ドラム→ディスクブレーキの公認車検の取得。DIYで申請した際の体験記。
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
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我が家に2台ある元ドラムブレーキのSRは、2台ともディスクブレーキに換装しています。
2台共に公認車検? 改造申請をして車検を通しているので車検証の形式の欄の末尾に「改」の文字が入り、備考欄には改造内容が記載されています。
純正のブレーキパーツを使用してディスク化しているので、改造車検の取得はDIYで比較的簡単にできました。
今回は改造車検の取得を申請した際の体験記を書きたいと思います。
ドラム →ディスク への変更の申請は制動力や強度の証明を行わなければならないので、基本的には個人では難しい物です。
ですがノーマルの部品を使用した申請では書き方さえ分かれば比較的簡単に行う事が出来ます。
純正ディスク →ブレンボなど社外ブレーキへの変更では車検での確認の対象では無いので、基本的には交換を行ってもお咎めが無い運用になっていると思います。なのでドラム →社外ディスク に変更を行いたい場合は、取り敢えず純正ブレーキパーツを使用して改造車検の取得を行い、その後に社外ブレーキに換装を行えば次回からの車検に通らないという事は有りません。
又は業者さんなどに依頼して社外ブレーキの強度検討や制動能力の証明などを行って改造車検を取得する方法もあるかと思います。
ですが個人では難しいので、今回は私が経験した簡単に改造車検を取得出来る純正ブレーキパーツを使用した改造車検の方法を紹介します。
(過去に同じ記事を掲載していますが、投稿できるページの項目数が増えたので、再編集して再掲示しています)
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純正ブレーキパーツで改造申請を行う場合でも「制動能力計算書」と「強度検討書」などの難しい書類の提出が基本的に必要ですが、抜け道として? 省略する「技」が有ります。(なんてね。)
当然、省略には合理的な理由が必要になりますが、写真にある理由で「制動能力計算省略理由書」「強度検討省略理由書」を提出すれば性能の検討の省略が可能になります。
理由書と言っても簡単な一文です。写真にあるこれをプリントして「制動能力計算省略理由書」「強度検討省略理由書」として提出すれば難しい計算などは全て省略が可能です。これがDIYで改造車検を取得する際の「コツ」に成ります。
魔法の一文ですね。
社外のブレーキで申請する場合はこの省略が行えないので、個人では難しいのかな? と思います。
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改造申請で提出が必要な書類は下記の9項目に成ります。
1,改造自動車届出書
2,改造概要等説明書
3,自動車を特定する資料
4,技術基準等への適合性を証する書面
5,保安基準適合検討書
6,外観図
7,改造部分詳細図
8,制動能力計算書
9,強度検討書
4,5,8,9 辺りが難しいのですが?、 8,9は前述の通り省略理由書でOK。
4,は2000年以降の車両に適用されるレギュレーションなので、1999年以前の車両は不要。
残るのは 5,保安基準適合検討書 だけですが、これの書き方も紹介いたします。
用紙のダウンロードは
↓
https://www.naltec.go.jp/fkoifn00000011hj.html
こちらのページから行えます。
ページを下にスクロールして一番下、改造自動車関係 の 1,2,3号様式を使用します。
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1枚ずつ申請用紙の記入をして行きます。
1,改造自動車届出書
これは特に難しい所は有りません。
・日付
・申請先(これは後述しますので取り敢えず空白で。)
・名前 住所 電話番号
制動装置の申請なので(6)に〇。審査終了後の連絡は(要)に〇をしておきます。
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2,改造概要等説明書
ここでの「標準車」とは当該の車両の改造前車両に成ります。
「改造車」とは改造後の車両です。
車検証から各項目の数値を転記します。改造後の欄は変更になる項目は無いと思います。左矢印を書き入れます。
下部の欄は対象外の欄に斜線を引き、「制動能力」と「制動装置強度」の欄には省略を意味する ”✕” を書き入れます。
記入があるセルは緑で記しました。写真の通りで大丈夫です。
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2,改造概要等説明書ー2
改造概要等説明書は2枚つづりでした。
同じく写真の通りに書き入れます。
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3,自動車を特定する資料
分かり易い言葉で、ベース車両の資料
です。
