
サバンナGT S124A(1972)
1970年代の日本ツーリングカー・レース史上に「連勝記録」を刻んだスカイラインGT-Rだったが、もちろん、ライバルはいた。その最強のコンテンダーは、軽量にして強力なロータリー・パワー。ストリートで、そしてサーキットで、ロータリー搭載車はスカイラインに果敢に挑んだ。そのロータリー軍団を代表するモデル、それがサバンナだった。
サバンナは、こうした実績と歴史から“ロータリー・スポーツ・スペシャルティ”といったイメージがあるが、デビュー当初は、エンジンこそロータリーだけだったものの、クーペ・ボディ以外にもセダン・バージョンがそのラインナップにあった。そして、このセダン・ボディのレシプロエンジン版が、グランド・ファミリアという名で売られていたというのは、もはや記憶の彼方か。
そして、高性能車としてのサバンナの名を不動のものにしたのが、1972年に登場したこの「GT」である。これは、搭載するロータリーエンジンを、それまで上級車用であった「12A」に換装したモデルで、つまり、小さなガタイに一回り大きなパワーユニットを組み合わせるという手法のスポーツ車だった。そのパフォーマンスは、120psのパワーで、ゼロヨンは16.0秒、最高速は190㎞/h。これは掛け値なしに当時の最高レベルで、ちなみに、GC10“ハコスカ”GT-RのS20ユニットは160ps、最高時速200㎞/hというデータが発表されていた。そして、GT-Rのゼロヨンのタイムは16.1秒だった。
これでわかるように、このサバンナGTは、性能的にはGT-Rに勝るとも劣らず、そしてコンパクトさとパワーウェイトレシオを生かして、こと運動性においては、スカイラインGT-Rすら凌いでいたと見ることができる。
また注目すべきは、当時の排ガス規制で、他の高性能車が撤退を余儀なくされた中で、このロータリー・サバンナはしたたかにサバイバルした。「GT-AP」として、AP=アンチ・ポルーション(低公害)仕様に脱皮し、排ガス規制とオイルショックに見舞われた1970年代“クルマ冬の時代”を、スポーティな高性能車として生きつづけた。こうした実績があって、70年代後半の1978年には、今度はセダンと共用などではない「純スポーツカー」としてのサバンナ(RX-7)が華やかにデビューできた。こうした歴史にもつながっていく。
○フォトは1971年デビューの基準車。
(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
Posted at 2016/10/10 11:41:28 | |
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