
フロンテ・クーペ LC10W (1971)
当時はまだ「FF」がメジャーになる前で、スバルとスズキは軽自動車には「RR」を採用していた。つまり、リヤエンジン/リヤドライブ。この方式はVWビートルやルノー4CV(日野ルノー)、フィアット500など、欧州の小型車で一般的に採用されていて、リヤにエンジンを積み、そのまま後輪を駆動するというコンセプトだ。
スバル360やスズキ・フロンテのセダンは「RR」によってスペース・ユーティリティを確保していたが、そのメカを実用性のためでなく「スポーツ的」に用いようとしたモデルとして、このフロンテ・クーペは日本車の歴史に残る。流麗なデザインの「RRスポーツ車」、そのクーペ・ボディの全高は1200ミリしかなく、デビュー時には2シーター(二人乗り)仕様のみが設定されるという徹底ぶりだった。
きわめて低い位置にあるシートに収まると、丸形メーターが目の前に6個も並ぶインテリアがドライバーを包んで、スポーツの主張は強烈そのもの。搭載されていた2ストローク3気筒エンジンはパワフルで、かつ低速域でのトルクも太く、市街地を流すような走行でも何ら支障はなかった。この360ccのエンジンはフォーミュラ・カーにも積まれ、サーキットでも大活躍した。
(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
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00年代こんなコラムを | 日記
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2016/07/06 11:01:03