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家村浩明のブログ一覧

2015年12月22日 イイね!

【90's コラム】「高さ」による“安寧” ~ ビスタの場合

【90's コラム】「高さ」による“安寧”  ~ ビスタの場合クルマのカテゴリー分け、またその車型の分類が「RV」のヒット以後、いわばバリアフリーな状態になっている。人々がいろいろなタイプのクルマに乗り始めた。こうして、クルマに対してのアプローチが自由になっている昨今、既存のジャンルというべきセダンやステーションワゴンは、どうしたらこんな時代にミートできるか。

こういう見方を設定すると、新型の「ビスタ」とそのワゴン仕様「アルデオ」というのは、むしろ、わかりやすいモデルであるかもしれない。まあ、セダン系が「RV」に学んだのだと言ってしまえばそれまでなのだが、新ビスタの新しさはズバリ「高さ」である。このクルマ、ハイブリッド車プリウスと同じセンターメーターの採用など、インテリアの新提案もあるが、それ以上に重要なのは「1500ミリ+」という全高とシート座面の位置だ。

数値を明らかにすると、ビスタ/アルデオは、地上から約60センチ(600ミリ)のところにシート(前席)座面が設定されている。一方、これまでのいわゆるセダンは、それがだいたい地上から40~45センチだった。たかだか15~20センチ差だが、この違いがもたらすものは、実はなかなか侮れない。

その設定を「60センチ」にすると、まずはクルマに乗り込みやすくなる。背筋に余計な負担がかからず、身体が平行移動するような感じで、車室内のシートに収まることができる。腰痛の気配がある人には、これは恩恵であろうと思う。

そして、走り出してもいくつかの事実を発見する。アイポイントがこれまでよりも高くなった分、何となく運転が穏やかになるのだ。たとえば高速道路では、追い越し車線に出なくてもいいという気分になる。高速道路の左車線を、自分のペースで走れれば、それでいいじゃないか、と。

なぜ、そうなるかというのを突き詰めていくと、高いところに位置して移動することでの一種の不安感からだという説はあるかもしれない。そういう側面をあえて否定はしないが、ただ、そんな“防衛本能”以上に、クルマに乗っている時間を、もっと安寧に過ごしたいという無意識の願いがかなうということの方が重要ではないか。

スポーツカーが典型だが、低姿勢のクルマのコクピットに収まって、道やコーナー、さらには他車や誰かと闘うためにクルマを操る……のではなく、ちょっと高いところからの眺望も愉しみながら、解放感とともにのんびりと走る。地上から「60センチ」のシートに収まると、気づかぬままにこういうことができてしまう。

ただし、この「高さ」ということでは、いくつかのRVがそうであるように、運転席に収まることが“よじ登る”ような所作になってしまうと、それもまたストレスになる。また、その全高が災いして鳥籠タイプの駐車場に収まらないボディ形状だと、市街地でクルマを使う場合はしばしば不便だ。高すぎず低すぎず、運動性と快適性・実用性のちょうどいい接点としてのクルマの「高さ」――それが「シート高は60センチ」と「全高は1510ミリ程度」である。

最近の注目コンパクト2ボックス車ラウムも、このレイアウトでまとめているが、3ボックスのセダン型であっても、敢然とこの「シート高」でクルマを作ってきた。それがビスタであり、それをそのままステーション・ワゴンのカタチにしたのがアルデオである。

クルマはいまや生活の一部であり、クルマに乗ること、使うことは何ら特別なことではない。だからこそ、クルマに乗っている時間を“闘いの時”にはしない。このようにしてクルマを日常的に使っているユーザーは多いはずだが、そうした人々にとって、今回のビスタ/アルデオのような“安寧なクルマ”は大いに歓迎なのではないか。

(「ダイヤモンドEX」誌 1998年)
Posted at 2015/12/22 10:00:09 | コメント(0) | トラックバック(0) | 90年代こんなコラムを | 日記
2015年12月10日 イイね!

