と言う事で、本日の実験での水質の起点をここに設定します。
ここから少しづつpH/KHマイナスでpHを下げていきます。
まずはpH/KHマイナスを1cc。
規定量は100Lに対して10ccなので、20Lに対して1ccは0.5単位になります。
投入。この時に硫酸(H2SO4)とKH(HCO3)の反応で水中に水とCO2が発生します。(HCO3- + H+ = H2CO3 → H2O + CO2 )
CO2を飛ばさない様に少し攪拌して、pHを確認します。
pH 7.32
pH 8.07 → 7.32なので、0.75の低下となりました。ですが水中に発生したCO2の影響が大きいので、エアレーションしてCO2を飛ばしてからもう一度pHを確認します。
エアレーションすたーと。
1時間後。
↓↓↓
pH 7.85
KH 1.58
CO2を飛ばしたら、pHが0.53上昇しました。CO2の影響って大きいですね。
起点と比較すると、
pH -0.25
KH -0.42
となりました。CO2の有り無しでpHは大きく異なるので、こんな感じでCO2を飛ばした状態で繰り返しでデータを取っていきます。
次、pH/KHマイナスを1cc追加します。
pHは7.15まで低下しました。再度CO2の影響が含まれるので1時間エアレーションしてから再計測します。
1時間後
pH 7.82
KH 1.25
0.67、co2の影響がありましたね。
更にpH/KHマイナスを1cc。
pH 6.59
だいぶpHが下がる様になりました。
KHが低い状態だと、同じ量のCO2でもpH低下の影響が大きくなってきます。
1時間後。
↓↓↓
pH 7.69
KH (0.9)
更にpH/KHマイナスを1cc。
エアレーションをして1時間後。↓
pH 7.39
KH (0.625)
KHは低すぎて計測が難しいので参考値としてカッコをつけておきます。
更にpH/KHマイナスを1cc。
エアレーションをして1時間後。↓
pH 7.10
KH (0.33)
もうKHが無くなりそうなので、次の1ccからpHの低下が大きくなるかと思います。
更にpH/KHマイナスを1cc。
「写真が無くなってしまったのですが、投入直後にはpHが4.70まで下がりました。」
そこからエアレーションをして1時間後。↓
pH4.31
となりました。
KHは未計測と言うか計測不能ですが、当然0です。
KHが無くなると、pH/KHマイナスが KHで中和されないので、急にpH/KHマイナスの効力が大きく成ってガクン! とpHが下がります。その代わりに?酸(水素H+) と KH(HCO3-) の接触でのCO2の発生が無くなるので、エアレーションを行ってもpH回復が無いんですね。
この様に、KHが0付近、pHで言うと7付近よりも低くなる酸性領域では、pH/KHマイナスのpHに及ぼす効果が大きくなる事が分かります。
逆に言うと、pHが7付近よりも高くなるアルカリ領域には必ずKHが存在していて、入ってくる酸をKHが中和してpHを保護するように働いています。
これを「緩衝作用」と言うそうです。あるいは「アルカリ度」とも良います。アクアリウム界隈では「炭酸(塩)硬度」と呼んでいます。すなわちKHです。
アクアリウム界隈では正確にはKHの定義があやふやで、GHを絡めた炭酸塩硬度と言ってみたり、付随して一時硬度や永久硬度などムヅカシイ理屈もあったり、、GHを絡めずに炭酸硬度と言ってみたりしますが、水槽の水質管理に必要な知識は今回実験したKH CO2 pH の相関関係で、緩衝作用のカナメになるのがHCO3-、即ちKHという事です。水道用語では「アルカリ度」となります。
pH と KH と 水素H+(酸) の関係をイメージにするとこんな感じに成るかな?
↓↓↓
インベーダーゲームで例えると、
・敵 が「酸成分」
・敵のミサイルが「水素 (H+)」
・ブロックが「KH (HCO3-)」
・自分が「アルカリ成分」
KHと言うブロックが無くなってしまうと、アルカリが減り易いって事が分かり易いかな??
