来る色々なブランドのオイルが出来上がり、、(短命)
・純正系のオイルはしっかりとしたライフを持ちつつ、お値段なりの性能を発揮するオイルが出来上がる。(ロングライフ)
エンジンオイルの性能とライフはこの様な理由からも両立が出来ないと言えますね。
(当然、すべてのブランドのオイルが短命な訳でも悪い訳でもありません。考え方の一例で他にも粘度指数向上剤などもっと大きな要素も有ります)
なので上記の様な理由で純正系のオイルと一般流通のオイルでは根本的にライフの設計が違うと、二十歳の頃バイトしていたイエローハットでオイル屋さん(BPだったかカルテックスさんだったか??) に教えてもらいました。
↑
当時は車でも3,000kmでオイル交換とアナウンスしていたので、「何故純正オイルを使用したサービスマニュアルでは10,000kmで交換って書いてあるのに、◯エローハットで売っている一般のオイルでは3,000kmでオイル交換する必要が有るのか?」と聞いた。
・レーシングな特別なオイル 130℃
・一般流通のブランドオイル 120℃
・純正系 110℃
例えば上記の様なオイルの設計上の耐熱温度があると仮定して、峠で飛ばした時に常に120℃の油温がある状況があるとすると、純正系の110℃のオイルでは違う意味で劣化が早まるので120℃以上の耐熱のあるオイルを選択するのがベターに成ります。なので純正系が全て良い訳でもありません。(決して純正オイルの耐熱性能が低い訳では無く、考え方の一例として。)
もっと書きたい事があるのですが、疲れたので今日はここまで。
オイル屋さんがオイル交換のサイクルは短い方が良い。そんな事を言う台所事情の経験談と理屈を含めてお送りさせて頂きました。
・オイルのライフは使用するオイルによって異なる。
今日はオイルの酸化についての豆知識でした。
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Posted at
2024/03/28 22:50:52