
◆軽自動車の飛翔 ~世界基準への旅
軽自動車の税制その他での「恩典」は、少しずつ剥奪されつつも、まだ残っている。一方で軽自動車は、1998年に「恩典」はほとんどそのままで、安全性を理由に、新規格の全長と全幅を手に入れた。また2000年には高速道路での最高速度が普通車並みに引き上げられた。
そして近年、あのメルセデスによる『スマート』には、日本の軽自動車関係者は秘かに快哉を叫んだのではないか。「軽規格」など知らない、それに囚われる必要はないはずの欧州メーカーが新時代のスモールカーを作ったら、それは日本の「軽規格」とほとんど同じだったのだ。軽自動車としても登録できますよ……という『スマート』が示していたのは、そういう事実である。
さまざまな紆余曲折がありながら、日本の軽自動車は「トール型」というジャンルを自ら切り開き、その新しいパッケージングで、いまや世界を納得させた。
そして、いまに残る恩典(税制)についても、実用品として使っているもの(クルマ)に対して普通車のような高額の税率が必要なのかという視点が、そろそろ導入されるべきと考える。だいたい、クルマをネタにしての税金は多すぎるのだ。「クルマは軽自動車で十分だ!」……とは、そんなニッポン庶民のささやかな抵抗と心意気なのではないか。
(「カーセンサー」誌、2001年10月。軽自動車特集より)
(了)
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クルマ史探索file | 日記
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2015/06/29 06:42:44