【90's コラム】VWパサート教習車とウインカーの位置

がっしりとしたボディのデキの良さで、アッパーミドルクラスに新風を巻き起こしている新生VWパサートに「教習車」が出現した。ベース車両となったのはノンターボのパサート1.8で、その性格上、教官用の補助ミラーと補助ブレーキが付いている。このブレーキは、当然ながらABS対応という。

そして、注目なのがワイパーとウィンカーレバーの位置である。この教習車パサートは、「ワイパーもウィンカーレバーの位置も国産車と同じに変更して」あり、「他の教習車から乗り換えても違和感のない操作ができる」(リリースより)ようになっているのだ。

この二つのレバーの位置というのは、ベテランのドライバーであっても、日本車と輸入車を乗り換えると、しばしば最初のカドや交差点でワイパーが動いてしまうことがある。ハンドルが「右」に付いていると、どうしても日本車と同じようにカラダが反応してしまうようだ。

さて、教習車なのだから他のクルマと同じに……というVWのスタンスはわかるとして、でも、ここでソボクな疑問が生じる。教習車でそれができるのなら、どうして一般の市販VW車は「右ウインカー」方式になっていないのか。さらには、この“間違いようのない”パサートというのは、いったいドコで作っているのか。どこかの工場製であるのなら、わが国にはそれを輸入すればいいではないか。こういう疑問である。

だが、聞いてみると、この教習用パサートというのは、日本国内の特殊架装メーカーによって、まったくの手作り状態で制作された超スペシャルだった。とてもじゃないが、一般市販車に適用できるような方法で作られたものではないということ。そうか、やっぱりね……。これまでにも例があった輸入車の教習車は、メルセデスにしてもオペル・ベクトラにしても「ちょっとヘンだったけど(日本車と同じ位置に)変更した」とは、それらを取り扱ったヤナセの弁だった。

ただ、そこまでわかってくると、今度はもうひとつリクツをこねたくなる。そもそも「左ウィンカー」のままだっていいじゃないか。世界にはいろんなクルマがある。そのことをドライバーに教えるのも、リッパな“教習”ではないのか……なんて、ね。

さて、この教習車というものだが、実は、教習車はこうでなければならないというような規定は何もないのだそうな。この場合にカスタマーとなる教習所の側が、どういうクルマを自分のところの教習車として設定するかと、ただそれだけの話なのだという。

そして、このフィールドで立場を貫いた(?)ところがあって、それがBMWだったとか。同車を導入した教習所が「ウチは教習車がBMWなんですよ~」ということをウリにしたからでもあるが、318iの左右のレバー、その位置と機能はオリジナルのまま。この場合は、国産車とは違うというその違和感こそが必要だったのだろう。日本のマーケットで、輸入車をどう位置づけるか。このことについて、こと教習車だけを見ても、各社の微妙なスタンスの違いが出ているようだ。

(「ワゴニスト」誌 1998年記事に加筆修整)

○2015年のための注釈的メモ

量販車メーカーと高級車メーカーの、マーケットやカスタマーに対する姿勢の違い。ケンキョなVWとゴーマンなBMWを対比させたつもりだったのかもしれないが、果たして、そうなのか。よく考えてみると、BMW側は別にゴリ押しはしていない。「318だったら『左ウインカー』のままでいいですよ」、BMW様はどうぞそのままで……という判断をしたのは教習所側だったはず。そうしたマーケティングの一環として、「違い」がいっぱいの教習車を用意し、それが“客寄せ”にも有効だという判断。教習所側がそうしたくなる“何か”が、この時期(1990年代後半期)にはあったということであろうか。

ところで、運転席に設定される二本のレバーだが、普通にクルマを設計・生産すると、運転席の「窓側」の方にウインカー・レバー、そして車室中央側にワイパー関連のレバー&スイッチ類を配する。これがどうやら“自然”であるらしく、右ハンドル車/左ハンドル車のどちらであっても、基本はそのようになっている。

ただ例外的なのが、欧州の大陸内で設計・生産された右側通行用のクルマを、英国の左側通行/右ハンドル仕様に仕立てた場合──。二つのレバーの機能は変更せず、すなわち「左ウインカー」設定のままで市販車とする。どうして、そんなハンパ(?)がまかり通ったのかというと、大陸車をブリテン島で乗ろうとした英人が「あ、いいよ。そんな(些細な)ことは、そのままで」と言っちゃったからであると、1990年代のジャーナリズム上では信じられていた。

