
セドリック5代目 430(1979)
この「430セドリック」は、「4ドア・ピラーレス・ハードトップ」というボディ形状を拡販に結びつけた高級車として、日本クルマ史に記憶されている。また5代目として、セドリックの歴史で中興のスマッシュヒット作でもある。
セドリックの場合、おもしろいことだが、基本的には“VIP向けの高級車”でありながら、ヒット作になるかどうかは、その「VIP色」の濃淡とサジ加減がけっこう微妙である様子。……というのは、セドリックらしく(?)豪華絢爛にVIP向けとして、また金ぴか&オヤジ風を強調すると、どうもマーケット的にはハズシがち。一方で、かなりヤング・アット・ハートに、もっといえば、ガキっぽさ寸前といった感じにデザインやイメージをまとめると、これが意外に好評を博す。こうしたことの繰り返しなのだ。
下世話には、セドリックを買った年配のカスタマーが周囲から「お若いですねえ!」といわれそうなモデルの場合はヒットし、そうでない“ダンナ仕様”では販売が伸び悩む。このようにまとめることができるのかもしれない。つまり、ことほどさように、オカネモチの中年男は「若い!」という言葉に敏感らしいのである。
そのあたりの“機微”を知ってか知らずか、ニッサンはこの「430」には、「速さ」がウリのスカイラインよりも先に、日本の市販乗用車として初めてターボチャージャーを装着したモデルがラインナップに加えられた。「4ドア・ピラーレス・ハードトップ」の提案だけでなく、「ターボ」もまた、この「430」の新しさだったのだ。
そして後年、セドリックの“ヤング・アット・ハート路線”は、1980年代末から1990年代に「Y31セドリック+グランツーリスモ」~「初代シーマ」という二つのモデルで、もう一度、豪快にサクセスすることになる。
(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
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00年代こんなコラムを | 日記
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2016/10/14 11:49:27