3ー1,車検証のコピー
3ー2,サービスマニュアルから諸元表のコピー。写真は2型の諸元表になります。
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3ー3,ドラムブレーキの装着が分かる外観図。
基本は実際の車両の写真ですが、サービスマニュアルの写真で代用。
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4,技術基準等への適合性を証する書面
実際に書くとしたらとても難しい書類に成りますが、1999年7月以降の車両を改造する時に必要になります。
1999年以前の車両では不要になりますすので、SRのディスク化では年式的に不要です。
これはラッキーです。
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5,保安基準適合検討書
ここは小難しいですが、写真の通り書いておけばOKでした。
今回この文は適当に描いた文なのでこれで理屈が完ぺきといよりも、申請した一例って感じで見て下さい。
他の書類もそうなのですが基本的なコンセプトが、ベース車両よりも重たい車両のブレーキをそれよりも軽いベース車両に付けるので制動力は十分。となっているので 車両の重量がポイントになっています。
3型RH01J(168kg)や1型2h6・2J2(169kg)などの 1JR(170kg)より軽い車両のブレーキを流用する際は、ベース車両のマフラーやシートを軽いものと交換したり不要な部品を外したりして軽量化して、ベース車の実際の車両重量がRH01Jなどよりも軽い状態になる事によりこの一文が使えるようになります。
4型RH03Jは174kg、5型RH16Jは175kgで1JRより重くて書類が作り易いです。
少し込み入った事を書いてしまいましたが、4型又は5型のブレーキを使用したとして書類を作るのが簡単で良いと思います。
実際のところは、ディスク化を終えた1JNは燃料満タンでディスク化以外は殆どノーマル状態で車検場の重量計で車検証と同じ170kgピッタリでした。ガソリンを少し抜くとか工具を下ろすとかすれば直ぐ2kg位はダイエット出来そうです。
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6,外観図
改造後の実車の写真。基本は実際の車両の写真ですが、サービスマニュアルの写真で代用可です。
改造後の長さ、幅、高さを書き入れます。
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7,改造部分詳細図(改造前)
パーツリストよりベース車両のパーツ構成の書き出し。
PCでパーツリストを見ながら、プリントスクリーンとコピペを駆使してEXCELで作りました。
ー1、フロントブレーキ&ホイール
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7,改造部分詳細図(改造前)
ー2、フロントフォーク
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7,改造部分詳細図(改造前)
ー3、ブレーキホルダー
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7,改造部分詳細図(改造後)
パーツリストより流用元となるパーツの書き出しと、パーツ流用の説明の一文。
アクスルの変更はまた違う話になるので、絵を消したりリストから抜いたりして対象外になるように資料を作成します。
ブレーキホースも本当の本当は純正を使う所ですが、ハンドルをノーマルに戻すのも大変ですので、しれっと部品リストから外しました。(指定部品なのでとがめられません)
純正部品一切を流用する前提なのでパッドもノーマルで申請する必要があるそうです。
(申請する必要があるそうです。ですw)
あくまでもノーマル部品の使用は構造変更の審査を簡単に通過する為の文言に合わせた部品チョイスです。改造審査は理屈で性能を証明しなければ通りませんが、改造車検後にはキャリパーを変えようがディスクを変えようがホイール変えようが自由です。次の車検も大丈夫です。
ー4、フロントフォーク
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7,改造部分詳細図(改造後)
ー5、フロントホイール
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7,改造部分詳細図(改造後)
ー6、マスターシリンダー
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7,改造部分詳細図(改造後)
ー7、フロントブレーキキャリパー
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7,改造部分詳細図(改造後)
ー8、ディスクブレーキ部分の写真にディスクローターの外径と厚みを書き入れたもの。私は写真がなかったので外観図と同じサービスマニュアルの写真で代用しました。
