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バイクのチェーンの張り方の考え方が気になってしまい、書き出そうと思います。
遊びの測定はチェーンの振れ幅を測定しますが、結論から言ってそれは「やり方」であって「考え方」ではない模様。

考え方としてはチェーンの軌道に対して「何ミリ長いチェーンを巻くか？」という考え方が正解のようです。実際にはチェーンの長さの調整は細かくは出来ないので、軌道の方を調整するのですが。

ドライブスプロケットとドリブンスプロケットの軸間距離はサスペンションの位置にも影響されてしまい変化してしまいますが、基準となるのはその2点とピボットシャフトとの3点を結ぶ線が一列に並んだ状態、すなわちスプロケット間の距離が一番長くなった状態を基準と考えます。D.I.DさんのHPにも遊びの記述がありますがそれも前提が3点が一直線に並んだ状態となっています。この軌道が一番長くなる状態から何ミリチェーンに余裕を持たすかが管理すべき値になるわけです。


D.I.DのHPには20~25mmの遊びが適正となっています。これを計算してチェーンの余裕を長さとして割り出すと、軸間距離が600mmとして0.33mm~0.52mmと計算する事が出来ます。0.33mm~0.52mmチェーンを軌道より長く調整すると20~25mmの遊びになるという事です。これが基本となります。D.I.Dさんに確認したところ具体的な適正値は教えてもらえませんでしたが、この考え方であっているそうです。
計算式。
√（(600/2)^2 + (20/2)^2）*2 - 600 = 0.33
√（(600/2)^2 + (25/2)^2）*2 - 600 = 0.52
振れの高さを2で割って軌道からのずれを算出して、その値と軸間の半分の長さを使って三角関数で斜辺を求めて、その値を2で掛けて軸間距離との差で割り出しました。https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228774

計算した値を基にチェーンの振れ幅と遊びの長さの関係をグラフにしました。


こう見るとチェーンの張りの適正範囲は思った以上に狭いことが分かります。測定自体やりにくいですが、振れ幅で5ｍｍズレただけで遊び長さ的に基準幅の2倍程度まで大きくずれてしまいます。だいぶシビアな調整だという事が分かると思います。例えばチェーン長さ余裕の基準中央値の0.4mmに合わせようと思うと、振れ幅の調整はミリ単位以下の調整が必要になります。細かすぎるかとも思いますがこの数ミリがフィーリングを生み出す基準の値になっています。

それから3点が一直線の状態で適切な調整を行った後に、サスペンションを基準となる位置にもどしてその時のチェーンの遊び代を測定するのが整備マニュアルの30mm~40mmという基準になっているわけです。

ここからが重要ですが上記の理由から、サスペンションを変更してしまっていると整備マニュアルの30mm~40mmと言う基準は当てはまらなくなります。
具体的には車高を上げた（サスを伸ばした）場合は弛みを大きく、車高を下げた（サスを短縮した）場合は弛みを小さく設定しなければならないという事です。これはSRのピボットシャフトとスプロケット間のラインが一致するのがサスペンションが280mm付近の時だという事から起こります。


つづく