
○セリカ1600GT TA22(1970)
日本のスペシャリティカーの原点というべきモデルが、このセリカだ。企画の手本はアメリカで、当時、フォードのマスタングが“ポニーカー”としてヒットしていたこと。(マスタングのデビューは1964年)。スポーツカーとかGTカーといった“本格もの”ではなく、高性能だが、もっとカジュアルで乗りやすいパーソナルカーとして仕立てられ、それが「スペシャルティカー」と呼ばれて新ジャンルを形成していた。トヨタはそのトレンドにいち早く目をつけ、このような、スタイリッシュなクーペを送り出してきたというわけ。
シリーズの中でもGTは当時はレアだったツインカム(DOHC)の強力なエンジンを搭載し、モータースポーツにも進出。国際ラリーでは、このセリカが主戦機種となって、これ以後のトヨタのラリー活動を支えることになる。当時のトヨタには、ガタイが小さめで、それにパワフルなエンジン搭載という組み合わせが、実はこれしかなかったという事情もあったが。
このセリカは「スペシャリティカー」=特別なモデルを名乗るに相応しく、仕様や装備品を購入者が自由にフルチョイスできるという販売方式で登場したが、これはさすがに時期尚早であったようだ。当時はマーケット&カスタマーの方がその「買い方」に上手く対応できず、次第に、従来通りにメーカーによって決められた仕様での販売という他車並みのかたちに収束していった。
(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
Posted at 2016/06/28 00:11:14 | |
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