
前回は単気筒エンジンの振動からVツインエンジンのバランスを主に取り上げてエンジンの腰下の振動のメカニズムに触れましたが、その中で4気筒エンジンの振動に少し触れたのですが、分かり易くする為に不正確な内容を含んでいました。
そこで今回は一見バランスの良いエンジンに見える4気筒エンジンの不都合な振動メカニズムについて考えてみたいと思います。
(タイトル画像は適当です)
あまり良い写真が無かったのですがCBR1100XXのエンジンです。(RIDEHIさんからお借りしました。)
CBR1100XXのエンジンには2軸2次バランサーが採用されています。自動車用エンジンでも概ね1600cc(1気筒400cc)くらいの排気量から2軸2次バランサーが採用されているようです。
単気筒のバイクに乗っていると4気筒はマルチシリンダーなんて言われる位で振動が出なくて良いな。なんて思いますが、実際にはバランサーが必要になる様な振動の発生源が構造的に存在しています。
でわ早速。
この前と似た様なつたないピストンとクランク、それとコンロッドの図に成ります。前回と同じように90度毎の回転で考える事にします。
漠然な考えですが、ピストンの上下運動を作る為にクランクの円運動をコンロッドで繋げているので、概ねクランクのピンの高さに合わせてピストンも一緒に上下していると思っています。が、、
早速、核心に成りますが、ここで一つ正確に把握しなければいけないのは、クランクの回転運動によって上下するクランクピンの高さとピストンの移動量は比例関係に無いという事。
コンロッドの大端部はクランクによって左右に振られるのでコンロッドに傾きが生じます。そうすると見かけ上のコンロッドの長さが短くなってしまうと言う事に成ります。
逆に倒れているコンロッドが垂直に戻る際には見かけ上長くなる(長さが元に戻る)という事が言えます。
ピストンが下がる時のイメージです。クランク回転90度の等間隔ですが、ピストン移動量の多い少ないが発生しています。
ピストンが上がる時のイメージです。
ピストン上下動の「下半分はピストンの動きが遅い。」逆に言うと「上半分はピストンの動きが早い。」 とする事が出来ます。
なのでクランクピンが水平位置よりも上にある場合にはピストンの移動速度は速く成り、下半分の時には遅くなる。と成ります。
こんな感じです。
では4気筒エンジンにするとどうなるかを考えてみましょう。
4気筒エンジン。図はこれで勘弁してください。上記までは90度毎の時間軸を横に展開していましたが、以下は4気筒を並べています。
1回転を90度毎に見て行きます。スタート地点はココ。
ここから90度クランクを回します。
90度回転しました。クランクの回転方向は右回転です。
漠然としたイメージだと、下降するピストンと上昇するピストンとが振動を打ち消しあって無振動に成るのですが、実際にはピストンの速い遅いが有るので打ち消しあいでお釣り(振動)が発生してしまいます。
この時の振動は上方向に振動が発生します。
何と無くエンジンを上から見てピストンが急激に下がるとエンジンブロックが上に移動しようとするのが想像できるかと思います。
さらに90度回転。
今度は下向きの振動が発生する事に成ります。
さらに90度回転。
今度は上向きの振動が発生します。
さらに90度回転。
今度は下向き。
この様にクランク回転90度毎に振動の向きが入れ替わる上下動が発生する事がわかります
ね。
この振動はクランク1回転当たりに2度(サイクル)発生する振動なので「2次振動」と呼ばれています。クランクで発生する1回転当たり1度(サイクル)の振動は「1次振動」と呼ばれます。
この2次振動を打ち消す為にあるのが「2軸2次バランサーシャフト」と言う事に成ります。
「2軸2次バランサーシャフト」 出典 http://blog.livedoor.jp/ikds800/archives/81392286.html
写真はFJ1300のエンジンになります。
写真でよく見ると分かる通り、クランクシャフトの2倍の回転数とした2軸のバランサーシャフトから構成されています。
理屈は簡単です。2本のバランサーシャフトを逆回転として向かい合わせます。
バランサーシャフトを90度回転すると(クランク回転にして45度)
上向きにモーメントを発生します。
もう90度回転すると(クランク回転にして45度)
左右で打ち消しあいます。
もう90度回転すると(クランク回転にして45度)
下向きのモーメントを発生します。
この様に2軸にする事で上下方向にだけ打消しの力を発するバランサーシャフトとする事が出来て、回転数をクランクシャフトの2倍とする事でクランク回転90度毎に上下の打消し力を発生させる事が出来るように成ります。
ちょっと疲れちゃったので端折りますが、直列4気筒エンジンには構造上、ピストンの上下動に起因するクランク回転の2倍の振動数の「2次振動」が発生するメカニズムがあって、それをクランクの2倍の回転数とした「2軸2次バランサー」で打ち消すこ事が出来ると言う事。
また直列4気筒のレイアウトは2次振動の発生源となるピストンの対が2対となる、一般的なエンジンレイアウトの中で2次振動が最大となるレイアウトである。と言う事になっています。
ですがバランサーを使わずに2次振動を小さくする方法もあります。
それはコンロッドを出来るだけ長くする。です。
コンロッドが長くなればそれだけコンロッドの倒れる角度が減少してピストンの移動量の不均衡が解消されるから。
もしくは、水平対向4気筒にしてしまえばピストンの着く離れるの速度が同じになるので振動の発生が無くなります。
↑
一般に水平対向エンジンは振動が無いと言うのはこのメカニズムから言われている事ですね。
※忘れてましたが水平対抗4気筒は左右のシリンダのオフセットから、今度は偶力振動の発生がありましたね。なので完璧的なレイアウトは直列6気筒が身近な配列になりますね。
なんか今日は疲れちゃって尻窄み。。
分かりにくいかな? 分かろうと思って一生懸命に読む人には分かりやすかな??
エンジンってほんとーに楽しいですね♡
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2024/08/11 03:20:24