その後、この時の“寛容なイギリス人”(笑)の判断はいつの間にか世界基準となり、世界中の右ハンドル・マーケットに出される、最初は「左ハンドル」だった(?)モデル群はすべて、「右ハンドル+左ウインカー」という仕様になって今日に至っている。ただし、例外はあった。トヨタとGMが組んだ米国NUMMIが日本市場向けの米車(キャバリエ)を作った際には、しっかり「右ハンドル+右ウインカー」だったのだ。日本人、そして米人は、英人ほどに“寛容”ではなかった。

そして最後に。この問題は「右か左か」よりも、ウインカーのレバーはドライバーにとっての「窓側」にあるべし。これがクルマ作りの原理もしくは不文律のひとつなのだと、あらためて気づく。この理由の探索は、今後の課題ということで……。
Posted at 2015/12/10 04:20:32 | コメント(1) | トラックバック(0) | 90年代こんなコラムを | 日記
2015年12月07日 イイね!

【90's コラム】横置き6気筒

やはり「世界初」というのは、うかつには名乗れないようだ。クルマの歴史で真に革命的な発明というのは、ただひとつ「ロータリー・エンジン」だけであると、かつて読んだことがあるが、これでもわかるように、このクルマ世界のほとんどの「技術」は、実はムカシからあるという場合が多いからである。

たとえば、相当なハイメカニズムと思えるDOHCというエンジンの機構がある。しかし、これの誕生の時というのは、実はクルマの草創期である1912年だったりする。この年、フランス・グランプリに出走したルノーが、このメカを搭載していたというのだ。

これでもわかるように、19世紀末期に始まる自動車史とは、「新発明」の歴史というよりも、かつて発明されていたものをどう「効率化」してきたかという歴史なのかもしれない。この種の発明時期について、折口透さんの名著「自動車の世紀」にあたってみると、何と、スーパーチャージャー、独立懸架、オートマチック・トランスミッション(AT)、四輪駆動(4WD)、ターボチャージャー、エンジン横置きのFF――これらのすべてが、実は1905年よりも前に(!)出現していたという驚くべき事実を知ることになった。

さて、このように侮れない「世界初」という“称号”だが、これをめぐって、最近ひとつ小さな事件があった。「先般お送りしました資料中でこの表現を用いましたが、それを訂正致します」……こういうメールが、あるメーカー/インポーターから配られたのだ。その発信元は、ボルボ・カーズ・ジャパン。そして、その対象となった機種は、5月末に発表されたばかりの同社のフラッグシップカー、ボルボS80だった。

この新プレスティージカーは、850~S70系で採用している「FF横置き5気筒」をさらに発展させ、このS80では、ついに直列6気筒エンジンを横置きにして搭載した。ここまでやったクルマはほかにない、これはレアどころか世界初だ……と誰もが思ったに違いなく、同社もすかさず、S80のプレスリリースに、このエンジン搭載方法について「世界初」のシステムであると謳った。

ところが、これがそうではなかったのである。クルマに詳しいことでは人後に落ちない人々が多数棲息しているのがモーター・ジャーナリズムだが、さっそく、あるジャーナリストから間違いの指摘があったという。時は1972年のイギリス。まだブリティッシュ・レイランド=BLが元気だった頃に、上級モデルとしてモーリス2200/ウーズレー6という市販車があった。そして、これらのモデルが6気筒エンジンを横置きに搭載していたのだった。

こうして、プレスリリースの訂正という珍しい事態になったのだが、この件は、新ジャンルカーに挑んだボルボの意気込みが、ちょっと勇み足を生んだということか。ともあれ、ほとんどのものが過去にあったのがクルマというものの歴史。そのことをあらためて気づかせてくれた“事件”ではあった。

(「ワゴニスト」誌 1998年)
Posted at 2015/12/07 09:17:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | 90年代こんなコラムを | 日記
2015年11月25日 イイね!

