
このクルマの後にあの「R32」が出ることを知っている現在、その目でこの「R31」を見ると、なかなか興味深いものがあるのではないか。つまり、なぜ「32」はあれほどまでに《走り》に“突っ込んだ”か。そして、なぜ「32」はあんなに“小さかった”のか。そのあたりのヒミツが見えてくるような気がする。
この「31」は、たしかに大きくて長く、そしてリッパに見えて、その佇まいにはエレガンスすら湛えていた。その結果、ひょっとしたら、マークⅡの一部の客も取れた? これはそんなクルマであったかもしれない。
しかし、この妙に“長い”印象のスカイラインは、たとえばターボ・バージョンにしても、まっすぐは速かったが、決して曲がって楽しいというようなクルマではなかった。ただ、歴代の中では、最もラグジュアリー&エレガンスに振られたスカイラインのひとつであり、その意味ではレアもので、そして記憶するに足るモデルだった。
この「31スカイライン」の、グループAレース(当時)でのライバルがフォードのシエラ。レーシング・シエラの400馬力に対して、スカイラインは600馬力のエンジンを積むことで勝とうとした。さらには、そのパワーを四輪で受け止めようという企図から、あのスカイライン特有の四輪駆動(R32GT-Rの駆動メカ)も生まれる。1980年代、スカイラインと「レース」は不可分の関係にあり、この「31」もまた、その例外ではなかった。
(ホリデーオートBG誌「80's 絶版車アルバム」2000年4月より 加筆修整)
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00年代こんなコラムを | 日記
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2016/05/16 22:20:43