
カリーナ1600GT TA12(1971)
1960年代後半から1970年代、ハードウェアとしての日本のクルマはまだまだ発展途上で、また、それ故にマーケットもホットだった。DOHCエンジンとか「四独」(四輪独立懸架)といった新メカはニュースであると同時に、装着車ともども「新しさ」は常に歓迎された。その一方で、メカ的にはそんなに先鋭でなくても、コンベンショナルな方式を採りながら、その「まとまり」の良さや総合バランスで、好感とともにマーケットに受け入れられるモデルがあった。これもまた、当時もいまも変わらぬ図式である。
このカリーナも、「新メカ」よりも実質性能において「良し」とされた機種のひとつだった。とりわけ「足」については「四独」ではなかったが、そのステディなフットワークが高い評価を得た。まあ「足のいいヤツ」という巧みな広告コピーに、マーケットやカスタマーがリードされたという側面は多分にあったかもしれないが。
スタイリングは、流行の「四つ目」ヘッドランプというトレンドを採り入れつつ、どこかクラシカルな雰囲気もある“オトナ”のフィールでまとめられ、ひと味違うセダンとして、当時のちょっと「うるさ型」のカスタマーに好まれた。シャシー的には同時期のセリカと同じで、ただ日常車としては派手なクーペボディ(セリカ)ではなく、目立たぬセダンに乗りたいという層にも、このクルマは浸透した。
ただ、そうはいっても爆発的に売れたクルマというわけではなく、そしてテールランプは「縦型」で、今日にまで至るトヨタのジンクス、「縦型ランプのクルマは売れない」というデータの確認に、このカリーナもやっぱり“貢献”することになったようだ。
基準車の登場(1970)から一年後にGTが追加され、セリカGT系と同じ1600ccのツインカムエンジンを搭載。足のフィールだけでなく、動力性能的にも十分以上のものがあるグレードとして、改めて注目と評価を受けた。
(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)(フォトは基準車)
Posted at 2016/09/12 10:37:59 | |
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