【90's コラム】ダイハツ・ストーリアの野望

【90's コラム】ダイハツ・ストーリアの野望たしかに、このクルマのフロントマスクを顔に見立てれば、ちょっと目は眠たくて、そのくせ、口もとだけは割りと派手め。そんなアンバランス感もあり、また、近頃では珍しい“顔っぽい”タイプのフロントだとは言える。それは認めるとして、でも、ぼくがもしこのクルマを作ったエンジニアだったら、異星人みたいのが意味なく蠢いていたあのTVのCMは、けっこう悲しいだろうな……。

このクルマは、単に顔がちょっとファニーというだけのクルマか? 作った側として、言いたいことはそれなのか? あるいは“笑える”材料を探すことだけが、いまの「広告表現」なのか? そんなことも言いたくなるが、もっとも、よく考えてみると、CMっていうのは当のメーカーがOKしたから世に出ているわけだ。つまりは、ダイハツ自身もこのクルマを“笑える存在”と認識してたのか。

……フム、じゃあメーカーの意向はほっとこう! ともかくぼくは、このダイハツ・ストーリアというクルマについては、顔の細部はどうでもいい。このクルマで注目すべきは、何といっても「柱」(ピラー)だと思っている。そしてそこには、「RV」の隆盛という洗礼を受けた後の「セダン」(普通のクルマ)はどうあるべきか。その答えのひとつがあるとも見ている。

このクルマを一度、正面からでもじっくり見るとわかるが、こんなに各ピラーが「立っている」クルマは滅多にない。このストーリア、実はおそろしく「四角い」クルマなのである。ルーフに向かっての、いわゆる“絞り込み”が異様に少ない、そういう造形──。むしろ細部が妙にオシャレなのは、その“四角四面”ぶりを目立たさせないための工夫なのではないかと思うほど。……そうか、顔だけに注目してくれというCFは、その意味ではメーカーの意図と戦略に忠実だった? 

しかし、四角いカタチであることを恥じる必要はない。そういう造型にすることによって、室内では、肩から上の部分での想像を超えた余裕が生まれる。そして、この“四角造型”によってユーザー側が受けるデメリットというのは、実は何もない。

そもそも、いわゆる「RV系」のクルマたちは、この“スクエア造型”路線と「高さ」の主張によって、ユーティリティと快適性を稼いできた。一方で、セダン系がヘンにスポーツを志向し、ちっちゃなルーフはカッコいいとして狭苦しいセダンを作っていた。これでは勝負は見えている。

「パッケージング」とは、いつまで経っても、なかなかこなれない語ではあるが、あくまでセダン型でその要素を重視すると、クルマのカタチはどうなるか。その貴重なトライが、このストーリアの造型なのだと思う。

これからのセダン(日常使用車)は、パッケージングに優れた四角いカタチをどう(カッコよく)見せるかがキモになる。また、全高のある(ありすぎる?)「RV」が必ずしも実用性が高い……わけではないという側面もある。そして、まだまだセダンには存在理由がある。そんな時代が生んだ、あるいは、そんな時代を超えようという野望を抱えた、ダイハツからの新提案。いま、ストーリアがおもしろい!

(ダイヤモンドEX誌 1998年)
Posted at 2015/11/25 19:13:06 | コメント(0) | トラックバック(0) | 90年代こんなコラムを | 日記
2015年11月16日 イイね!

【90's コラム】1998年の注目コンパクト

【90's コラム】1998年の注目コンパクト◆ロゴ&ストーリア

日常的に普通に使うクルマのカタチというのが、いま変わろうとしている。前世紀の馬車の用語に端を発する既存のボディ用語では、もう収まりきれなくなっており、かといって、「RV」というくくりではあまりに曖昧すぎる。それが昨今の状況であろう。

この両車は、ともに、新世代のセダン(日常使用車)はこう変わるべきではないかという提案で、ロゴは「高さ」、ストーリアは「スクエア」がテーマになっている。そして両車ともに、その基本の狙いをあまり目立たせないように、スタイリング上で工夫をしている。このへんが、なかなか巧みであると同時に、デザインだけの“遊びクルマ”ではないという一線を画している。