弱酸性を保ちたいということは酸とアルカリが均衡した状態にしたいと言う事でもあるので、アルカリに有利に働くKHは邪魔になる存在なのである程度は除去する必要があります。
飼育水はの「アルカリ」は常に「酸」からの攻撃を受けて pHの低下圧力を受けていますが、KHが「ブロック」となって、酸を中和。
正確に言うと、KHは
HCO3- というイオン成分なので、水素
H+ が一つクッツク事で
H2CO3 となり、ここから水
H2O と 二酸化炭素
CO2 が発生すると言う理屈に成っています。
今回の実験でのCO2の発生はこのような理屈から発生しています。
酸物質のミサイルの成分が「H+」という事です。pH/KHマイナスの成分の硫酸は H2SO4 なので、水に混ぜるとイオン化して 2H+ と SO4- となり、2H+の部分から2つの水素イオンH+が発生するので、水素の供給源に成りKHを消費つつCO2を発生させます。
因みに SO4-の硫酸イオンの部分は水中のミネラルと反応して「硫酸カルシウム(石膏)」や「硫酸マグネシウム」として沈殿するそうです。
因みにpH/KHマイナスに含まれる塩酸は、硫酸カルシウムは溶解出来ませんが、
硫酸マグネシウムを溶解する そうです。マグネシウムは光合成に必須の成分なので水草栽培にとってありがたい機能ですね。
その他濾過バクテリアがアンモニアを分解する際にも水素が発生するので、pH(KH)の低下があります。←テトラの pH/KHマイナスが なんでこんな表記になっているのか? 分かった様な気になるでしょう?笑
という事で、pHが7以上のアルカリ領域では、pHを見るよりもKHを見た方が意味がある事と分かります。pHはCO2濃度に影響されてフラフラしてしまいますからね。
KHは、0.5単位のpH/KHマイナスの投入で、約0.33(1/3)低下すると言えそうです。
10Lの飼育水に0.5ccの投入で、KHが0.33下がると覚えれば OK みたい。
↓前回の失敗してしまったと思っていた計測結果です。
こちらもですが、KHのデータを一つ修正すると、概ね今回のデータと遜色無い事がわかりました。0.5単位の投入で 1/3 KHの低下です。
2回データを取ってはぼ同一なのでOKとします。一つのデータに1時間掛けているので疲れました。。
pH 7以上の領域におけるKHとpHの関係は、今回のデータをグラフにするとこんな感じでした。
良いラインが出ましたね。
pH 7.0以下の領域は、少量でpHが大きく低下するので、小型の水槽では調整が難しくて現実的ではありません。90cm~の水量の多い水槽であれば少量ずつの投入でpHをコントロールが出来るかな?と言った感じだと思います。pHが1下がると水素イオン濃度は10倍なので、今回の条件でpH6位を狙うには最後の投入量を1/50位の量に調整しなければならないとざっくりとした計算結果となります。
今回そこまでの実験は行いません。。
pHのラインは少し曲がっていて分かり難いので、近似線を引いてザックリとしたラインを求めます。
pHは、0.5単位のpH/KHマイナスの投入で、0.1817 の低下と言えるようです。
とは言え、実際の水槽では一日でpHの変動は、↓↓↓
大分大きいですからね。CO2を添加したり、エアレーションしたり、植物が二酸化炭素を吸ったりするので当然ですね。
pHの値は参考程度に見ておくのが良さそうです。
ですが、pH と KH と 二酸化炭素濃度 の相関は計算で求められるので、理解してしまえば日常の水質管理が楽に出来るように成ります。
計算式は
こちら のサイトが参考に成ります。
実際の飼育環境ではCO2を添加するのであまりに低いKHにしてしまうとCO2添加時のpHが下がり過ぎてしまうので、CO2無添加の状態で pH=7.5くらい、KHで言うと1.0程度の飼育水を作る事を目標にするのが我が家の水換えのスタイルです。
これでやっとテトラの pH/KHマイナスの実際が数字で分かる様になりました。
一度だけ気合を入れてデータを取ってしまえば、その後の水質管理が数段やり易く成ります。
pH/KHマイナスは実際、使い難くも無く、分かり難くも無く、簡単にpHをコントロールする事が出来ます。
ですが硫酸や塩酸との成分表示から毒々しいイメージを持ってしまったり、使い方を間違ってしまい更に危ないイメージを持ったりします。実際は水道水に硫酸は元々含まれている訳ですし、正しく使えば何でもない成分です。
ただ、KH と CO2 の関係性が正しく理解されていないので、「pHがグッと下がるけれど直ぐに戻ってしまい、効果は一時的」など理解が足りないが故のレビューや、「pHが大きく下がり過ぎてしまい生体が死んだ」などの使用方法の誤りによる事故から怖いイメージを持つ事になります。
酷い場合はアクアショップの店員さんまでも不理解からその様な悪いイメージを流布していたりもします。(悪く言っておけば難しい?仕組みを理解しなくて済むので楽。)
tetra pH/KHマイナスは 正しく理解して正しく利用すれば、こんなに良いアイテムは他に無いんですけどね。
「弱酸性の軟水」を標榜するアクアリウム界隈にとって、答えへの最大の近道であるこのアイテムを悪く言うのは、アクア界隈の7不思議の一つって感じです。
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Posted at
2024/06/12 01:12:16
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