
スポーツカーは別として、軽自動車のN360&Zにはじまり、シビック、そしてアコードとだんだんモデルを大きくしてきたホンダは、1985年、ついにそれまでに自社のレンジにはなかった“大型車”の分野に参入して、ほぼフルラインのモデルを擁するメーカーとなった。そのホンダ初の「3ナンバー」モデルが、1700ミリオーバーの全幅を持ち2・7リッターのV6エンジンを搭載した、このレジェンドである。
ただし登場当初のこの頃には、全幅を抑えた2リッター・バージョンもあって、それは「5ナンバー」で乗れるようになっていた。その点にこだわったせいか、この初代の段階では、スタイリングとしてはちょっと細長い印象になっており、日本的な(5ナンバーサイズ重視の)高級車造形から脱した……とは、やはり言えない格好をしていた。
そして、いかにもホンダらしいというべきかもしれないが、この“高級車”レジェンドにはマニュアルシフト車が用意されていた。また、ホンダ初の市販V6であるこのエンジンは高回転までスムーズに回ったものの、低中速でのトルクは車重に対しては不足気味。エンジンを“回して乗る”ことが求められたこの初期レジェンドに最もフィットしたのは、ATではなく実はMT仕様であった。
(ホリデーオートBG誌「80's 絶版車アルバム」2000年4月より 加筆修整)
○2016年のための注釈的メモ
市販車は基本的には数年で、そのモデル・ライフを終える。フォード・タイプTとかVWビートルとか、同一車型でエンエンと作り続けられた例外はあるが、それであっても、次期型が出て来た時点で「絶版」となり「再版」されることはない。
こう考えると、現行モデル以外のすべての市販車は「絶版車」ではないかということになるのだが、しかしカー雑誌とその読者である私たちはしばしば、“ある種のモデル”について、この「絶版」という言葉を与えて懐かしむことを好む。
ただ、どのモデルを「絶版車」とするかということについては、たぶん基準はないので、どんな機種が登場するかは、ひとえに編集部とその担当者の選択にかかっている。ちなみにこのシリーズの場合は、2000年の時点で「1980年代」に限定し、スペシャルティカーやスポーティカーを重視してのセレクトが行なわれたようだ。
Posted at 2016/05/12 07:27:39 | |
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