2014年09月21日
ペダルの踏み間違いを考える その2
ペダル踏み間違い事故の原因のひとつは、どうやらパニック? そこから、パニックにならないように、それなりの対策をしてみる。そんな中身だった前回につづいて、この種の事故を起こさないため、ともかく「入力」をジワッと行なうようにしたらどうかと提案するのが今回です。
この「入力」には、ちょっと説明が要るかもしれません。えーっと、クルマを「動かす」ためにドライバーができることは、実は三つだけ。ステアリング(ハンドル)を操作する、アクセルペダルをオンに、そして、ブレーキペダルを踏む。運転とは、いろいろ面倒なことをいっぱいすることと感じておられるかもしれませんが、まとめてみれば、この三つです。ここではそれらを、クルマへの「入力」と呼ぶことにします。
コンピュータ系の場合は、キーボードとマウスが「入力」のためのギアですよね。……あ、最近は“タッチパネル”という「入力」もあるか。ともかくコンピュータ関連では、「入力」という言い方はお馴染みかと思います。クルマの運転も、この「入力」というキーワードから見ていくと、案外わかりやすくなるかもしれません。
ただクルマの運転には、全方向から入ってくる情報を認知したり判断したり……という“ジョブ”が加わります。それはたしかに厄介ですが、でも情報を得て判断した後に、ドライバーができることは上記の三つだけなのです。
ここから、この三つの「入力」のすべてを「ジワッと行なう」ようにする。どういう運転をするべきかとか考え始めると“ぼやける”ので、この一点のみ。また、こうすることによる不都合やデメリットは、何もありません。こうすると、何よりクルマの動きの全体が滑らかになり、同乗者にも喜ばれる。アクセルペダルをジワッと操作すれば、燃費の向上も期待できます。
……あ、付け加えますが、この「ジワッと」とは、操作をエンエンとゆっくりやれ、ということではありません。要するに、いきなり大きな「入力」はしない。ステアリングにしてもアクセルにしても、ジワッと動かし始めますが、その時に必要な分は確実かつ十分に操作します。
こうしてジワッと操作すると、できることも見えて来ます。こういう「入力」の仕方であれば、場合によってはキャンセルできる。何かの「入力」をした → あれ、これは何かヤバいか? 一瞬でもこう感じたら、すぐに「入力」を止めます。キャンセルや緊急避難を前提としつつ、クルマには「入力」したい。この「ジワッと主義」なら、それが可能になります。
そして、もうひと気づいたこと。それは、ペダル踏み間違え事故の多くは、コンビニ前とか駐車場とか、そうした低速走行時に起きている。その場合、事故が起きる直前、そのクルマはどうやって動いていたのか? これはおそらく「クリープ現象」によってです。
そこから、クルマを動かす際の「右足」に注目します。たとえば右足でアクセルペダルを踏んでいて、そこからブレーキペダルに踏み換えた。こういう場合は、たぶん確実にブレーキを踏めます。一般路や高速道路では、アクセルを踏んでいないとクルマは進みません。そうやって進んでいて、必要があってブレーキングしたという「踏み替え」操作なら、おそらくトラブルは生じてない。
問題は、右足がどっちのペダルも踏んでいないという状態から、「さあ!」という感じで、右足を振り下ろした時ではないでしょうか。そのケースで、たまたま右足の下にあったのが、その時には踏んではいけないはずのアクセルだった! そこで「えっ!?」とパニック状態になり、「何で止まらないの?」と、さらに強く踏み込んで……。
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さて、以上を踏まえて、ひとつ提案です。それは「右足」に、いつも何かしらの動作をさせておくこと。操作として“空白”の状態からペダルを踏みにいくから、(あれ、どっちだったかな?)ということになる。そうならないように、右足の操作をあらかじめ確立してしまうのです。
具体的には、右足の置き場所、つまりカカトとフロアが触れる位置を決めます。右足はいつもここに置くのだという決定ですね。それは、そのまままっすぐにペダルを踏めばブレーキングになる位置がいいと思います。そして、カカトの位置はそのままに、右足つまさきだけを「12時」から「14時」くらいの方向に動かすと、アクセルペダルを踏む態勢になります。
こうして右足の場所を固定すると、右足にとっての“空白”状態が基本的になくなりますよね。固定された右足は、もう、どっちかしかできません。「12時」か「14時」か、ブレーキングかアクセル・オンか。
「右足カカト」の位置が決まったら、ついでに、マッスル(筋肉)にもこれを記憶させます。右足の筋肉やら神経やら、それらをまとめて「感覚」ということですが、その感覚に、ブレーキングするためにペダルを踏む場合は右足はこんな感じだ……と記憶させる。そこから、「14時」のポジションに右足つまさきを持っていったらアクセル・オンである。この感覚も一緒に憶えさせます。
そしてクルマで(さあ、走るぞ!)という時には、この「14時の記憶」をよみがえらせます。クルマを(止めるよ)という際も同様で、右足のマッスルが「12時」で憶えたのと同じように動くなら、作動は正しいわけです。そうなれば、安心してブレーキングができますね。ATの「クリープ」でクルマを動かそうという場合は、右足は「12時」のかたちでペダルは踏み込まない“入力なし”状態。これで静々とクルマを動かせばいいと思います。
こうしてクルマが動いている時に、右足の感覚だけでなく、クルマ全体の動きが想定(イメージ)通りであるかどうかを観察すれば、さらにベターです。また、この段階でもう一度、すべての「入力」は「ジワッと」であることも思い出します。
たとえて言うと、ドアはノックしてから開ける。いきなり全開にはしない。このノックにあたるのが「ジワッと」で、ノックして何か反応がおかしかったら、ドアは開けずに、その「入力」はいったんキャンセルします。
……とまあ、こんなことを思いながら運転すれば、ペダルの踏み間違いによる事故やパニックからは何とか逃れられるのではないか。ひとりのドライバーという立場から、現時点ではこんな風に考えています。
(了)
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茶房SD談話室 | 日記
Posted at
2014/09/21 18:16:11
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