ロゴの全高は“トールボーイ”で一世を風靡したシティと同じ。しかし、そうは見えない。一方ストーリアだが、これは本当はすごく「四角い」クルマ。各ピラーは立っており、こういう造型というのは、ショルダースペースが非常にワイドになる。

そして、ストーリアがあまり「高さ」の方向に振らなかったのは、あくまでも「RV」ではないという立ち位置から。さらに、欧州への輸出も考えているため。ヨーロッパでは、日米ほどクルマに対して「変革」を求めていず、ハコ(ワゴン)志向もないからだ。

どちらも、表面的なそのデザインにだまされず、その作り手の意図と結果として生じたユーティリティを生かして、カシコく乗りたいクルマ。ともに、ワカル人向きの渋めのチョイス。

◆ワゴンRワイド&キューブ

「高さ」というのは、ユーティリティにとって実に効果的だ。軽規格のワゴンRに乗って、こう感じた人は多いだろう。これでほんとにミニなのかと言いたくなる室内空間のマジックは、十分な「高さ」のゆえ。もちろんエンジンを排気量アップしたこのワゴンRワイドでも、それは同じである。

もうひとつ、このワゴンR系の魅力は、そのスタイリングであろう。背の高いただのハコだからこそ、実はとってもむずかしい。しかし、それをよくこなし、十分な個性すらある。後発の各車も、この点では及ばないのではないか。

そしてキューブも、遅ればせながら登場の、ニッサンからの「ハコ」提案。これはマーチという定番のヒット作をベースにした安心感と、無段変速のメカニズムがウリだ。発表直前になって、デザインのディテールを思いっきりワカモノ&アメリカン方向に振ったというウワサもあり、結果的にはこれが大成功。いま日本のクルマ状況がナダレのごとくアメリカンになっているのに、ジャストフィットした。

思えば、道路状況や制限速度など、モータリゼーションや使い方が日本と似ているのは、ほんとは、ヨーロッパよりもアメリカだった。若い人ほど、その事実にすばやく気づいている。このようなクルマにおける日本の“アメリカ化”というのは、もう止めようがない。いま、この国(日本)の人々は、こういうクルマに普通に乗るのだ。

◆ヴィータ&トゥインゴ

同じ実用車が、やはりヨーロッパへ行くと、その様相を変える。オペルとルノー、ともにあちらの量販車メーカー。それでも、日米とは一線を画す。ひとつは空力造型、そして、矛盾するようだが、もうひとつは保守性。クルマというモノについての、強固なイメージがあるのが欧州だ。

そしてこの2車だが、片やオペルは、ドイツ流の太いトルクを、こんな小さなエンジンからも吐き出すという驚異の設定。一方のルノーは、やっぱりラテンか、たかがスモールカーでも、デザインのセンスは忘れませんわ!……というエスプリ路線。

陰鬱で速いアウトバーンというシビアな環境は、どんな状況でも操作しやすいような、でっかいスイッチ類をインパネに配し、一方、もっと明るく高速巡航しますというフランスでは、陽光をたっぷり取り入れる大きな窓と低いウェストラインで、ドイツ車のように外界を遮断しない。

国際化の波で、欧州各国のクルマの国籍性が薄れている現在だが、くらべてみると、やっぱり違う。こういう小さなクルマだからこそ、その差異が浮き出てくる。そんな感慨に浸りつつ、ドドッとトルク走りをするか、おしゃべりでもしながらの2ペダル・ドライビングで流すか。そんな使い方でポジティブに異文化に迫ってみるのが、この2車の“正しい”乗り方でありましょう。

(JAF出版「オートルート」誌 1998年に加筆修整)
Posted at 2015/11/16 12:32:32 | コメント(0) | トラックバック(0) | 90年代こんなコラムを | 日記
スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

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「【 20世紀 J-Car select 】vol.14 スカイラインGT S-54 http://cvw.jp/b/2106389/39179052/
何シテル?   01/15 10:59
家村浩明です、どうぞよろしく。 クルマとその世界への関心から、いろいろ文章を書いてきました。 「クルマは多面体の鏡である」なんて、最初の本の前書きに...
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