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7,改造部分詳細図(改造後)
−9、流用元車両の諸元表(今回はRH16J)をコピーした物に「改造後ブレーキ」と書き入れたものを添付します。
諸元表はサービスマニュアルからコピーするのが良いですが、HP上の諸元表らしい一覧でも申請が可能でした。
多分ですがYAMAHAの相談室にTELすればFAX 又はメールしてくれると思います。
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8,制動能力計算書
計算を省略する理由を書けば省略可能ですので、「制動能力計算省略理由書」を書きます。
住所と氏名を書き入れます。
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9,強度検討書
これも「強度検討省略理由書」を書き、強度検討を省略します。
こちらも住所氏名を書き入れます。
以上で書類の準備は完了です。
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こんなインチキ臭い書き方で改造車検が通るわけないだろ! と思うかたも居ると思いますが、ここまでの書類の制作は「独立行政法人自動車技術総合機構」の窓口で頂いたぺーパー
「制動装置の改造(ドラム↔ディスク)R0208」
に沿って作成しています。要するにお役所が改造申請のレクチャーをしてくれているんです。なのでその通りに申請を行えばDIYで簡単に改造車検を取得する事が可能となっています。
自動車技術総合機構の窓口では、「改造申請でお待ちのお客様〜」って優しく呼ばれます。昔の偉そうな御役人とは違いましたし、改造申請の質問にも優しく答えてくれたり書類の修正を指南してくれたりと相談にものって貰いました。
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ペーパーの裏面。関東ですが電話番号も載っていますのでご参照下さい。
AE86のリアブレーキのドラム→ディスクとか、シルビア関係のサイドブレーキのディスク→ドラムの申請が多いみたいですね。
それとSR。
大事なのは一番下の返送用封筒のくだりです。忘れずに持参しましょう。
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申請の手順としては、
1、独立行政法人自動車技術総合機構に電話で問い合わせ。→電子メールで「制動装置の改造(ドラム↔ディスク)」R0208 を送って頂いた。
2、1で送って頂いたペーパーに沿って資料を作成。
3、再度、独立行政法人自動車技術総合機構に電話をして、資料提出窓口への書類提出のアポイント(約束)を取る。
窓口は少人数で出張等で席を外している場合もあるので、無駄足にならない様にアポをとってから来て下さい。とのことでした。
4、作成した資料と返送用レターパックを持って窓口に出向きます。資料の確認を窓口でして頂き、少しの修正と書き入れをしたのちに申請が受理されました。
(郵送でも提出出来るそうです。)
5、2週間ほどで申請通過の連絡がありました。その後にレターパックで「改造自動車審査結果通知書」が届きます。写真の書類です。
6、今度はナンバープレート発元の地元の車検場に出向き「改造自動車審査結果通知書」を提出して「車検」を受けます。その際に改造個所の確認と現状の写真撮影と重量計測が行われます。
私の場合ハンドル幅の変更があったのですが、検査官さんはどうしようか?と頭を悩ませていましたが、私は理解出来ませんでしたが良しなに?手続きを順序だてて行ってくれました。
私の苦労は継続車検とほとんど変わりませんでした。
今回は車幅の変更があったので2年の車検を新ためて取る形になりましたが、ブレーキの改造車検みのであれば車検期間に変更なしの記載事項の変更だけで行けます。
7、改造車検完了。新しい車検証発行。
こんな感じでした。
思った以上に簡単で、ユーザー車検が出来る人であれば誰にでも可能と思います。
書類の作成方法は各地によって多少ルールの違いがあるかも知れません。今回は関東検査部で改造申請が受理された一例の紹介までとなります。
実際の書類の作成と申請はお住まいの地域を管轄する窓口に相談してみるのがDIYでの公認車検取得への近道になると思います。
各地域の事業所は下記のリンクから調べられますが、各地の主幹事務所?でなければ制動装置の改造申請が受け付けられないそうです。関東で言うと品川?鮫洲?車検場にある「関東検査部」が申請窓口に成ります。なので提出書類1枚目の申請先の項は関東検査部”長” に成ります。
↓
https://www.naltec.go.jp/offices/index.html
ここまでやって「Y'sGearのキットを使用しました!」と言い張り、Y'sGearのあの書類で公認を通してしまうと言うのと等価ですが、こういう遊びもまたSRの楽しい所だと思います。
Enjoy! SR
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