
■ プロローグ
土曜日の昼過ぎまでぐっすりと寝溜め。
翌日までもう眠れない。はず。
翌日曜日の午前2時、一路群馬を目指す。
深夜は車が少なく快適。
■ 群馬サイクルセンター
午前4時過ぎ、赤城高原SA、気温10度、さすがに寒い。
朝っぱらからラーメンを食らう。味は・・・Just so so.
ここで
友人夫妻と落ち合い、束の間の仮眠後に出発。
向かうは群馬サイクルセンター、
峠アタック最終戦の観戦である。
この
ブログを読んで以来ずっと自分の中にモヤモヤがあった。
競技に出たのはもう30年近くも前の話。すっかり忘れてしまっている。
今回は友人の応援を兼ね、来年を考えての様子見が目的である。
6時過ぎ、エントリー受付の駐車場で
群馬の友人と再会。
この御仁も今回の最終戦で初参戦となる。
「オレ、へたくそで遅いから」などと言っていたが、後でそれが冗談だと分かった。
■ 峠アタックフリー走行
参戦する友人たちがパドックに移動した後、私は観戦ポイントを探った。
このコースには観客席がない。
見所の場所には深い森に入りこみ、生い茂る雑草を掻き分け、落ち葉に足をとられながら歩き回る。
走行の1時間半前、面倒くさいので柵を乗り越え堂々とコースを歩いた。
見事に晴れ渡り紅葉と青空のコントラスが見事。
コースを歩いて分かったのは路面のミューが高いこと。サーキット路面である。
だが、落ち葉はそのままの状態でその数がおびただしい。
各コーナーにはラン・オフ・エリアが一切ない。まさに峠。
結局第1コーナー手前にある小さな小屋に陣取った。
ここは下り右回りの第1コーナーから旋回Gが残ったまま飛び込む中速の難しい右第2コーナーの出口まで見通せ、ドライバーのテクや車の仕上がりが分かる絶好の観戦ポイント。
誰も来ない。静寂。しばしここで仮眠を取る。
7時40分、轟音とともにフリー走行が始まった。
飛び起きてカメラを構える。
うまく流し撮りができない。ピンが合わない。みんなかっ飛びでバカッ速。
友人たち2人は2コーナー中盤から猛然とドリフト。
同じ速度。タイヤが逃げるけどそのままアクセルを開けかまわずに抜けていく。
群馬の山に激しいスキール音とエンジンの咆哮がこだまする。
何だよあいつら、思わず鳥肌が立つ。
すげぇよ、すげぇよ!
2人の只ならぬ気合がビンビンと伝わる。
これ、見てるだけじゃダメ。ムズムズしてくる。
くそぉ、走りてぇ!!
最後のフリーランはパドック前の最後のパイロン・スラロームセクションで観戦。
いやらしい位置にパイロンを置く。タッチすると60秒も加算される。
3分少々のタイムトライアルで60秒は絶望的なペナルティだ。
豪快にドリフト決めてまわる車もあり見ていて楽しめるセクションだ。
友人たち2台はゴール直前のサイドターン・セクションで失敗。ご愛嬌か。
■ パドックにて
友人たちの出場するクラスのフリー走行が終わってパドックに行った。
パドックはクラスごとに区切られ、ほとんど全員がトランクから荷物を降ろしたりしている。
パドックは一時誰も居なくなってしまうが、何か盗まれたとかいう話は一切なかった。
参加者全員がスポーツマンシップに則っている証拠。
このクラスではほとんどが何らかの改造を施しているクルマばかり。
まったくのノーマルは友人たちだけ。何となく気分いいじゃないか。
ここでお互いの走行ラインの確認や走り方などの情報を交換している。
すごくアットホームでとげとげしい空気がない。
競技というのにみんな友達然としている。いい雰囲気だ。
東京からの友人は寝不足のためか夫婦揃って車内で爆睡。
群馬の友人と2人で早めのランチを取る。
入院中の奥様、月曜日 (今日) に退院とのこと。ホッと安堵。
まだ完全ではないだろう。でも家族が見渡せる場所に居ることは一番の療養。
パドック周辺にはパーツメーカーが出展。
来年のためにとカタログをいくつかいただいた。
■ 峠アタック最終戦本戦
タイムアタックは30秒間隔で1台ずつ走行。2本走った合計タイムで競う。
クラスはFF、FR/MR、K、4WD、レディス、インポート、AT、エキスパートなど非常に細かく区分されている。誰にでも気軽に参加できる主催者の配慮か。
友人たちの4WDクラスが最も多くエントリーし約40台。インプレッサとランサーで占められ、唯一1台だけファミリアが出走していた。GT-Rがいないのはちょっと寂しい。
エキスパートクラスを除いてタイヤはすべてラジアルのみ。Sタイヤは禁止されている。それ以外の改造に制限はないがマフラーの音量が103dB以下、車検を有する車両と規定されている。
中には相当馬力を上げ、足をがっちり固めたクルマもおり激戦が予想された。
午後1時、1本目が始まる。
東京の友人はクラス2位のタイム、群馬の友人は初出場で9位。
やっぱり2人は速かった。どノーマルでの成績。もう立派というかない。
両者ともパイロンに突っ込むときの鋭さが際立っていた。しっかりビデオに収める。
2本目、両者ともに気合が入っていたのは走る姿で伝わってきた。
タイム差がないのでそれは当然のこと。
だが・・・
■ 痛ぇ!
