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2015年01月27日 イイね!

素晴らしき父とその娘 ~ 映画『アラバマ物語』 《4》

その4 モッキンバードだけは撃つな!

しかし、学校に行ったスカウトは、初日から、さっそくケンカしてしまう。その相手は、家に農作物を持ってきた農夫カニンガムの息子だった。ジェムは、妹の行為を謝りたいということもあったのか、その息子をディナーに招待する。

フィンチ家の夕食の席に来たカニンガムの息子は、食卓でステーキを囓りながら、「ロースト(牛肉)は久しぶりだよ。いつもウサギかリスだから」と言った。この息子は父と一緒に狩りをして、その時に獲れたものを食べているということだろうか。

その狩猟は銃で行なっているので、今度はジェムが父に“銃体験”を訊いた。この時の父アティカスの答に、映画の原作名になっている「マネシツグミ」(=モノマネ鳥=モッキンバード)が出て来る。

アティカスは、初めて銃を撃った(父に撃たせてもらった)のは13歳か14歳の時だったと、ジェムに語る。最初は裏庭で、空き缶を撃って練習した、と。そして「慣れてくると、鳥を撃ちたくなるものだ」と続けたアティカスは、さらに言った。

「アオカケス(ブルージェイ)なら、好きなだけ撃っていい」
「でも、マネシツグミ(モッキンバード)だけは、絶対に殺すな」

すぐに、ジェムが父に訊ねる。「なぜ?」
父「モッキンバードは、きれいな歌声を聞かせてくれる無害の鳥だ」「庭も荒らさないし、巣もむやみに作らない」「ただ美しい声で、われわれの心を癒してくれる」

……なるほど、“モッキンバード”は、アメリカのカントリー・ミュージックの歌詞にはしばしば出てきて、また、そのままこれをタイトルにした曲もある。単語だけは聞いていたが、それがどんな鳥なのかはこの映画を見るまでは知らなかった。

ここで、家政婦のキャルが食卓にシロップを届けた。牛肉は滅多に食べないという今夜の客の少年は、そのシロップを、皿の上の牛肉にたっぷりと掛けてしまう。これは、獲ってきたリスの肉などを食べる際には、カニンガム家ではこうしていたということかもしれないのだが。

しかし、その“暴挙”にスカウトがキレた。「何してんのよ!」、叫ぶスカウト。すかさず、アティカスがコンコンと指でテーブルを叩く。警告の意味だが、この時の対象は“暴挙”の少年ではなく、自分の娘だった。

続いて、いかにもフィンチ家らしいと思える光景が展開される。他の白人家庭でこんなことが起こるのかどうかはわからないが、家政婦キャルが食堂に入って来て、一家の食卓に介入したのだ。キャルは言った、「スカウト、お話しがあるわ。こっちへいらっしゃい」。その声に、素直に立ち上がる少女。

キッチンで、黒人女性のキャルはスカウトに説教した。「あの子は、お客様なのよ」(原語では「 That boy is your company. 」)「食べ方に文句を言ってはいけません。いい子にできないなら、台所で食べなさい」

台所からも逃げ出したスカウトを追ってきたのは、父アティカスだった。テラスにある椅子にいる娘の横に、父が座った。「学校はおもしろくない、もう学校へは行かない」と言うスカウト。そんな彼女に、アティカスは語りかけた。
「考え方を少し変えればいいんだ。そうすれば、みんなと仲よくやっていける」
「相手の立場で考えてみることだ。その人になって、想像力を働かせるんだ」

さらに、父アティカスと娘スカウトは会話する。
父「スカウト、妥協って知ってるか?」
娘「法を破るってこと?」
父「いや、よく話し合って、互いに理解することだ」

女声のナレーション。
「アティカスに、解決できない問題はなかった」「誰が何と言おうと、ジェムと私は、そのことを知っていた」

(つづく)
Posted at 2015/01/27 18:43:59 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマから映画を見る | 日記
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家村浩明です、どうぞよろしく。 クルマとその世界への関心から、いろいろ文章を書いてきました。 「クルマは多面体の鏡である」なんて、最初の本の前書きに...
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