
いまでも元気に街を走っているのを見かける、初代のフェスティバ。サンルーフ(キャンバストップ)を廉価なクルマながら装備し、オープンエア・ドライビングの魅力を多くの人に手軽に味あわせてくれたモデルとしても記憶に残る。
また、スタイリングにせよ、足のセットアップにせよ、よくも悪くもヨーロッパ(もっといえばドイツ)の小型車的で、“開くルーフ”もそのひとつ。そんな“日本車離れ”したファンクショナルな雰囲気は、それに気がついた人にとっては格好の選択理由になっていたようだ。
「プアマンズ」というのは、むしろ当人が言うことが多いので、おそらく差別語にはならないと思われるが、このクルマは“ふたまわり”ほど小さいVWゴルフであり、「プアマンズVW」ということでも、好んで買われていたのではないか。
そして、1.3リッターエンジン搭載GT仕様の「走り」の実力は侮りがたく、高剛性のボディと活発なエンジンの組み合わせで、シャープな挙動のスポーツ・ハッチとして魅力があった。
90年代、欧州車が急速に“丸み”志向になり、2代目フェスティバもその方向に大きく変身した。その意味では、この初代は80年代欧州車の典型的なスタイリングともいえる。また、ハイルーフ形状にすることでの広い居住空間の獲得という初代が採ったパッケージングの方法は、当時の欧州車を超えるものだった。
(「カーセンサー」誌、1995年。「昭和名車伝」より一部加筆)
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クルマ史探索file | 日記
Posted at
2015/05/06 10:01:45