パドックに戻ってみると黒204の右フロントにダメージを負っていた。
バンパーが凹みまでフェンダーまで無数の傷、ドライカーボン・スポイラーは途中から折れて無い。ゴムリップ、ぶら下げたまま。フォグランプ・カバーが取れていた。
例の2コーナーでオーバーステア、そのままスピン。
あのコーナーはGが残っている中で突っ込むので相当難しいところ。
多くのクルマがブレーキングして突っ込むけど、友人たちはハーフアクセル。
途中でアクセルの入れ出しをしてコントロールするところ。
タイムが欲しい東京の友人は踏みっぱなしで突っ込んだわけ。
結果的にはここで無理をしなければ表彰台だったろうに。
でもレースに「たられば」はなし。結果のみだ。
そして直後、白202を駆る群馬の友人も戦い終わって戻ってきた。
な、何と彼までが左フロントを大破していた。
バンパー、ヘッドライト、フェンダーが破損、ホイールに深い傷が。
彼にしては珍しく奥にクリップを狙った激しい突っ込み。いつもと全然違う。
そして直後のアンダー。
無事に家に帰るまでが遠足。
とにかく自走できるように必死に修復作業。
周りのエントラントたちが応援、工具やテープを持ってくる。
愛車が傷つくことは本当に切なく心が痛い。
どちらも気合の入った2本目。
タイムを縮めるべく果敢にアタック。猛然と攻めた。
そして傷ついても最後まで懸命に走り切ってリザルトを残した。
男気を感じる。競技においてリザルトを残すことがどれだけ意味のあることか。
壊れた2台を並べ2人でガックリしたポーズをとってカメラに収める。
泣きたいくらい切ないのにブログ用の写真撮らせた2人に拍手。
競技は途中でさまざまなトラブルがありスケジュールを大幅に遅らせた。
最後のクラスは暗闇の中での走行を強いられた。
全競技が終わったのは5時過ぎ、6時から表彰式ということだったが我々は帰ることにした。
パドックで知り合った黒GDAに乗る
monophonic皇帝さんと話し込み、いろいろと教えてもらった。すごく気持ちのいい奴。インプに乗る奴はみんないい人間ばっかり。
そーいえば、何故かSWRTの新井選手がいたような。何故群サイに?
■ 猿ヶ京にて
2人の友人と奥さん4人で猿ヶ京の温泉宿で夕食を共にした。
本当はすごく辛い気持ちになるところだが、当のお2人は奇妙なくらい明るく前向き。
何だかこっちのほうが複雑な気持ちでメシがのどを通らない。
また年内、一緒に走れればいいねと笑顔を交わし固く握手して別れた。
こうして朝早くから1日を同じ目的で過ごすと、何とも言えない絆が生まれる。
■ エピローグ
帰りの高速は渋滞にはまりトロトロと帰路につく。
今日はいっぱい歩いてすごく疲れたけど足が攣る気配がない。
参戦したわけでもないのに充実感でいっぱい。
彼らの走りを見て「よ~し、オレも」という気持ちになった。ならなきゃおかしい。
ひたすら集中しバカになれるのはそんなにたくさんあるわけじゃない。
峠アタックは年取っても勝敗を気にしなければ楽しめる競技会。
自分のタイムを縮められればそれも勲章。
年が明ければ準備に取りかかるか。
仲間の何人か同じ思いの人はいるはずだ。
どうだい、峠アタック。出てみないかい?
自然と来年は峠アタック・オフしようぜということになった。
パドックでテーブルを囲みお茶飲んでうまいもん食いながら家族で楽しめる。
多少ぶつかっても大人のシャレとして笑い飛ばせる。かも。
上位陣がつぶれれば表彰台だって大いにありうる。いやホント。
帰宅後もナチュラル・ハイの状態。
ろくに寝ていないのに目が冴えていた。
群馬の、そして東京の友人たち、ありがとう。
最高の、素晴らしい1日をいただきました。
【追伸】
くぼっすさん、ががんぼさん、彼らに愛の手を!